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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

葬儀の口コミにおける風評被害対策とは

風評被害対策

葬儀の口コミにおける風評被害対策とは

葬儀の口コミとは、葬儀社、斎場、火葬場の情報を見ることができるサイトです。葬儀の口コミには、葬儀社の口コミを投稿することもできるので、ユーザーはそれらの口コミや基本情報をもとに葬儀社を選ぶことができます。葬儀の口コミに投稿される口コミの中には、「〇〇ホールのスタッフAは棺の扱いが雑でとても嫌な気持ちになった」「社長が脱税しているらしい」といったネガティブな口コミがある場合があります。そのようなケースでは、Googleなどの検索エンジンや葬儀の口コミ内で葬儀社を探しているユーザーが、ネガティブな口コミを見てしまう可能性があります。葬儀の口コミにネガティブな口コミが投稿されている場合、このような口コミに対し、削除依頼などの対応はできるのでしょうか。また、弁護士へ相談するべきなのはどのようなケースでしょうか。

葬儀の口コミとは

葬儀の口コミとは、葬儀社、斎場や火葬場を検索し、葬儀社の情報や口コミを見ることができるサイトです。会員登録をしなくても、葬儀社の口コミや情報を見ることができます。そのため、葬儀社の口コミに葬儀社などに関するネガティブな口コミが投稿されている場合、GoogleやYahooなどの検索エンジンや葬儀社の口コミで葬儀社を探しているユーザーが、その葬儀社で葬儀を行うことをやめてしまうかもしれないといったリスクがあります。

葬儀の口コミに投稿されるネガティブな口コミとは

葬儀の口コミに投稿される可能性のあるネガティブな口コミ例を挙げていきます

葬儀の口コミで葬儀社などを検索すると、特徴、利用方法やアクセスに加えて、口コミも確認することができます。葬儀の口コミに投稿される口コミは、スタッフによる審査を経てから掲載されるため、あまりないかもしれませんが、中には誹謗中傷にあたると思われるようなネガティブな口コミが掲載される可能性もあります。以下に、葬儀の口コミに投稿される可能性のあるネガティブな口コミの例を挙げます。

「〇〇ホールのスタッフAは棺の扱いが雑でとても嫌な気持ちになった」という口コミ

「〇〇ホールのスタッフAは棺の扱いが雑でとても嫌な気持ちになった」という口コミが書き込まれたケースです。棺の扱いが雑であったかどうかは、それぞれの人の感じ方にもよりますが、このように断定的に書かれてしまうと、悪い印象になることは否定できません。このようなネガティブな口コミにより、その葬儀社やホールへの葬儀の申込が減るといった悪影響を及ぼすリスクがあります。

「社長が脱税しているらしい」という口コミ

「社長が脱税しているらしい」という口コミが書き込まれている場合です。近くの葬儀社の社長が脱税で逮捕されており、その社長と混同されているという可能性もあります。このような場合に、「社長が脱税しているらしい」という口コミを投稿されてしまうと、その葬儀社の経営に悪影響をもたらす可能性があります。

その他、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿など

葬儀の口コミには、葬儀社などの満足度の範疇を超えて、特定の葬儀社やそのスタッフに対する誹謗中傷や風評被害をもたらすような口コミが投稿される可能性もあります。こうした口コミは、5ちゃんねるなどの匿名掲示板の誹謗中傷書き込みや風評被害書き込みと同じように削除されるべきであると考えられます。5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の書き込みの削除依頼の方法については、下記記事にて詳細に解説しています。

クチコミガイドライン違反で削除請求する方法

葬儀の口コミのクチコミガイドラインに違反していると思われる口コミが投稿されている場合には、トップページの一番下の「お問い合わせ」をクリックして、以下のお問い合わせ専用フォームから報告することが可能です。「問い合わせの種類」の「口コミ投稿について」にチェックを入れて、問い合わせ内容を記載して送信することができます。

葬儀の口コミ問い合わせフォーム画面より

クチコミガイドラインによれば、ガイドラインに違反する口コミについては、削除する場合があるとのことです。クチコミガイドラインには、以下の記載があります。

3.企業へ悪影響を及ぼすかつ内容の確認が困難な事象についての投稿はご遠慮ください
「葬儀の口コミ」はあくまでも個人の感想を共有するサイトです。企業へ悪影響を及ぼすかつ 事実関係の確認が困難な事象の書き込みはご遠慮ください。

※「葬儀の口コミ」では、投稿された口コミの内容が事実かどうかの確認は行っておりません。 なお、事実関係の確認が困難 (感想としての記述ではないもの)で、かつ他のユーザーや企業から 「その内容は事実と異なる。」という連絡があった口コミについては、「葬儀の口コミ」側で 連絡いただいた内容を元に確認し、本項に該当すると判断した場合には、当該口コミを削除する場合がございますのでご了承ください。口コミの修正・削除依頼等は弊社が規定する申請書を ご提出して頂きます。提出後に内容確認し、審査をいたしますが受託の場合のみ申請者へメール通知をいたします。

