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YouTuber・VTuber法務

YouTube投稿者必見!サムネ画像が著作権侵害となる例を解説

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YouTube投稿者必見!サムネ画像が著作権侵害となる例を解説

YouTubeでは、サムネイルにインパクトがあると多くの人の目にとまり、再生数が増える傾向にあります。そのため、動画を投稿する際、有名人の写真や、ディズニー社のミッキーマウス、任天堂のマリオのような、他者が著作権を有するインパクトの強い画像をサムネイルで使うケースは少なくありません。

また、内容を面白くする目的や見やすいものにする目的などから、動画内でそのような画像が使われるケースもあります。

皆さんもこのようなケースを見たことがあるかと思いますが、他者の著作物を利用する以上、当然法的なリスクがあります。他方で、どれが著作権侵害にあたるかの判断は難しい場合も多く、どのような法的なリスクがあるか完全に理解している人は意外に少ないです。

そこで、本記事では、YouTubeのサムネイルや動画において、他者が著作権を有する画像を使う際の法的リスクについて解説します。

YouTubeとは

YouTubeとは、Googleによって運営されている世界最大の動画共有サイトです

YouTubeは、テレビとは異なり、視聴者が、好きな時間に、好きな動画を視聴することができるという特徴があり、最近では、テレビよりもYouTubeをよく見るという人がいるほど、私たちの生活に馴染み深いものとなっています。

YouTubeに動画を投稿する人は、視聴者に動画を再生してもらうために様々な工夫をします。その工夫の一つとして、サムネイルや動画内で、ゲームのスクリーンショットを使用したり、有名人の画像を使用したりという方法がとられることがあります。

サムネイル

サムネイルは、略してサムネと呼ばれるものであり、YouTubeに投稿された動画がどのようなものかをすぐに理解できるように、視認性を高めた縮小画像のことをいいます。

YouTubeでは、視聴者が自らの趣味趣向に合った動画を選択して視聴します。そして、動画選択の際にまず目に入るものがサムネイルになるため、サムネイルは、動画を視聴するかしないかの判断に大きな影響を及ぼすものとなります。

そのため、動画を視聴してもらうためには、サムネイルでいかに注目を集めるかが勝負となり、サムネイルにゲームのスクリーンショットや有名人の画像など、人の目を引く画像が使用されるケースが多くなっています。

著作権とは

著作権とは、著作権法に定められた権利で、著作者や著作物を保護するための権利です。

著作権は、特許権や商標権などと異なり、出願などの手続が不要で、法律の要件をみたせば自動的に認められる権利であることに特徴があります。

では、どのような画像が著作物にあたるのでしょうか。

著作権法2条1項1号の規定から、以下の要素をみたすものが著作物に該当するということがわかります。

  • 思想又は感情に関するものであること
  • 創作性が認められること
  • 表現物であること
  • 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属すること

上記要素から、単なるデータ(思想又は感情を表現したものではない)や他人の創作物の模倣(創作性がない)、アイデア(表現物でない)、工業製品(文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属さない)といったものが著作物から除かれます。

著作物の例

著作物には、小説や楽曲、絵画や映画、写真など様々なものがありますが、ここでは、YouTubeでよく使われるゲームや有名人の画像について解説します。

ゲームのスクリーンショット

著作権法上、ゲームは「映画の著作物」の一種と考えられており、ゲームのスクリーンショットは映画の著作物(著作権法10条1項7号)に該当すると考えられています。

そのため、ゲームのスクリーンショットを無断で使用した場合には、原則として著作権侵害となります。

有名人の画像

有名人自体は、人ですので著作物には当たりません。ただし、有名人を撮影した画像については、撮影者との関係で「写真の著作物」(著作権法10条1項8号)に該当すると考えられます。有名人を撮影する場合、通常、プロの写真家などにより撮影されます。そして、その画像は、写真の構図、光の当て方、シャッターの切り方などから、写真家の思想や感情が表現されているといえるので、著作物に該当することとなります。

そのため、著作者である撮影者に無断で有名人の写真を使用してしまうと、原則として、撮影者の著作権を侵害してしまうこととなります。

著作権侵害にあたるとアカウント停止になることも

YouTubeで著作権侵害を行ってしまった場合、YouTubeから著作権侵害の警告が出されます。そして、その警告を3回受けると、アカウントと関連付けられたチャンネルがすべて停止され、アカウントに投稿したすべての動画が削除されてしまいます。

他にも、著作権法には、著作権を侵害した者に対して懲役刑と罰金刑という刑罰を科す規定が置かれているため、著作権を侵害した場合には刑事責任を問われる可能性があります。さらに、著作者から損害賠償請求や、著作権侵害によって収益を上げていた場合には不当利得返還請求をされるなど、民事上の責任を負うこともあります。

YouTubeでの画像利用が著作権侵害となる場合

では、具体的にどのような行為が著作権を侵害する行為に当たるのでしょうか。以下では、関連する権利とともに解説していきます。また、以下で挙げる行為は、どれも気がつかないうちにやってしまいがちな行為なので、注意が必要です。

