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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

承諾なしでの写真等の公表と著作権の関係

風評被害対策

承諾なしでの写真等の公表と著作権の関係

あなたが撮影されている写真等をあなたの承諾なしに公表されたとき、あなたは肖像権侵害で訴えることができる可能性があります。

では、あなたが撮影した写真等をあなたの承諾なしに公表されたときはどうでしょう。この場合には、あなたは著作権侵害で訴えることができる可能性があります。著作権法は著作者に対して、著作物を作った瞬間に多くの権利を与えてくれます。それらは「著作権」「著作者人格権」「著作隣接権」の3つに分類することができます。「著作権」は、著作物の利用を独占し、他人に許諾したり使用料を請求したりする権利です。著作権法は多くの権利に分かれているので、権利の束といわれるのですが、著作権法に含まれるひとつひとつの権利を支分権といいます。ネットへの公開で問題となる支分権は、「複製権」と「公衆送信権等」です。

著作権法(複製権)

第21条 

著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

(公衆送信権等)

第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

21条の「複製権」は、著作物をコピー(複製)する権利で、著作権の中で最も重要で基本的な権利であり、著作者がその権利を専有しています。つまり、著作者のみが権利を有しています。23条の「公衆送信権等」は、インターネットやテレビ放送、通信カラオケ等で公衆に送信したり送信可能な状態に置いたりする権利で、これも、著作者がその権利を専有しています。

著作権を侵害されたとして、発信者情報開示を求めた事例

以下、著作権を侵害された事例を紹介します。

原告が、氏名不詳者がインターネット掲示板に自分が撮影した写真を投稿したことにより著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害されたとして、経由プロバイダに対して発信者情報の開示を求めた事例があります。

原告が自身を被写体とした写真を自撮り(スマートフォン等を用いて撮影者自身を撮影する)に用いられるアプリを利用して撮影し、その後、Twitterのプロフィールページに同写真を掲載したところ、本件発信者が上記原告写真を原告の許諾なしに複製して、「SNOWでもブスだ」「ブスには必須アプリね」等の記事に掲載し、掲示板「ホストラブ」に投稿したというものです。

裁判所は、自撮りしたものであるから原告が原告写真の著作者であると認め、本件記事に掲載された本件写真は原告の著作物である原告写真を複製したものであるから、本件発信者による本件記事の投稿は原告写真に係る原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たると認めました。そして、原告には損害賠償請求権等行使のために本件発信者情報開示を受けるべき正当な事由があるとして、請求を認容しました。

被告は「本件記事は、単に、原告のTwitterのアカウント画面へのリンクを張っているにすぎず、同画面に表示されている顔写真を、本件記事を投稿した者が複製しているわけでも、公衆送信しているわけでもない」と主張しましたが、裁判所は、

本件記事に掲載された本件写真を含む原告のTwitterのアカウント画面様の表示はリンクではなく、本件記事に張り付けられた画像であって、単に閲覧者がアイコン状の表示をクリックすると当該投稿番号の投稿文とともに上記画像が拡大して表示される形式になっているにすぎないと認められる。


東京地方裁判所2017年6月9日判決

として、被告の主張を退けました。

有料写真をWebで無断使用されたとして、著作権侵害を訴えた事例

有料写真を販売する会社が、自社の有料写真を法律経済事務所のWebサイトで無断使用されたことについて、損害賠償を請求した事例があります。裁判所はまず、原告会社がウェブサイトに複数の写真を掲載されたことにより、著作権(複製権、公衆送信権)を侵害されたことを認め、また本件写真の独占的利用権を侵害されたことを認めました。

有料写真が無断使用されて損害賠償を求めた場合、使用者が「他のサイトから入手した」と主張して応じないことが多く、従来ならこうした加害者に著作権侵害の故意や過失があったことを立証する必要があり、被害者の立証責任のハードルを高くしていたのですが、裁判所は写真を無断使用した従業員EがこれまでWeb制作会社を設立し、ホームページの作成を業務としていたことから、

このようなEの経歴及び立場に照らせば、Eは、本件掲載行為によって著作権等の侵害を惹起する可能性があることを十分認識しながら、あえて本件各写真を複製し、これを送信可能化し、その際、著作者の氏名を表示しなかったものと推認するのが相当であって、本件各写真の著作権等の侵害につき、単なる過失にとどまらず、少なくとも未必の故意があったと認めるのが相当というべきである。

東京地方裁判所2015年4月15日判決

としました。加害者に故意や過失があったかどうか立証しなくても、無断使用した事実さえ証明すれば勝訴できるという重要な裁判例になりました。

また、「著作者人格権」の氏名表示権の侵害も、あわせて認められました。冒頭であげたように、「著作者人格権」は著作権法の一部であり、著作物の創作者である著作者が精神的に傷つけられないよう保護する権利の総称です。

著作権法(氏名表示権)

第19条 

著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

2 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。

料金を支払った場合には氏名表示を省略することが認められていたのですが、「その著作物が違法に利用されるような場合についてまで、氏名の表示を省略することを承諾していたと認めるに足りる証拠はない」とされたのです。こうして、被告法律経済事務所に使用者責任を認め、原告らに合計約30万円の慰謝料等の支払いが命じられました。

