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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

したらば掲示板の匿名投稿者を特定する方法について

風評被害対策

したらば掲示板の匿名投稿者を特定する方法について

2ちゃんねると並ぶ有名なネット掲示板であるしたらば掲示板では、様々なジャンルの掲示板を誰でも無料で作成することができます。有益な情報も投稿されていますが、中には事実無根のデマや誹謗中傷などの投稿もみられます。

本記事では事実無根のデマ等による名誉毀損や誹謗中傷を受けた場合、被害を回復するために、どのような方法で投稿者を特定することができるのかを解説致します。

したらば掲示板とは

したらば掲示板は2ちゃんねるの開設者である西村博之氏によって開設されたレンタル掲示板で、数度の運営会社変更を経て2018年よりエーゲート株式会社が運営しています。

したらば掲示板は使い勝手が良く、話題も多岐に渡るうえに、無料で利用できるため人気が高く、非常に多くの人に利用されています。

2ちゃんねると同様に匿名性が高いことが特徴で、最新の書き込みのあるスレッドが一番上位に表示されるスレッドフロート形式を採用しています。

したらば掲示板の誹謗中傷例

匿名性が高く利用者も多いことから、投稿者同士のトラブルや、他者への誹謗中傷、根拠のない風評などの投稿も頻繁に見受けられます。以下はその一例です。

  • 〇〇の社長はヤクザと繋がっている
  • 〇〇は犯罪者、社会に出る資格なし
  • 大麻常習犯〇〇

いずれも放置しておくと風評が拡大し、精神や社会生活に支障をきたす悪質な内容です。すみやかに施策を行うべきでしょう。

削除依頼を出す方法

該当の投稿を削除することで、現在生じている名誉毀損や誹謗中傷の被害を止めたいだけならば、したらば掲示板の利用規約に基づき削除依頼が可能です。

削除依頼については下記記事で詳細を解説しております。

投稿者特定の手順

①IPアドレスの開示請求

日本ではプロバイダ責任制限法という法律に基づき、インターネット上の違法な投稿等により権利侵害を受けた人は、その違法な投稿等をした人についての情報開示をすることが認められています。

したらば掲示板の管理者に対し、該当の投稿が書き込まれた際に使用されたIPアドレスを特定する為に、プロバイダ責任法に基づき発信者情報開示請求を行います。

IPアドレスの開示請求については、原則的に裁判所手続を用いなければ実現できません。この裁判所手続は、具体的には、裁判ではなく仮処分という、迅速な手続となります。裁判はどうしても時間がかかるのですが、仮処分の場合、1-2ヶ月程度で実施可能です。その場合の弁護士費用の相場は、インターネット上の情報では

着手金が30万円程度、成果報酬金が30万円程度

https://monolith-law.jp/reputation/reputation-lawyers-fee

などと言われています。この手続では、IPアドレスの開示と削除を、同時に求めることが可能です。上記は両方を行うための費用となります。もっとも、対象とする投稿の内容や量によって、当然費用は変わってきます。

開示されたIPアドレスが海外proxy経由等であった場合

開示されたIPアドレスが海外proxyサーバ経由であった場合、日本の裁判所では海外proxyサーバーの設置者等を相手方として裁判を行うことができません。

この段階になると、裁判手続きへの移行となり専門的な知識が要求されるため、個人で実行することは現実的には難しい為、弁護士に依頼する必要がでてきます。

②ログの削除禁止

特定したIPアドレスを元に、次はISP(プロバイダ)に対して、そのIPアドレスを用いて投稿を行った者のログ(記録)の保存を請求します。

ISP(プロバイダ)は通信ログを保持していますが、いつまでもログを保存しているわけではなく、通常3ヶ月〜6ヶ月で削除してしまいます。そのため、発信者情報開示請求中にログが消去されてしまわないよう、ISP(プロバイダ)に対しログ保存仮処分請求や発信者情報消去禁止仮処分請求などと呼ばれる手続きをとります。

実際にはISP(プロバイダ)に対し、「発信者情報開示請求を行うので、ログを削除しないよう要請する」などの通知を出すことで事足りるケースが多くあります。まずは通知を検討し、その後の対応次第で仮処分申請を行うほうが効率的です。

③住所氏名開示請求

ISP(プロバイダ)に対し、投稿者の住所・氏名の開示を請求するため、発信者情報開示訴訟を提起します。住所氏名開示請求は、個人情報の中でも重要な情報である為、迅速に行える仮処分手続きはとれず、正式な裁判を経なければなりません。

一部のネットカフェ等からの接続であった場合

投稿者の住所・氏名の開示命令が出されて開示されるのは、あくまで「回線契約者の住所氏名」の為、ネットカフェ経由の書き込みの場合、ネットカフェの運営会社の住所・氏名が開示されることになってしまいます。

多くのネットカフェでは条例や業界団体のガイドラインにより会員登録や本人確認を実施していますが、ネットカフェはプロバイダ責任制限法上の「特定電気通信役務提供者」にあたらないため、発信者情報開示請求を行うことができず、これ以上の追跡が不可能になってしまいます。

特定が難しいケースについては下記の記事で詳しく解説しています。

④損害賠償請求

裁判所からISP(プロバイダ)に対し、住所氏名の開示命令が出されれば、特定した投稿者に対し損害賠償請求を提起し、一連の手続きで生じた弁護士費用や慰謝料などを請求することが可能となります。

但し、請求した損害賠償が裁判所にどの程度認められるか、認められたとして相手方に支払能力があるのかといったリスクが存在します。

そのため勝訴した場合でも十分な補償が受けられない場合も考えられます。

まとめ

したらば掲示板で投稿者を特定するには、複数の裁判手続きを行わなければなりません。

また、特定に至らないケースや特定できたとしても十分な補償を得られないリスクもあるため、これらのリスクを踏まえた上で法的措置を行使するか十分検討する必要があります。

これら一連の訴訟は非常に複雑で高度な専門的な知識が必要です。高いノウハウをもったネットの誹謗中傷事件に実績のある弁護士に依頼することが重要です。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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