サムネイルや動画内で、他人の著作物を使用する際には、一般的に以下のような行為が介在します。

  • 自らが使用しているパソコンやスマートフォンなどに他者の著作物を保存する行為
  • 保存した他者の著作物を編集などしてサムネイルや動画を作成する行為
  • 作成したサムネイルや動画を使用する行為

パソコンやスマホに他者の著作物を保存する行為

ネット上の動画や画像などを自身のパソコンやスマートフォンに保存している人は多くいると思います。こうした行為は、著作者の複製権を侵害する可能性があるため注意が必要です。

複製権

著作権の内容には、複製権という権利があります。

複製権は、著作権法21条で規定される権利です。判例(最判昭和53年9月7日民集32巻6号1145頁)によると、「著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」をいいます。

他者の著作物を無断で保存する行為は、原則として、著作者の複製権を侵害するものとして著作権侵害になると考えられます。

ただ、著作権侵害となる範囲が無制限に拡大してしまうと、著作物等の円滑な使用が妨げられ、かえって文化の発展に寄与することを目的とする著作権法の趣旨に反することにもなりかねません。

そこで、著作権法には、多くの例外規定が設けられています。例えば、私達が個人的に楽しむために、他者の著作物を保存する行為は、私的利用のための複製として、適法な行為として認められています(著作権法30条)

また、サムネイルや動画内で、他者の著作権を利用するために保存する行為は、電子計算機における著作物の利用に付随する利用といえる場合には、著作権侵害とはなりません(著作権法47条の4)

ただし、これは、著作物を適法に使用する過程で行う複製は著作権侵害とはならない旨を定める規定であるため、「当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」(著作権法47条の4本文ただし書)ことについて注意が必要です。

保存した他者の著作物を編集などして利用する行為

適法に他者の著作物を保存できたとしても、サムネイルや動画内で他者の著作物を利用するために、無断で編集などを加えた場合、権利者の翻案権や同一性保持権を侵害する可能性があります。

翻案権とは

翻案権とは、著作権の一種であり、著作物を独占的排他的に翻案する権利をいいます。翻案の意義については、

既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持つつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為

最判平成13年6月28日 民集55巻4号837頁

と、解されています。わかりやすい例としては、小説のドラマ化や映画化、漫画のアニメ化やゲーム化があります。

YouTubeとの関係では、サムネイルや動画内で他者の著作物を利用するために、編集などを加える行為が、翻案に該当する場合、著作権侵害となってしまうため、注意が必要です。

同一性保持権

同一性保持権とは、著作者人格権の一種であり、著作物及びその題号について、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けない権利のことをいいます(著作権法20条1項)

同一性保持権の侵害となるか否かは条文上、著作者の主観的意思が重視されています。また、著作権法20条には、私的領域における改変行為について、適用除外とする規定は置かれていません。そのため、私的領域での改変行為も同一性保持権の侵害となる可能性があります。

著作者の意思を杓子定規的に用いると、利用者に酷な場合もあるため、意思に反する改変すべてが同一性保持権の侵害になるわけではありません。しかし、同一性保持権の侵害に関する明確な基準がない以上、著作者の許諾を得ておくなどの対応をしておくことが望ましいです。

YouTubeにおいては、サムネイルや動画内での編集等が、同一性保持権を侵害すると判断される可能性があるため、上記の点に注意しておくことが必要です。

同一性保持権については、翻案権と似ている側面がありますが、同一性保持権は、著作者人格権という著作者の精神的な側面に関する権利であるのに対し、翻案権は、権利者の財産的な側面に属する権利であるという点で大きな違いがあります。

他者の著作物をサムネイルや動画で使用する行為

他者の著作物を編集などして作成したサムネイルや動画を使用する場合、他者の著作物をYouTubeにアップロードするという行為とアップロードした他者の著作物を視聴者に見せるという行為が介在します。

前者については、送信可能化権(著作権法23条1項括弧書)、後者については、公衆送信権(著作権法23条1項)を侵害する可能性があります。以下では説明の都合上、公衆送信権から先に解説していきます。

公衆送信権

公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと(著作権法2条1項7号の2)をいい、著作者は著作物について公衆送信する権利を専有します。

そのため、他人の著作物を無断でサムネイルや動画内で使用し、動画を公開することは、公衆送信にあたり、著作者の公衆送信権の侵害となる可能性があります。

送信可能化権

送信可能化とは、著作物をサーバーにアップロードするなどの方法により、自動公衆送信し得るようにすること(著作権法2条1項9号の5)をいいます。そのため、送信可能化権は俗にアップロード権と呼ばれています。

自動公衆送信とは、公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(著作権法2条1項9号の4)をいいます。

送信可能化権侵害となるためには、自動公衆送信し得るようにすることが必要です。逆に言えば、他人の著作物を送信可能化した場合、実際に自動公衆送信がなされなくても送信可能化権を侵害することになります

他人の著作物をYouTubeのサーバーにアップロードした場合、視聴者からのアクセスが全く無かったとしても、アクセスをしようと思えばできる状態になりますので、自動公衆送信可能な状態にしたといえます。このような行為を権利者に無断で行うと、権利者の送信可能化権を侵害することになると考えられます。

