弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-18:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

転職会議の口コミ削除方法とは?弁護士に相談するメリットも解説

風評被害対策

転職会議に投稿される口コミによる風評被害とその対策とは?

転職会議には、延べ300万件以上の企業の年収や労働環境等に関する口コミが寄せられています。転職活動の際、転職会議の口コミを参考にした方は非常に多いでしょう。ただ、転職会議には、その企業に関するネガティブな投稿も多数見受けられます。そのため、企業にとっては、風評被害により自社の評判が落ちることが懸念されます。

この記事では転職会議の口コミの削除方法について解説します。また弁護士に相談するメリットについても解説します。

転職会議とは?

転職会議とは?

転職会議では、特定の企業の「年収・評価制度」「仕事のやりがい」「スキルアップ」「福利厚生」「成長性や将来性」「ワークライフバランス」「女性の働きやすさ」「入社後に感じたギャップ」「退職理由」などに関する口コミを見ることができます。その企業の従業員や退職者からの投稿がなされるため、リアルな情報が知りたい転職希望者にとってはとても参考になります。

また、口コミサイトだけでなく転職サイトとしても機能し、10万件以上の求人が掲載されています。運営元は「株式会社リブセンス」です。口コミを投稿したり掲載された口コミを見たりするためには、会員登録(無料)が必要です。

転職会議に投稿された口コミが企業に及ぼす悪影響

転職会議には、企業の従業員や退職者から様々な口コミが書き込まれます。そのため、ポジティブな口コミによってその企業への転職希望者が増えるなど、口コミは企業にとって良い影響もあるでしょう。

一方で、好ましくない口コミにより、企業に悪影響が出る可能性もあります。具体的には、採用において良い人材が集まらなくなる可能性があります。悪質な口コミを見て、その企業への転職をためらうことも考えられます。

また、好ましくない口コミが多くあれば、企業への信頼が低下し、その商品やサービスの利用を控える人もいるでしょう。取引先が減ったり、売り上げに悪影響が出ることもあります。

転職会議で削除対象になる口コミの条件と具体例

転職会議に口コミを投稿する人には退職者が多くいます。そのため、どうしてもその企業に対する批判的な内容が多くなりがちです。転職会議の 口コミ投稿ガイドラインによると、批判的な内容だとしても、建設的な投稿であれば掲載する方針だと記載されています。

つまり、批判的な内容だとしても、転職の判断に有用な情報だと判断されたなら、掲載されてしまうこともあるのです。閲覧者は、その企業に勤めた経験がある人からのリアルな情報が知りたいので、ネガティブな内容の投稿の掲載は致し方ないと言えるでしょう。

ただ、どんな内容の口コミでも掲載されるわけではありません。口コミ投稿ガイドラインでは、削除対象となる口コミの内容も定めているので、以下に紹介します。

役員の私生活に関する情報

「役員の〇〇は休日はゴルフ三昧」「役員の△△は武蔵小杉のタワーマンションに住んでいる」など、役員の私生活に関する情報は削除の対象です。こうした情報は転職希望者にとって役立つ情報ではないためです。ただ、私生活以外での役員に関する投稿は問題ありません。

個人を特定する投稿

一般社員に関する投稿も可能ですが、その個人を特定しうる内容の投稿は削除対象です。実名はもちろん、伏せ字やイニシャル、ニックネーム、身体的特徴などについても、個人を特定できるものであれば削除されます。「パワハラをする社員がいる」など個人の特定ができない内容なら問題ありません。また、役職名の記載に関しても、個人が特定できないものであれば削除対象外です。

転職会議 口コミ投稿ガイドライン
(転職会議 口コミ投稿ガイドライン「1.個人に関する投稿をする際には以下の点に気をつけてください」より参照)

誹謗中傷表現

転職希望者に対する客観的な情報提供を目的としているため、特定の個人や企業に対する誹謗中傷を意図する投稿は削除対象です。

例えば、「デブ」や「不細工」など外見・容姿に関する表現、「無能」や「クズ」といった内面的な能力等に関する表現が該当します。企業に対しては「人生を無駄にする」「お先真っ暗」など定義が曖昧な悪意ある表現も削除となる可能性が高いです。

また、「こんなクソ企業潰れたほうがいい」など乱暴な言葉遣いの投稿も削除対象です。(転職会議 口コミ投稿ガイドライン「2.誹謗中傷を意図した投稿はやめましょう」参照)

