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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Lighthouse(旧・カイシャの評判)におけるブラック企業口コミ投稿の削除

風評被害対策

カイシャの評判におけるブラック企業口コミ投稿の削除

当事務所にて、Lighthouse(旧・カイシャの評判)における、企業の労働条件の劣悪さ等を述べる口コミ投稿を、約20個まとめて削除する仮処分案件に成功致しました。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)は、エン・ジャパン株式会社が運営する、求人・転職系の口コミサイトです。現在、こうしたサイトは、大きく言って

  • Lighthouse(旧・カイシャの評判)
  • 転職会議
  • OpenWork(旧・Vokers)

の三強となっていますが、その一角がLighthouse(旧・カイシャの評判)、ということになります。当然SEOも強いため、企業によっては、企業名でGoogle検索を行った際の1ページ目内に当該企業のLighthouse(旧・カイシャの評判)ページが表示されるケースがあります。そのLighthouse(旧・カイシャの評判)において、評価が例えば★2点台であり、気になって中を見ると、ブラック企業、といった口コミ投稿が行われている、といった状況があると、特に求人面に大きな悪影響が生じてしまうことになります。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)の口コミ投稿削除の方法とは

以下、Lighthouse(旧・カイシャの評判)に投稿された口コミを削除する方法を紹介します。

あらゆるサイトに共通して言えることですが、Lighthouse(旧・カイシャの評判)に掲載されたネガティブな口コミ投稿の削除を求める場合、

  • 裁判所を用いずに裁判外で削除を求める
  • 裁判所を通じて、仮処分という手続で削除を求める

という二つの方法が存在します。

そして当然ながら、裁判所を用いない前者の方法が簡易であり、可能な限り前者の方法によるべきなのですが、ただ、Lighthouse(旧・カイシャの評判)の場合、下記のような傾向があります。

  • Lighthouse(旧・カイシャの評判)は、証拠などを添付せず単に「違法な投稿なので削除してくれ」と裁判外交渉で求めても、拒絶されるケースが多いサイトです
  • したがって、裁判外で削除を求めるとしても、当該投稿が違法である証拠(後述するように就業規則やタイムカード等)を用意する必要があり、準備段階での手間は、裁判外交渉でも仮処分でもあまり違いがありません
  • さらに、裁判外交渉による削除の場合、実際問題として、同時に多数の口コミ投稿の削除を求めることは難しく、例えば1個ずつ、数個ずつ、といった形で交渉を行わざるを得ないケースが多いと言えます

Lighthouse(旧・カイシャの評判)に限らない、一般論としての、仮処分と比較した場合の裁判外交渉のメリットは、

  1. 詳細な証拠を添付せずに交渉を行っても応じてくれるケースが多い
  2. 削除までの必要期間が短い
  3. (上記二点の結果として)費用も安価で済む

といった点だと思われますが、Lighthouse(旧・カイシャの評判)の場合、

  1. 裁判外交渉だとしても結局詳細な証拠が必要になる
  2. 仮処分に必要な期間はせいぜい2-3月程度であるところ、少しずつ削除を行うと、結局同じ程度の期間はかかってしまう
  3. その結果、費用もあまり変わらなくなってしまう

という傾向があります。3点目に関して、本件の場合、当事務所は、結果的には1レスあたり3万円強の費用で誹謗中傷口コミ投稿を削除できたのですが、裁判外交渉でも、費用は結局あまり変わらなかったものと思われます(※ただし、本件特有の各種事情なども踏まえた価格であり、今後同価格で削除を実現できることを保証できるものではありません)。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)上で問題となる誹謗中傷口コミ投稿

本件では、約20個の誹謗中傷口コミ投稿は、概ね、下記のような内容でした。

  • 残業時間が長く、その残業時間の一部はサービス残業である
  • 残業時間の給料が法定の最低賃金以下である
  • 早朝出勤を命じられるケースもあり、その場合に給料が出ない
  • 有給休暇の取得が出来ない
  • 営業職にインセンティブ報酬がなく、いくら売り上げても成果を反映した報酬が与えられない
  • 休日に強制的に出勤を求められる
  • 入社後一定期間は出世が出来ない
  • 特定の部署には女性の採用がない
  • 研修制度が一切存在しない