著作権を侵害せずにYouTubeで画像を使用する方法

無断で他者の著作物をサムネイルや動画内で使用した場合、原則として著作権の侵害にあたります。もっとも、一切の使用が著作権の侵害として認められないわけではありません。そこで、以下では、権利者の著作権を侵害することなく、サムネイルや動画内で他者が著作権を有する画像を使用する方法を紹介します。

権利者の許諾がある

まずは、著作物の利用について、著作者の許諾がある場合が考えられます。許諾については、明示の許諾がある場合と、黙示の許諾がある場合があります。

明示の許諾

まず、明示の許諾がある場合には、著作権侵害とはなりません。著作権法63条1項は、著作権者が他人に著作物の利用を許諾できる旨を定めています。権利者から許諾があることが明白である以上、トラブルになる可能性は低く、一番確実な方法といえます。

また、許諾に際しては、利用方法や条件を定めることもでき(著作権法63条2項)、ライセンス料や独占的利用を認めることなどを定めておくことができます。

著作権者に利用の許諾を得れば、その後、当該著作物の著作権を取得した者や第三者に対し利用権を主張することができます(著作権法63条の2)。もっとも、許諾を得た後に著作権者らとの間で様々なトラブルが発生することが考えられます。

そこで、明示の許諾については、許諾の内容を明確にし、書面などで確実に証拠を残すようにしましょう。また、ゲームのスクリーンショットについては、ゲーム会社がHPなどで、使用許諾する旨を公表しているケースがあります。

例えば、任天堂は、「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を公表し、同ガイドラインの中で、「任天堂は、個人であるお客様が、任天堂が著作権を有するゲームからキャプチャーした映像およびスクリーンショット(以下「任天堂のゲーム著作物」といいます)を利用した動画や静止画等を、適切な動画や静止画の共有サイトに投稿(実況を含む)することおよび別途指定するシステムにより収益化することに対して、著作権侵害を主張いたしません。」との記載があり、「別途指定するシステム」として、「YouTubeパートナープログラム」があげられています。

Nintendo:ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン

黙示の許諾

明示の許諾が無い場合でも、黙示の許諾があるといえる場合には、著作物を使用することができます。黙示の許諾が認められるかどうかは、状況により様々であり、個別的に判断をする必要があります。

1つの目安として、著作権者が異議を唱えずに,一度著作物の利用状態が確立した事実は,著作物の利用を黙示的に許諾したことを意味すると裁判所に判断されることがあります。

例えば、誰でも閲覧できる不動産情報サイトに、不動産の紹介ページが設置されており、多くの人の目に触れることを意図した内容になっている場合には、当該ページをプリントアウト(複製)しても、権利者が想定している著作物の利用の範囲内に入っているものと考えられます。

サムネイルや動画内での著作物の使用については、黙示の許諾が認められるケースは必ずしも多くはないと思いますが、サムネイル用の画像で使用されることを意図して公開されているような場合には、黙示の許諾があるといえる可能性もあります。

引用に該当する

他者の著作物の使用が、引用と評価できる場合には、著作権侵害とはなりません

引用については、著作権法32条1項で規定されています。

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

著作権法32条1項

著作物の利用が引用として認められるためには、一般的に以下の要件がみたされていることが必要と考えられています。

  • 引用されている部分が公表されている著作物であること
  • 引用が、引用の目的上正当な範囲内であり公正な慣行に合致すること
  • 引用元の出所を明示すること(著作権法48条1項1号)
  • 引用の際に引用元の著作物に関する著作者人格権を侵害しないこと
  • 引用されている部分と自己の著作物が明瞭に区分できること
  • 自己の著作物が主たるものであり他者の著作物が従たるものであること

もっとも、上の要件のうち、引用する側とされる側の主従性の有無は、引用の成否を直ちに決する要件としてではなく、引用の方法・態様について考慮され得る一事情とみなされる傾向にあります。

結局のところ、引用に該当するかどうかは、ケースバイケースですので、事案ごとに個別的に判断をする必要があります。

まとめ:YouTubeにおける画像の使用が著作権侵害になるか迷ったら弁護士に相談しよう

以上、YouTubeのサムネイルや動画において、著作権のある画像を使う際のリスクについて解説しました。

YouTubeのサムネイルや動画内でゲームのスクリーンショットや有名人の画像を使用することは再生回数を増やすために効果的な方法ですが、適切な方法で使用しなければ著作権侵害となってしまう可能性があります。

そのため、YouTubeに動画を投稿する方は、著作権との関係が問題となること及び著作権法に抵触しない形での利用方法をしっかりと理解しておく必要があります。もっとも、著作権法に抵触するかどうかの判断には、専門的な知識を必要とするので、判断が難しい場合には、弁護士に相談をすることを強くおすすめします。

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モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。昨今、YouTuberやVTuberの間でも、チャンネル運用にあたって、肖像権や著作権、広告規制などリーガルチェックの必要性が急増しております。また契約をめぐる問題についても事前にしっかりと下準備をしておくことが不可欠です。下記記事にて詳細を記載しておりますのでご参照ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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