サンプル写真を無断でFacebookのカバー写真等として掲載した事例

最後に身近なSNSで起きた事例を見ていきましょう。

写真家である原告が、被告会社ないしその代表者が、原告が撮影した写真を被告会社のウェブサイト等に無断で掲載し、原告の写真著作物に係る複製権等を侵害したとして、訴えた事例があります。

原告写真家は写真展会場を撮影したサンプル写真(各画像右下にsampleと記入)のデータを被告会社に渡したのですが、代金額の折り合いがつかなかったために、写真の売買契約は成立しませんでした。そこで、原告はデータの破棄を求めるメールを送信したのですが、被告会社は原告の写真2枚をsample表示を消去するなどの修正を施して被告会社のウェブサイト及びFacebookのカバー写真として掲載しました。また、撮影者である原告の氏名は一切表示しませんでした。

裁判所は、本件の2枚の写真を、その構図や光量その他のカメラワークに撮影者の個性が顕れていることから創作性が認められるとし、原告が著作権を有する写真著作物と認めました。そして、被告は原告からデータの破棄を求められていたのに、被告会社のウェブサイト及びFacebookに画像を掲載し、未公表の写真を著作者名を表示せずに公表したのであるから、複製権、公衆送信権を侵害し、また著作者人格権(公表権及び氏名表示権)を故意又は過失により侵害したと認めて、2枚の写真に係る複製権及び公衆送信権の行使につき受けるべき金額5万円、著作者人格権(公表権及び氏名表示権)の侵害によって被った精神的苦痛を慰謝するための金額10万円、弁護士費用相当額10万円、合計25万円の支払いを命じました。

著者のサイトやTwitterから転載したのではなく、未公表の写真であったので、公表権も侵害したとされたのです。

著作権法(公表権)

第18条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

緊縛写真をTwitterに無断転載し、誹謗中傷した事例

緊縛写真のモデルである原告が、共同著作者がTwitterに投稿した写真を被告が無断で転載し、原告を誹謗中傷するツイートを続けたことに対し著作権侵害、プライバシー侵害、肖像権侵害を求めた事例があります。

写真は、民家風の建物の畳敷きの室内において、鞭を持って座っている男性Aの正面に、女性が縄で緊縛された状態で柱に吊るされている状況を、カメラを固定し自動撮影したものですが、被写体の選択・組合せ・配置、構図・カメラアングルの設定、被写体と光線との関係、陰影の付け方、部分の強調、背景等の総合的な表現に撮影者等の個性が表れており、創作性が認められ、著作物にあたると認められました。また、裁判所は、共同著作者であるAは原告に著作権を譲渡した後で、原告の許可を得て自己のTwitterに写真を掲載していたことを認め、原告に無断で自己のTwitter上にAが掲載した写真をアップロードした被告の行為は、原告の複製権及び公衆送信権を侵害したものとしました。

被告はTwitterで公開されている写真を転載しただけなのだから著作権侵害には当たらないと主張したのですが、本件写真がTwitter上で公開されているものであること、また、転載がTwitter上のみであることは何ら著作権侵害を否定する理由とはならない、とされました。

また、本件写真は、「その内容に照らし、一般人の感受性を基準にして公開を欲しないものといえるから、このような写真を本人の許諾なく公開することはプライバシー権を侵害し得るものである」とし、「本件写真の被写体の女性が原告であることは未だ社会に知られていなかった事実といえるところ、本件被告行為によって初めて被写体の女性が原告であるとの同定が可能となり、同事実が公にされるに至ったものと認められる」として、

被告は、自己のTwitter上に本件写真をアップロードすることにより、本件写真の被写体の女性が原告であるとの同定を可能ならしめているところ、その際、「プロの縄師は決して素人モデルなんか吊るす事は無い、縄の嗜好を持つ者なら誰でも知っている事実」、「また一つ嘘がバレちゃいましたね!」とツイートしていることも併せ考慮すれば、原告の公開を欲しないであろう写真を暴露するために、本件被告行為を行ったものといえ、前記2のプライバシー権及び人格的利益の侵害について故意を有していたものと認められる


東京地方裁判所2018年9月27日判決

とし、また、「肖像権と呼ぶかは別として、人は、自己の容ぼう、姿態を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有すると解される」として、プライバシー権等の侵害を認め、本件写真と同種趣向の写真をインターネットで利用する際の利用料は6か月以上1年未満の掲載期間で12万1500円とされているものがあることから、原告が被告からその著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額12万1500円、原告がプライバシー権等の侵害により被った精神的苦痛を慰謝するのに必要な金額30万円、弁護士費用5万円、合計47万1500円の支払いを、被告に命じました。

まとめ

あなたが撮影した写真等をあなたの承諾なしに公表されたとき、著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害されたとして、訴えることができる可能性があります。もちろん、被写体があなた自身であれば肖像権侵害、誹謗中傷された記事への転載であれば名誉毀損、名誉感情の侵害、プライバシー侵害等もあわせて請求できる可能性があります。当法律事務所の経験豊かな弁護士にご相談ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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