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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

「氏ね」「タヒ」も名誉毀損に。ネットスラングの誹謗中傷の判断

風評被害対策

「氏ね」「タヒ」も名誉毀損に。ネットスラングの誹謗中傷の判断

ネット上に誹謗中傷には「死ね」という直接的な表現だけではなく、「氏ね」や「タヒ」のようなインターネット上の俗語が存在します。こうしたネットスラングによる誹謗中傷に対して法的責任を追及することは難しいのでしょうか?

実際の判例をもとに解説します。

裁判所による「氏ね」という文言の解釈

2ちゃんねるにおける投稿者の情報開示を経由プロバイダに求めた発信者情報開示請求の裁判で、裁判所は、

3名の原告らそれぞれに「死ね」を意味する『氏ね!!』との文言を付するほか、原告を『ゴミX社』の省略形である『ゴミX』と表現した上、『つぶれろ(倒産しろ)』を意味する『粒れろ!!』との文言を付するものであることが認められる

東京地方裁判所2011年1月11日

と、それぞれの言葉を正しく解釈して、

本件記事1後段の記載に照らせば、上記3名は死亡すべきであり、原告は倒産すべきである旨の意見ないし論評を、本件スレッド上の他の書込みにおいて摘示された各事実を前提として表明するものであり、上記3名に関する記載を含めて原告それ自体を誹謗、中傷し、その社会的評価を低下させるものであると認められる。

東京地方裁判所2011年1月11日

という見解を示しました。意見及び論評である点については、

口汚い侮辱的な表現を用いて原告を誹謗、中傷するものであるから、私的な嫌がらせ目的から出たものであり、専ら公益を図る目的に出たものではなく、意見ないし論評としての域を逸脱しているものと認められる

東京地方裁判所2011年1月11日

として、原告の社会的評価を低下させており、名誉毀損に当たるとして、経由プロバイダに投稿者の氏名・住所等の開示を命じました。

「氏ね」や「粒れろ」と表記しても、「死ね」「つぶれろ(倒産しろ)」と解釈されるという判決です。

裁判所による「タヒばいい」という文言の解釈

裁判所は『インターネット上の俗語として「タヒ」は「死」を表す言葉として使われており、「タヒばいい」とは「死ねばいい」の意味である』ということを認めた上で、

「Xタヒば、いいのに」という表現は、原告の存在価値を否定する侮蔑表現であるものと認められ、本件書込5は、同部分が原告の人格的利益を侵害するというべきである。

また、本件書込6は、名前欄に「もうすぐタヒ亡のX」と記した上で、書込番号「〉〉631」(「おかしなエステの悪質な他店叩きに要注意。」)を受け、「荒らしてるのはXですけどね」と記載しており、一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準にすれば、原告が同業他店に対する消極的な内容の書込をしている事実を摘示したものと読み取ることができ、原告の社会的評価を低下させるものであるというべきである。

東京地方裁判所2014年8月21日判決

とし、名誉毀損に当たるとして、経由プロバイダに投稿者の氏名・住所等の開示を命じました。

被告である経由プロバイダは、『「頭おかしい」などの表現のみでは、社会通念上受忍限度を超えて名誉感情を侵害するものとはいい難く、本件各書込が原告に対する侮蔑といえるかどうか疑義がある』としていたのですが、「Xタヒば、いいのに」や「もうすぐタヒ亡のX」という投稿も含めて考えれば、原告の存在価値を否定する侮蔑表現であることは明らかです。

まとめ

他者を「死ね」と罵倒する投稿は罪に問われるのか、問われるとしたらどういう罪が該当するのか、という問いに対する答えは、投稿全体の中で判断されることになります。

これは「死ね」に限らず、あらゆる文言において言えることですが、裁判では、個別の文言だけを取り上げて判断されるのではなく、その文言が投稿や投稿行為全体の中でどのような使われ方をされているかによって判断されます。

その判断は難しく、証拠保全にもある程度の経験やノウハウが必要になるため、専門の弁護士へ相談することをおすすめします。

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