弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-17:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

VTuber活動のビジネスモデルで留意すべき法律とは

YouTuber・VTuber法務

VTuber活動のビジネスモデルで留意すべき法律とは

近年、急激に人気が高まっている職業として、YouTuberという職業があります。YouTuberは、自らが制作した動画をYouTubeに投稿し、その再生回数に対し広告収入等を得ています。

YouTuberの中には、生身の人間ではなく、2Dや3Dのキャラクター、アバターまたはアニメーションなどを用いて動画配信を行う「バーチャルYouTuber」、いわゆるVTuberと呼ばれるものも含まれます。

VTuberは、キャラクターを用いての動画制作など様々な要素が関わるため、ビジネスモデルが複雑化しており、関わる法律も多数あります。

本記事では、VTuber活動のビジネスモデルで留意すべき法律について解説します。

YouTubeとはどのようなサイトか

YouTubeとは、Google LLCが提供する世界最大の動画共有サイトです。

日本では、ここ数年の間に急激に普及し、YouTuberという職業の人気もとても高いものとなっています。

YouTubeは、チャンネル登録者数1,000人以上、年間再生数4,000時間以上という最低条件を満たすと、動画に広告を付すこと等により、収益を得られるようになります。

VTuber活動に関する法律

関係する可能性がある法律としては、大きく分けて、民法及び著作権法が考えられます。

不法行為

まず、民法709条不法行為との関係が問題となります。

(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第709条

VTuberが、動画投稿等により、他者の肖像権パブリシティ権プライバシー権又は著作権等を侵害した場合には、損害賠償義務を負う可能性があります。

肖像権

肖像権とは、個人の容姿や顔などについて、当該個人の許諾なく、無断で撮影や公表されたりしない権利のことをいいます。

法律上、明示的に規定された権利ではありませんが、幸福追求権を規定する以下の憲法13条により認められる権利であり、判例等などから確立された権利となります。

すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法第13条

個人には肖像権が認められますので、VTuberがYouTubeに投稿する動画の中で、個人の容姿や顔などを映してしまうと、肖像権を侵害するものとして損害賠償請求をされる可能性があります。

パブリシティ権

パブリシティ権とは、芸能人やスポーツ選手などの著名人に認められる権利であり、当該著名人が持つ顧客吸引力に関わる権利のことをいいます。

動画の中で、著名人の画像や映像などを無断利用してしまうと、パブリシティ権を侵害するものとして、所属事務所等から損害賠償請求をされる可能性があります。

プライバシー権

プライバシー権はVTuber活動のビジネスモデルとの関係では、私生活上の事柄をみだりに公開されない権利と考えることになります。

動画の中で、特定の個人のプライバシーに関する事柄を同意なく公開してしまうと、権利侵害として損害賠償請求される可能性があります。

著作権

キャラクターやアニメーションに関する著作権

VTuberとして用いられているキャラクターの画像や3Dモデル、アニメーションの著作権については、原則として、そのキャラクターの画像や3Dモデル、アニメーションの作成者に帰属します。

ただし、少し分かりにくいのですが、「キャラクター」それ自体には、著作権は発生しません。著作権が発生するのは、ある「キャラクター」について作成された画像や3Dモデル等です。この点に関しては、VTuberではありませんが、「ポパイ」に関する有名な判決があります。

著作権法上の著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(同法二条一項一号)とされており、一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が反復して描かれている一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである。

最高裁平成9年7月17日判決

つまり、「ほうれん草を食べると超人的なパワーを出す、セーラー服姿の男であるポパイ」という、抽象的な意味での「キャラクター」は著作権の保護対象ではない、という趣旨です。著作権が発生するのは、あくまで具体的な一つ一つの絵(やVTuberの場合は3Dモデル)である、ということになります。

この話は、VTuberに関する創作が複数の人によって行われている場合に問題になります。例えば、

  1. A氏が、当該VTuberに関する基本的な設定(ポパイの例で言えば「ほうれん草を食べると超人的なパワーを出す、セーラー服姿のキャラ」といった部分)や初期段階での原画を担当した
  2. B氏が、A氏の原画を元にして実際のデザインを決定した

といった場合、A氏側に当該VTuberキャラに関する著作権が帰属しているのか、非常に微妙な問題となるケースがあるからです。

なお、VTuberが事務所に所属している場合などでは、契約関係によって、著作権が事務所に帰属するケースも考えられます。事前に契約書で明確にしておく必要があると言えます。

動画に関する著作権

作成された動画の著作権についても、原則、動画制作者が権利を持つことになりますが、こちらも所属事務所に帰属する旨の契約が締結されている可能性があります。同様に契約書の内容に留意する必要があります

写真・画像又は音楽等の著作権

制作する動画内に、他人が権利を有する写真・画像や音楽等を利用する場合には、原則として、写真・画像や音楽等の権利者から、制作する動画内での利用についての許諾を得る必要があります。

まとめ

VTuber活動のビジネスモデルで留意すべき法律について解説しました。

Vtuber活動では、トラブルを避けるため、関係する法律をしっかりと理解しておく必要があります。

法律に違反し権利を侵害してしまうと、悪気が無くても損害賠償請求される可能性があり、また、YouTubeのアカウントが停止になることや収益化ができなくなってしまうおそれもあります。

VTuber活動のビジネスモデルで留意すべき法律に関しては、専門的な法律知識が要求されるため、法律事務所に相談することをおすすめします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

シェアする:

TOPへ戻る