事実確認が困難な情報

本人による実際の体験談でないと正確な情報とはいえません。そのため、伝聞や憶測による投稿は削除されてしまいます。

事実確認が困難な情報に該当する例は以下の通りです。

  • 新入社員へのいじめがひどく、飲み会では上司から普通に暴力を振るわれることもあるとか…。
  • 私がいた頃は有休もろくに取れない環境でした。おそらくこの忙しさは今も続いているのではないでしょうか?
  • この会社に勤めていたら、いずれ必ず精神を病んでしまうときが訪れます。
転職会議 口コミ投稿ガイドライン
(転職会議 口コミ投稿ガイドライン「3.事実関係の確認が困難な投稿はやめましょう」参照)

誇張表現や断定的な批判

実際はあるものにたいして「無い」と言ったり、少しは可能性があるのに「全くない」と言い切ったりなど、誇張表現や断定的な批判は削除対象です。これらは正確な情報とは言えず、誤解を招く恐れがあるからです。(転職会議 口コミ投稿ガイドライン「4.誇張した表現や、断定的な批判を含む投稿はやめましょう。」参照)

誇張表現や断定的な批判の例は以下の通りです。

  • 休日が1日も無い
  • スキルアップは不可能
  • 社長は仕事を全くせず、社長室でふんぞり返っているだけ
  • 入社してはいけない

閲覧者が不快に思う内容

「変換ミスや誤字脱字が多い投稿」「絵文字や「W」を使うなどビジネスマナーとして良くない投稿」「意味の不明瞭な投稿」などは、情報の質の向上のため、削除対象となります。サイトとしては、「です・ます」調のていねいな表現を推奨しています。(転職会議 口コミ投稿ガイドライン「5.閲覧者が不快に思う投稿はやめましょう。」参照)

上記に該当する内容の口コミであれば、削除とされる可能性が高いです。他にも、名誉毀損やプライバシー侵害など法的に明らかに問題があると断言できるような口コミも削除対象です。

転職会議の口コミを企業が削除する方法

転職会議には削除専用の問い合わせフォームは設けられていません。削除請求も含め、全ての依頼を「問い合わせフォーム」から受け付けています。電話で削除請求したり運営元のリブセンスに直接問い合わせたりしても、対応してもらえないので注意してください。また、投稿を行った本人による削除請求にも応じていません。

問い合わせフォームから削除請求する場合は、具体的にどの口コミが問題となるのか明記し、根拠となる利用規約も合わせて記載しましょう。その際は、上記の口コミ投稿ガイドラインを参照するほか、利用規約に含まれる禁止事項(第14条)も利用できます。削除したい口コミと禁止事項を照らし合わせ、どの部分に違反しているのか明記してください。

転職会議の利用規約画面
転職会議の利用規約画面 第14条より

ただ、転職会議は削除成功率が非常に低いことで有名なサイトです。運営元のリブセンスが発表したところによると、転職会議の口コミの削除成功率は0.02%ということです。やはり、転職者に役立つリアルな情報を提供するというサイトの性質上、残念ですが、明らかに問題がある内容でない限り、削除は難しいのです。

削除依頼する時の注意点

注意するべきは、転職会議では、同じ投稿に対して2回以上の削除依頼は認められない点です。例えば、口コミの部分削除が行われた後に、全文の削除請求を行うのは不可能というわけです。部分削除では該当部分だけ「×」で表示され、残りの文章は公開されてしまいます。そのため、「×」以外の箇所を読めば、何が書かれているか予測できる場合もあるでしょう。

つまり、確実に風評被害を発生させないためには、全文の削除請求が好ましいです。全文削除してもらうには、依頼方法も工夫せねばなりません。どうするかというと、口コミ全文の違法性を主張するのです。

例えば、「営業部の前田課長はパワハラやセクハラを日常的にする最低なサイコパス上司」という投稿がされたとしましょう。この口コミに対し「営業部の前田課長という表現は個人を特定できる表現なので、プライバシーの侵害に該当します」との説明では、個人名の違法性しか主張していません。これでは、個人名だけ伏せた形で口コミが残る可能性が高いです。

一方、「パワハラやセクハラの事実は確認できず、会社及び個人の名誉を毀損している」との主張であれば、口コミ全体の違法性を述べているので、全文削除に応じてくれる可能性が高まります。判断基準は公表していないので確実なことは言えません。ただ、複数回の削除に応じてくれないのは確かなことです。一度の請求で目的を達成するために、サイトへの削除請求の際は口コミ全文の違法性を主張しましょう。

転職会議の口コミを法的手段で削除する3つの方法

前述の通り、転職会議の口コミの削除成功率は0.02%であることから、問い合わせフォームから削除できる可能性は低いです。そのため、弁護士に相談したうえで法的な手段を用いて削除する方法を検討するといいでしょう。法的手段として、以下の3つの方法が考えられます。