ある意味、Lighthouse(旧・カイシャの評判)で投稿される誹謗中傷口コミ投稿の典型と言えるものが多いと思われます。

こうした投稿について、裁判外交渉による削除でも仮処分による削除でも、削除を求める根拠の中心となるのは、いわゆる名誉毀損(名誉権侵害)という主張です。名誉毀損は、簡潔に述べれば、

  1. 記載されている事実が具体的であり
  2. それが企業にとってネガティブな意味内容であるが
  3. 当該事実は虚偽である

という場合に成立します。

付言すると

  1. 例えば単に「嫌な会社である」と書かれている場合、意味内容が具体的でなく、それは個人の感想に過ぎず(感想を口コミサイトに書くことの是非は別論)、「名誉毀損」とは言い難いケースがあります。
  2. 稀に、経営者について、「高級外車に乗っている」などと記載されることがあります。こうした記載は、当該経営者のプライバシー等、名誉毀損と別の論理で問題になることは別論、名誉毀損との関係で言えば、当該記載がネガティブであるとも言いがたく、違法だと主張することが困難です。本件の記載は全て、当該企業が労働法違反を行っている、といった内容であるため、この条件を充足します。
  3. この要件が問題です。当該記載が虚偽であるというためには、例えば残業代の話について言えば、一般的には、残業代について法律に基づく規定を置いている就業規則、ランダム抽出した従業員のタイムカードから読み取れる就業時間、それに対応する残業代の支払いを示す給与明細、といったものを証拠として提出し、法定通りに残業代を支払っている、という事実を立証して、当該記載が虚偽であると主張するケースが多いと言えます。

となります。

ブラック企業批判を行う口コミ投稿はどこまで具体的か

ただ、上記は、実際の口コミの記述との関係では、さらに複雑です。例えば本件では、下記のような記載がありました(一部を微修正済)。

労働時間・勤務時間・残業:長いです。残業は9時から申請ですが、手当は10時以降からでます。

この記載は、普通に読むと

  • 例えば、午後5時や午後7時などの定時から午後9時までの間は、残業を申請することすらできない
  • 申請したとしても、残業代が出るのは午後10時以降である

というように読み取れます。このことを、裁判外交渉による削除の場面における書面や、仮処分の場合の申立書(裁判における訴状と同じ機能を果たす書面)では、例えば、下記のように記載します。

本件投稿は、「労働時間・勤務時間・残業」という「残業」を含む項目の記載であり、かつ「残業は9時から申請」と直前に残業の話が主題になっている。したがって、「手当」とは、「残業手当」と読むのがこれを閲読した一般読者の普通の注意と読み方に沿う。
また、通常の会社の終業時刻は概ね午後5時から、遅くとも午後7時であるから、「残業は9時から申請ですが、手当は10時以降から出ます」との記載は、残業手当が支払われるのは、終業時刻後の時間帯である午後10時以降で、それまでの時間の勤務は、時間外労働に当たるにもかかわらず、残業手当が支払われないという事実を摘示するものである。

つまり、

  • 具体的な記載内容は、必ずしも意味内容が明確でないケースもある(「手当」とは?「10時」とは午前?午後?)
  • どのように読み取るのが自然であるかを、前後の文脈などをも含めて説得的に論証する必要がある

ということです。

同じような問題として、例えば、上記のように残業の時間などには触れること無く、単に「ブラック企業だ」と書かれた場合、当該記載は名誉毀損に該当するのか、という問題があります。

本件ではそうした投稿はありませんでしたが、当事務所は、こうした記述についても「違法である」として削除を認めさせたケースがあります。

では、虚偽の立証をするにはどのような証拠が必要になるのでしょうか。

どのような証拠を用意する必要があるか

口コミ投稿が虚偽であることを立証するための証拠収集は、記載内容や当該企業内の実情次第であり、正に、法律の専門家である弁護士が頭を使うべき場面です。本件の場合、上記の口コミ投稿に対しては、

