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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Indeed(インディード)の口コミを削除する方法とは

風評被害対策

Indeedにおけるネガティブな口コミへの対応策とは?

求人検索エンジンIndeedでは、求人サイトや企業サイトにある多くの求人情報を検索することができます。また、企業の働きやすさなどに関する口コミが投稿されているので、気になる企業の口コミを確認することもできます。しかし、「店長がお店の商品を無断で持ち帰っている」「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」といったネガティブな口コミが書き込まれてしまう場合もありえます。そのようなネガティブな口コミが投稿されてしまった場合には、IndeedやGoogle等で企業名を検索したユーザーが、それらの口コミを目にするリスクがあります。こうしたネガティブな口コミについては、削除等の対応を行うことができるのでしょうか。また、どのような場合に弁護士へ相談する必要があるのでしょうか。

Indeedとは

Indeedでは、キーワードと勤務地を入れて検索し、条件に当てはまる求人を探すことができます。希望の求人が見つかれば、その求人へ応募することもできます。また、実際にその企業で働いている従業員や元従業員による口コミを見ることもできるので、ユーザーはそれらの口コミを参考にして応募する企業を決められます。口コミの1件目は誰でも確認することができ、2件目以降はタイトルと星の数だけが表示されており、その内容は履歴書を作成することにより閲覧することができます。ネガティブな口コミが書き込まれていると、IndeedやGoogle等の検索エンジンを使って企業を検索し、求人情報に応募しようとしているユーザーが、その口コミを見て応募をためらってしまう可能性があります。

Indeedに投稿されるネガティブな口コミとは

Indeed では実際に働いたことのある従業員からリアルな口コミを見ることが出来ます。

Indeedで会社名やキーワードを入れて求人情報を検索すると、該当する求人情報が出てきます。また、その会社で働いている従業員や働いていたことのある元従業員によって書かれた口コミを見ることができます。企業の働きやすさや待遇などについてのリアルな口コミを確認することができるのです。会社の求人に応募するかどうかを決めようとしているユーザーにとって、リアルな口コミを見ることができるのはとてもありがたいのですが、誹謗中傷などのネガティブな口コミが書かれてしまう可能性もあります。Indeedの企業口コミには、どのようなネガティブな口コミがあるのでしょうか。以下に、想定されるネガティブな口コミの例を挙げます。

「店長がお店の商品を無断で持ち帰っている」という口コミ

たとえば、「店長がお店の商品を無断で持ち帰っている」、という口コミが投稿されてしまった場合です。このような投稿は、企業のイメージを悪化させますし、当該企業への応募をためらうユーザーが増える可能性があるため、採用活動へ悪影響をもたらす可能性があります。

「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」

「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」といった口コミが投稿される場合がありえます。このような口コミも、事実であれば、応募する企業を検討しているユーザーにとって有益な情報であるものと思われます。ただ、従業員と上司の相性やコミュニケーションの齟齬により、上司は適切な接し方をしていたにもかかわらず、従業員はセクハラと認識してしまったという可能性もあります。このような場合に、「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」という口コミを投稿されてしまうと、当該企業は、その口コミにより応募者数が減ってしまうなどして、採用活動に悪影響をもたらされるおそれがあります。

その他、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿など

Indeedでは、企業口コミの範囲を超えて、当該企業や当該企業の役員や従業員に対する、何の根拠もないデマ、誹謗中傷口コミや風評被害口コミが投稿されてしまうケースもあるかもしれません。このような根も葉もない悪質な投稿は、5ちゃんねるなどの匿名掲示板の誹謗中傷投稿や風評被害投稿と同じく削除されるべきでしょう。

Indeedのガイドライン違反で違反報告する方法

Indeedの口コミは、基本的には投稿者本人でなければ削除することができません。そのため、ネガティブな口コミが投稿されてしまった場合、Indeedのガイドライン違反にあたるものとして、違反報告を行うことになります。
Indeedのサイトにログインし、該当する口コミの右下部分に表示された「報告する」ボタンを押すと以下の画面が出てきます。あてはまると思われるボタンを選択し、報告することができます。

Indeedの口コミガイドラインには、投稿を掲載できない口コミの基準が記載されています。以下のいずれかに該当する場合やガイドラインに抵触する内容が含まれる場合は、口コミを掲載できないものとされています。

  1. 卑猥な表現、差別的な表現、または公開フォーラムに不適切な表現
  2. 宣伝行為、”スパム”、他の会社やオファー、ウェブサイトへの言及
  3. メールアドレス、URL、電話番号、住所、その他の連絡先情報
  4. 他者の投稿についての誹謗・中傷、悪意のあるコメント
  5. 違法・脱法行為の申し立て
Indeedの口コミガイドライン画面より

