風評被害対策

発信者情報開示請求とは?

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発信者情報開示請求とは?

誹謗中傷を行った人物を相手に裁判を起こそうとする場合、その人の氏名や住所などの個人情報を知っておく必要があります。しかし、インターネット上の誹謗中傷は匿名で行われるケースがほとんどであるため、書き込んだ人物(発信者)の特定は困難です。そこで、掲示板やブログなどのサイトの管理人(運営会社)やプロバイダに、書き込んだ人物の個人情報の開示を求め、投稿者特定を行うことが必要となります。これが、発信者情報開示請求です。 ここでは、発信者情報開示請求の手順を解説します。

発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求について、具体的に説明していきます。

発信者情報開示請求とは、『プロバイダ責任制限法第4条1項』によって規定されている情報開示請求の事です。インターネット上で他者に対して誹謗中傷等を行ったり、違法な書き込みや投稿を行った発信者の、住所や氏名、電話番号等の開示を掲示板・ブログなどの運営者やプロバイダに請求できる制度です。

開示請求の対象となる情報は以下の通りです。

  • 発信者氏名
  • 発信者住所
  • 発信者メールアドレス発信者IPアドレス
  • 発信者のIPアドレス/IPアドレスと組み合わされたポート番号
  • 携帯端末のインターネット接続サービス利用者識別番号
  • 利用者識別符号
  • SIMカード識別番号
  • 送信日時、時刻(タイムスタンプ)

プロバイダ責任制限法とは

プロバイダ責任制限法は、インターネット上で発信された情報ややりとりされた内容などによって、名誉棄損や著作権侵害、プライバシーの侵害等が生じた際に、サイトや電子掲示板の管理者、プロバイダが負うべき損害賠償責任を制限する法律です。

正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」で、2002年5月より施行されました。

発信者情報開示請求とプロバイダ

一般には、「プロバイダ」というと、NTTのようなインターネット接続業者のことを指します。しかし、「プロバイダ責任制限法」では、管理下のインターネットサービスにおいて法や諸権利に抵触する悪質な書き込みがあった場合に、そのサービスのプロバイダが当の書き込みを適宜削除できる権利や、その管理責任を問われる範囲などが規定されていますが、この場合、「プロバイダ」とはインターネット接続業者とは限らず、電子掲示板(BBS)の管理者などを広く指し示すと規定されています。プロバイダには、「コンテンツ・サービス・プロバイダ」と「経由プロバイダ」があるのです。

コンテンツ・サービス・プロバイダ

コンテンツ・サービス・プロバイダとは、掲示板やブログの運営会社を指します。例えば、「アメブロ」を運営するサイバーエージェント、「Yahoo!知恵袋」を運営するヤフー株式会社などがこれに当たります。 2ちゃんねる・5ちゃんねるのように、「そもそも運営会社はどの会社なのか」が一見分かりにくいサイト等もあります。

経由プロバイダー

経由プロバイダ(インターネット・サービス・プロバイダ)とは、インターネット接続業者のことを言います。例えば、NTT東日本、NTTドコモ、ソフトバンクなどです。 一般用語として言えば、固定回線の場合の「プロバイダ(ISP)」、携帯電話回線の場合の「携帯キャリア」がこれにあたります。

発信者情報開示請求の手順

コンテンツ・サービス・プロバイダに情報開示請求をする

発信者情報開示の手順について説明していきます。

ネット中傷事件での発信者情報開示請求は、まず「コンテンツ・サービス・プロバイダ」に対して行います。掲示板やブログの場合、サイトの運営者らは誹謗中傷を書き込んだ人物の氏名を把握していないことが多いのですが、書き込みが行われたときのIPアドレス(ログ)は通常、最近のものであれば保存しています。IPアドレスが分かれば、そこから書き込んだ人物を割り出し、特定者投稿を行うことが可能となります。コンテンツ・サービス・プロバイダは、掲示板やブログに書き込みを行った人物のIPアドレスを一定期間保存しています。

発信者情報を開示させるには、サイトの運営者(運営会社)に対して 「発信者情報開示請求書」という文書を提出する必要があります。この発信者情報開示請求書は、ひな形(テンプレート)に従って記入し、身分証明書を添えて、サイト運営会社に書留で郵送します。発信者情報開示請求書には、誹謗中傷が書きこまれたサイトのURL(アドレス)、請求者の氏名・住所、開示を求める理由などを記載する必要があります。 書式は、プロバイダ責任制限法関連情報Webサイトで配布されています。

発信者情報開示請求を行うと、サイト管理者やプロバイダは、請求者の主張が法律上の要件を満たしているかどうかを判断し、発信者情報の開示・非開示を決めます。管理者が任意のIPアドレスの開示請求に応じる場合もありますが、「裁判所による公的判断が下されない限り開示請求には応じられない」とする管理者に対しては、改めて発信者情報開示の仮処分を申し立てることとなります。プロバイダ側からすれば書き込みをした人物は顧客であり、個人情報保護の観点からも、プロバイダが任意の情報開示請求に応じてくれるケースは多くはありません。

発信者情報開示の仮処分申請をする

「裁判」ではなく「仮処分」を用いるのは、記事削除のみの時と同様ですが、発信者情報開示の場合は、仮処分を用いるべき強い理由があります。「速やかにIPアドレスを開示させないと、投稿者の住所氏名特定が不可能になってしまう」からです。 発信者のアクセスログは、短期間で廃棄されてしまう可能性があり、時間のかかる通常の裁判手続きでは、手遅れになってしまいかねないのです。