  • 時間外労働に対して割増賃金を支払う旨が定められている就業規則と給与規定
  • 出張中の時間外勤務や事業場外の業務に関してみなし労働時間制を採用している就業規則(当該企業の業務の性質上、社外勤務が多く、食事や休憩の時間を各自の判断に任せているため、企業として管理することが困難であることから採用されていた)

といった証拠を提出しました。上記で述べた通り、

残業代の話について言えば、一般的には、残業代について法律に基づく規定を置いている就業規則、ランダム抽出した従業員のタイムカードから読み取れる就業時間、それに対応する残業代の支払いを示す給与明細、といったものを証拠として提出し、法定通りに残業代を支払っている、という事実を立証して、当該記載が虚偽であると主張するケースが多いと言えます。

「一般的な企業の場合」と「当該企業の場合」とで、提出すべき証拠が異なる、ということもある訳です。

何をもって「虚偽」と言えるか難しい誹謗中傷口コミ投稿

さらに、明らかに当該企業のイメージを損ねる投稿であるにも関わらず、どのような証拠をもって「虚偽」と主張すべきか、必ずしも明確ではない口コミ投稿も存在します。本件では、

営業職にインセンティブ報酬がなく、いくら売り上げても成果を反映した報酬が与えられない

この投稿が問題となりました。当該企業には、営業職に、売上額の一定割合などをインセンティブ報酬として付与するという制度自体は存在しなかったからです。

ただ、インセンティブ報酬の制度が無かったとしても、上記の口コミ投稿を行われることを、当然に許容しなければならない、とは考えにくいと思われます。上記の口コミ投稿は、明らかに当該企業にとってネガティブで、営業職の転職などに悪影響がありますし、正当な人事評価を行い報酬を設定している企業にとって、上記の口コミ投稿は、「虚偽である」と主張すべきものでしょう。

そこで本件では、下記のような主張を行いました。

当該記載は、成果を反映した報酬が与えられず、努力しても人事に反映されないという事実を摘示するものである。
上記事実は、当該企業は、従業員の功績に対し報いることがなく、成果を反映した人事評価を行わないことを示すものである。上記事実の摘示は、当該企業が働き甲斐のない職場であるとの印象を閲覧者に与え、転職希望者を減少させるものであって、債権者の社会的評価を著しく低下させたといえる。
当該企業は、優秀な社員に対する定期的な表彰や、金員支給を行っており、また、人事評価において詳細な客観的項目による評価表を作成して人事評価を行っており、当該記載は真実に反する。

つまり、

  1. そもそもその記載においてどのような意味内容が読み取れるか
  2. その意味内容がいかなる意味で当該企業にとってネガティブなのか
  3. どのような事・証拠をもって当該意味内容を「虚偽」と言えるか

という点について、検討を行う必要がある、ということです。そして、「虚偽」というための証拠として

  • 表彰の制度や実際の表彰の事実を伝える社内広報誌
  • 評価表の例
  • それに基づく昇給の例

といったものを提出することになります。

まとめ

このように、Lighthouse(旧・カイシャの評判)のネガティブな口コミ投稿の削除は、

  • どのように主張を組み立てるか
  • どのような証拠を用意するか

という点で、法律的な意味において難しいものではあるのですが、ただ、風評被害対策を手がける法律事務所は、これらの組み立てや証拠収集にノウハウを持っています。こうしたノウハウのある法律事務所であれば、個別具体的に異なる各社の事情や、対象となるネガティブな口コミ投稿に合わせた主張構成・証拠収集により、問題の投稿を削除できる可能性は十分にあると思われます。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)のネガティブな口コミ投稿は、企業にとって、特に求人面に大きな悪影響を及ぼすものです。その削除を検討する場合は、風評被害対策にノウハウを有する法律事務所に相談を行うべきであると言えます。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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