このガイドラインによれば、上記の例の「店長がお店の商品を無断で持ち帰っている」といった投稿は、「違法・脱法行為の申し立て 」にあたるとして、違反報告を行うことができるものと考えられます。ただ、違反報告を行っても口コミが削除されるかどうかは、明記されていません。

違法を理由として削除請求する場合の例

特定の人や企業の社会的評価を貶めるような口コミが投稿されている場合は、名誉毀損(名誉権の侵害)に該当しないかを検討する必要があります。名誉毀損とは、不特定多数の人に伝わる可能性のある場で、その人の社会的な評価を毀損するような事実を提示することです。名誉毀損とは、どういった場合に成立するのでしょうか。名誉毀損の要件は、以下の3つです。

  • 公然と
  • 事実を摘示し
  • 人の名誉を毀損する

上記の例のように「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」と書かれてしまった場合であれば、

  1. 「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」といった記載は、具体的な意味内容であり、
  2. セクハラ行為は法律上一定の規制を受けるものであり、セクハラ防止策を怠っている企業であると認識されることは当該企業にとって不利益であるところ
  3. 当該企業は、セクハラ防止策を策定し、セクハラの防止に努めている
    といった主張をすることになります。

ただし、名誉毀損の要件を満たしていたとしても、以下の条件を満たしている場合、名誉毀損は成立しませんので、注意が必要です。

  • 公共性がある
  • 公益性がある
  • 真実である又は真実相当性が認められる

上記の例だけでなく、その他の誹謗中傷口コミや風評被害口コミも同様に、名誉毀損に該当するかどうかを検討する必要があります。ただ、こうした主張や法的な議論に基づく削除交渉は、法律に明るくないと難しいかもしれません。こういった場合には、豊富な知識を持つ弁護士へ相談することにより、スムーズに削除できる可能性が高いでしょう。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による削除

違反報告を行っても口コミが削除されなかった場合、裁判所を通じて削除請求を行います。Indeedの企業口コミは、訴訟手続によらず、仮処分によっても削除することができます。訴訟は、判決が出るまでに長い期間がかかります。約3-12ヶ月程度はかかり、長ければ年単位にまで長引いてしまう場合もあります。その一方、仮処分は、風評被害にノウハウを持つ弁護士へ相談すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどで終了するケースが多いです。
仮処分は、以下の流れで行われます。

  1. 仮処分の申立て
  2. 審尋(口頭弁論のような手続)
  3. 担保金の納付
  4. 仮処分命令の発令
  5. 執行

仮処分を行う場合は、法的な主張に加え、その主張を立証するための証拠を用意する必要があります。例えば、上記の例の「上司にしつこく食事に誘われたり、性的な冗談を言われたりするといったセクハラを受けた」といったケースであれば、

  • 当該上司と投稿者のやりとりを記したメモやメール
  • 同じ部署の従業員の証言
  • セクハラ防止マニュアル

などを証拠として提出し、「当社は十分なセクハラ防止策を取っており、上司による当該従業員への接し方は適切なものだった」といった主張を行います。ただし、弁護士へ依頼せずに単独でこのような主張をするのは難しい場合が多いかもしれません。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による投稿者の特定

仮処分によって発信者情報開示請求を行うことが出来ます。

いやがらせをする目的で、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿が連続して大量に投稿されている場合は、弁護士へ依頼して、発信者情報開示請求を行うことができます。発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項に基づく手続です。この手続により、悪質な投稿者のIPアドレスや氏名、住所など投稿者を特定する情報の開示を請求することができます。企業に勤務していたときに、当該企業ともめた人物などが、Indeedにデマや誹謗中傷を投稿しているといったケースがありえます。その場合、投稿者のIPアドレスがわかれば、投稿者を特定できることがあります。 発信者特定の手続の流れは、以下の通りです。

  1. コンテンツ・サービス・プロバイダへの情報開示請求
  2. 発信者情報開示の仮処分申請
  3. 経由プロバイダを特定
  4. 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分申請
  5. 発信者情報開示請求の訴訟提起
  6. 裁判所の判決に基づき、発信者を特定(住所、氏名など)

上記の発信者特定手続を通じて、デマなどの悪質な口コミの投稿者を特定できた場合は、投稿者に対し、特定にかかった弁護士費用や慰謝料を損害賠償請求することができます。発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。

まとめ

Indeedは、多くの求人情報を探すことができ、また、リアルな企業口コミを見ることもできるとても便利なサイトです。しかし、中には、いやがらせを目的とした誹謗中傷口コミや風評被害口コミが投稿されてしまう可能性もあります。そのような悪質な投稿に対しては、Indeedのガイドラインに基づく違反報告や裁判所を通した削除請求、投稿者特定手続をしたほうがよい場合もあります。名誉毀損などの法的な主張は、弁護士へ依頼せずに個人だけで行うのは難しい場合もあるものと思われます。誹謗中傷口コミや風評被害口コミでお悩みの場合は、豊富な知識を持った弁護士に相談しましょう。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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