  • 送信防止措置請求による運営元への削除依頼
  • 裁判所を通じての削除仮処分申立
  • 発信者情報開示による投稿者の特定及び削除依頼

それぞれの方法について解説していきます。

送信防止措置請求による運営元への削除依頼

削除を依頼する法的手段として、送信防止措置請求という方法があります。法に基づく請求であることから、問い合わせフォームによる削除依頼よりも削除に応じてもらえる可能性は高まります。

送信防止措置請求とは、プロバイダ責任制限法に基づく手続きで、送信防止措置依頼書を運営元へ送り任意に削除に応じてもらう請求です。しかし、送信防止措置請求は裁判外の手続きであり、必ずしも相手が削除に応じてくれるとは限らないことに注意が必要です。また、全文は削除されず部分削除になる可能性があることにも留意しましょう。

送信防止措置請求については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:プロバイダ責任制限法の送信防止措置請求依頼書の書き方とは

裁判所を通じての削除仮処分申立

送信防止措置請求を行っても口コミが削除されない場合には、削除の仮処分を裁判所に申し立てる方法があります。申し立てが認められ、裁判所から運営元のリブセンスに対して「法的に問題がある口コミだから削除してくれ」と命令が出されれば、口コミの削除が可能です。削除仮処分が認められるには、(1)被保全権利、(2)保全の必要性、という二つの要件を満たす必要があり(民事保全法13条1項)、弁護士に依頼をすることでスムーズに手続きをすすめることができます。

削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:誹謗中傷対策において重要な「削除仮処分」とは

発信者情報開示による投稿者の特定及び削除依頼

上述の手段のほか、発信者情報開示によって口コミの投稿者を特定し、投稿者本人に修正させるという方法もあります。投稿者が特定できれば、名誉毀損や誹謗中傷にあたる口コミの投稿者に対して、損害賠償請求をするなどして責任を追及することも可能です。

具体的には、令和4年10月1日より開始された「発信者情報開示命令事件」の非訟手続きをとることにより、従前の投稿者特定手続よりも少ない手続きで迅速に投稿者を特定することが期待できます。「発信者情報開示命令事件」については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:令和4年10月1日開始の「発信者情報開示命令事件」を解説 投稿者特定が迅速化される

転職会議の口コミ削除を弁護士に依頼するメリット

これまで説明してきたように、企業に悪影響を与える転職会議の口コミは早く削除することが望ましいですが、一方で転職会議の口コミを削除することは容易ではありません。企業の担当者が削除依頼をすることも可能ですが、削除を弁護士に依頼することには大きなメリットがあります。以下に説明していきます。

削除依頼の代理対応ができる

そもそも削除依頼においては、弁護士しか、権利を侵害されたとする当事者の代理人になることができません。弁護士でない者が報酬を得る目的で削除を代行することは、非弁行為とみなされる可能性があるためです。

また、弁護士に代理対応を依頼することで、企業側は、他の業務により集中できるでしょう。

短期間での削除に期待ができる

弁護士に依頼をせずとも、当事者である企業の担当者が送信防止措置請求などを行うことは可能です。しかし弁護士であれば、法的根拠をもって複雑な法的手続きをスムーズに行うことができます。そのため弁護士に依頼をした方が、短時間での削除に期待できます。企業に悪影響を及ぼす悪質な口コミは、早期に削除をすることが望ましいです。そのため、弁護士に削除依頼をするメリットは非常に大きいでしょう。

損害賠償請求などの民事訴訟にも対応可能

口コミの削除だけでなく、悪質な口コミの投稿者に対して損害賠償請求などによって責任を追及したいという場合もあるでしょう。その場合も、弁護士に依頼をしていると、削除だけでなく、その後の損害賠償請求等の民事訴訟にもスムーズに対応することができます。

まとめ:転職会議の口コミ削除は弁護士に依頼しましょう

転職会議は、特定の企業への転職を検討している方にとっては、有益な情報を得られるサイトです。転職に役立つ情報を提供するため、批判的な内容の口コミも多く風評被害が起こりやすいという特徴があります。しかし、運営会社のリブセンスはなかなか削除に応じてくれないと評判です。そのため、口コミを確実に削除するには法的な手段をとることが望ましいでしょう。法的手段をとる際には、弁護士、特にネットの誹謗中傷に詳しい弁護士に依頼することで、スムーズな削除が期待できます。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面で豊富な経験を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報を看過すると深刻な被害をもたらします。当事務所では風評被害や炎上対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

モノリス法律事務所の取扱分野:デジタルタトゥー

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

シェアする:

TOPへ戻る