繰り返しになりますが、サイト管理者は、ある投稿に関して、その投稿者について、何を知っているでしょうか。ID・パスワードを使って利用するサービスの場合、そのIDを作る際には、メールアドレスを登録する必要があります。ということは、「投稿者のメールアドレスを知っている」とは言えそうです。ただ、そのメールアドレスは無料で簡単に作れる、いわゆるフリーメールアドレスかもしれません。しかし、間違いなく知っている情報があります。「IPアドレスとタイムスタンプ」です。

「IPアドレス」とは、インターネット上における、住所のような情報です。インターネットに接続しているあらゆるマシン、自宅のPCやスマートフォンなどは、固有の「IPアドレス」という住所情報を持っています。インターネットの仕組み上、相手(投稿者)のIPアドレスを知らなければ、通信を行うことができません。あるサイトに接続したり、投稿が行われたという場合、サーバーにはその投稿者の「IPアドレス」とアクセスした時間である「タイムスタンプ」が記録されています。

通常のサーバー管理者は、IPアドレスとタイムスタンプを記録しているので、「この違法な投稿を行った者のIPアドレスとタイムスタンプを開示してくれ」と仮処分や裁判で求めることとなります。

なお、この際に、上記の仮処分をどの裁判所で起こすことができるか、という問題があります。この点に関しては別記事で詳細に解説しています。

また、この際には、記事の削除を同時に求めることも可能です。

経由プロバイダを特定する

投稿者のIPアドレスから、経由プロバイダを特定します。 IPアドレスとは、具体的に言えば、以下のような情報です。

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IPアドレスには「この範囲からこの範囲は誰が管理している」という、「割り当て」のような概念があります。上記のIPアドレスは、ソフトバンクが管理しているIPアドレスです。だから、「投稿を行ったのはソフトバンクユーザーだ」ということまでは分かります。

そこで次に、ソフトバンク社を訴えることとなります。

「この時間にこのIPアドレスで接続していた人間の住所氏名を開示せよ」という請求です。ソフトバンクのような携帯キャリア、ニフティのような固定回線の経由プロバイダは、契約時にユーザーの住所氏名を取得しており、また、「ある日時にあるIPアドレスを、どのユーザーに割り当てていたか」というログを記録しています。だからソフトバンク社を訴え、勝訴すれば、当該投稿を行った者の住所氏名が開示されます。しかし、問題は、その時間的限界です。

この情報は、極めて膨大です。携帯キャリアであれば数千万人、経由プロバイダでも数百万人分の、上記のようなログを記録しています。したがって、経由プロバイダは、ログを一定期間で削除します。携帯キャリアであれば3ヶ月程度、固定回線の経由プロバイダでせいぜい1年程度です。そのため、投稿から訴訟提起までの間に時間をかけてしまうと、その間にログが消えてしまいます。特に携帯キャリアの場合、この時間制限は極めて重要で、わずか3ヶ月となっています。 例えば、「1ヶ月前の投稿に関して仮処分の申立の依頼を受け、書面や証拠を2週間で整え、サイトを相手に仮処分申立を行い、相手方も反論してきたから2週間かかり、その後1週間でIPアドレスの開示を受けた」とすると、もうこの時点で残り時間はわずか2週間程度です。どこかで余分に時間を使ってしまっていたら、投稿者特定に間に合わなくなってしまいます。

経由プロバイダに発信者情報消去禁止の仮処分申請をする

サイト管理者等のコンテンツ・サービス・プロバイダから発信者情報であるIPアドレスやタイムスタンプ等の開示を受けた後に、経由プロバイダに対して発信者の氏名等の開示を求めることになりますが、その経由プロバイダに対する手続きは、原則として通常の民事訴訟による必要があります。

通常の民事訴訟の手続きが終了するまでには数か月程度を要することが多いため、その間に経由プロバイダが保存しているアクセスログを消去しないように、証拠がなくなってしまわないように、この発信者情報消去禁止の仮処分の手続きが必要となります。

なお、経由プロバイダによっては、発信者情報消去禁止の仮処分の手続を用いず、裁判外の任意交渉でアクセスログの保全を求めることができる場合もあります。

発信者情報開示請求の訴訟

アクセスログの保全ができたら、いよいよ経由プロバイダを相手方とする発信者情報開示請求訴訟を提起し、発信者に関する「住所・氏名・メールアドレス」等の情報の開示を求めます。

プロバイダは原則として発信者の同意がない限り、発信者情報の開示に応じませんから、発信者情報開示請求は訴訟によって行うこととなります。訴訟の主な争点は、対象投稿等の記載が、原告(開示請求者)の権利を侵害するものであることが明白か否かです。

裁判所の判決を得て、発信者を特定する

訴えが認められれば、裁判所から経由プロバイダに対し、記事投稿の際に利用された契約者の氏名、住所、メールアドレス等を開示することを命じる内容の判決が出されます。

発信者情報が開示され、発信者が特定されたら、選択した対処方法を実行することができます。

  • 今後誹謗中傷を行わないと誓約させる
  • 損害賠償を請求する
  • 刑事告訴をする

上のような選択肢があります。

ネット上で誹謗中傷を受けた場合、早く対応することが大切ですが、誹謗中傷対策に詳しい弁護士に依頼すると、投稿者特定においてもスピーディーな対応を得ることができます。 なお、この際の弁護士費用に関しては下記記事にて詳細に解説しています。

モノリス法律事務所は、NHKドラマ「デジタル・タトゥー」の原案を務める代表弁護士の下、企業・個人の風評被害対策を多数手がけております。

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