葬儀の口コミクチコミガイドラインURL:https://soogi.jp/guidelines/

クチコミガイドラインの上記抜粋によれば、一つ目の例の「〇〇ホールのスタッフAは棺の扱いが雑でとても嫌な気持ちになった」という口コミは、「企業へ悪影響を及ぼすかつ内容の確認が困難な事象についての投稿」として報告できるものと考えられます。クチコミガイドラインには、「口コミの修正・削除依頼等は弊社が規定する申請書をご提出して頂きます。」と記載されていますが、その申請書はサイトには載っていませんので、上記お問い合わせ専用フォームで連絡してから受け取ることがきるものと思われます。

違法を理由として削除請求する場合の例

違法として削除請求する場合は、名誉毀損が考えられます。

クチコミガイドライン6.の「個人への誹謗中傷、企業への断定的批判、及び不適切な表現は禁止します」については、名誉毀損(名誉権の侵害)を検討する必要があります。名誉毀損とは、どのような場合に成立するのでしょうか。その要件は、以下の三つです。

  • 公然と
  • 事実を摘示し
  • 人の名誉を毀損する

上記の例のように、「社長が脱税しているらしい」という口コミが投稿された場合であれば、

  1. 「社長が脱税しているらしい」といった記載は、具体的な意味内容であり、
  2. 社長が脱税している葬儀社であると思われることは当該葬儀社にとって不利益であるところ
  3. 社長に脱税の事実はなく、近くの葬儀社の社長で脱税を報道された人物と混同しているのではないか

といった主張をしていくことになります。ただし、名誉毀損の要件を満たしていても、以下の条件にあてはまる場合は、名誉毀損は成立しませんので、ご注意ください。

  • 公共性がある
  • 公益性がある
  • 真実である又は真実相当性が認められる

上記の例だけでなく、その他の誹謗中傷口コミや風評被害口コミも同様に、名誉毀損に該当するかどうかについて検討を加えるべきでしょう。ただ、こうした主張や法的な議論に基づく削除交渉は、法律に詳しくないと難しいかもしれません。豊富なノウハウを持つ弁護士へ相談すれば、スムーズに削除できる場合が多いです。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による削除

問い合わせフォームから連絡しても口コミが削除されなかった場合、どのような方法が考えられるのでしょうか。その場合は、裁判所を通じて削除請求をすることができます。葬儀の口コミに投稿された口コミは、訴訟手続によらずとも、仮処分という手続によって削除することが可能です。訴訟は、スムーズに進行したとしても3-12ヶ月程度はかかることが多く、ケースによっては1年以上かかる場合もあります。一方、仮処分は、風評被害に詳しい弁護士へ相談すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどで終えることができる可能性が高いです。
仮処分の流れは、以下の通りです。

  • 仮処分の申立て
  • 審尋(口頭弁論のような手続)
  • 担保金の納付
  • 仮処分命令の発令
  • 執行

仮処分の場合、法的な主張に加え、その主張を立証するための証拠も必要になります。例えば、上記の「社長が脱税しているらしい」という口コミが投稿されたケースであれば、

  • 当該葬儀社の社長の確定申告などに関する書面
  • 近くの葬儀社の社長の脱税を報道する書面

などを証拠として提出し、「当該葬儀社の社長が脱税しているという事実はなく、近くの葬儀社の社長で脱税が報じられた人物と混同されている可能性がある」といった主張を行います。ただし、このような主張やその立証を弁護士へ依頼せずに単独で行うのはとても難しいものと思われます。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による投稿者の特定

根も葉もない誹謗中傷口コミや風評被害口コミが、長年にわたって多数投稿されている場合、弁護士に依頼して、発信者情報開示請求を行うことができます。発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項による手続です。この手続により、誹謗中傷口コミや風評被害口コミを投稿している人物のIPアドレス、氏名、住所などの情報の開示を請求することができます。
葬儀の口コミには、誹謗中傷などの口コミを防ぐためにクチコミガイドラインが制定されていますが、特定の葬儀社やそのスタッフを恨んでいる人物が何の根拠もないデマや誹謗中傷にあたるような口コミを投稿している可能性が全くないとは限りません。そのような場合、投稿者のIPアドレスなどの情報がわかれば、発信者を特定することができます。発信者特定の手続は、以下の通りです。

  • コンテンツ・サービス・プロバイダへ情報開示請求
  • 発信者情報開示の仮処分申請
  • 経由プロバイダを特定
  • 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分申請
  • 発信者情報開示請求の訴訟
  • 裁判所の判決に基づき、発信者を特定

上記の手続を経て投稿者を特定できた場合、投稿者の特定に必要となった弁護士費用や慰謝料を、投稿者に対して損害賠償請求することができます。発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。

まとめ

葬儀の口コミは、葬儀社を検索して、アクセスなどの基本情報や口コミを見ることができるサイトです。葬儀の口コミでは、スタッフが内容を確認してから口コミが掲載されるため、あまり多くはないかもしれませんが、誤解や悪意などに基づく誹謗中傷口コミや風評被害口コミが全くないとは言い切れません。そうした悪質な投稿については、問い合わせフォームから報告をしたり、それでも削除されない場合は、裁判所を通して削除請求や投稿者特定手続をしたりした方がよいケースもあります。名誉毀損などの法的な主張は、弁護士へ依頼せずに行うのは難しいかもしれません。誹謗中傷口コミや風評被害口コミでお悩みの場合は、豊富な知識を持つ弁護士に早めに相談することが大切です。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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