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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

爆サイ.comにおける個人情報流出にはどう対応すればよいか

風評被害対策

爆サイ.comにおける個人情報流出にはどう対応すればよいか

爆サイ.comは、地域密着型を掲げ、細分化されたコミュニティを通してユーザー同士の交流を実現させようとする掲示板ですが、匿名掲示板に共通する誹謗中傷だけでなく、個人情報の流出が多い傾向があります。

爆サイ.comと個人情報の流出、そして名誉毀損やプライバシー侵害への対応について解説します。

爆サイ.comとは

爆サイ.comは日本全国を12に区分けした板(北海道版、東北版、関東版、甲信越版、北陸版、東海版、関西版、山陽版、山陰版、四国版、九州版、沖縄版)と海外板の合計13板で構成されているローカル掲示板です。

爆サイ.comは、「爆サイ.comってどんなサイト?」として、以下を発表しています。

  • 爆サイ.comは月間10億PVを誇る、北海道から沖縄、海外の気になる話題を網羅したモバイル3キャリア(docomo・au・SoftBank)・スマホ対応の人気掲示板です。
  • 掲示板カテゴリ数はナント3354個!
  • ニュース速報・スポーツ・動画・政治・経済・芸能から、パチンコ・スロット・お水・ホスト・風俗・ギャンブル・ゲームまでジャンルの幅広い日本最大級のローカルコミュニティ掲示板です。

このような爆サイ.comは、他の掲示板とは少し異なる性格を持っています

爆サイ.comのサブカテゴリ

爆サイ.comの、他の掲示板ではあまり見られない特徴のひとつに「ローカル色の強さ」があります。地域密着型のコミュニティは情報共有が円滑にできるメリットもありますが、いったん悪質な誹謗中傷が書き込まれるときわめて短時間のうちに、所属する地域コミュニティの内部で拡散してしまうという怖さもあります。

爆サイ.comには地域掲示板ごとに市区町村レベルの細かい板があり、ローカル情報が匿名でやりとりされていますが、特定個人に関する誹謗中傷やプライバシー侵害の投稿が多くなる傾向があります。その原因は、主にサブカテゴリとして「キャバクラ情報」「○○お水・総合掲示板」「風俗掲示板」「ホスト掲示板」など、夜の仕事に特化した掲示板が多数設けられていることにあるといえます。

個人特定のしやすさ

また、掲示板のカテゴリ分けで「地域×店舗」、「地域×総合」のほか「地域×個人」というサブカテゴリもあり、ホストやホステス、風俗関係の仕事をしている個人の掲示板を作成できるため、そうした職業の人への悪口を連ね、誹謗中傷するような書き込みが増えてしまうことにもなっています。

キャバクラで働く女性が、ある日突然、実名・住所等の個人情報をさらされたり、プライベートな写真を公開されたり、誹謗中傷され、名誉毀損・プライバシー侵害にあたる書き込みの被害にあったりします。特に、源氏名や伏字での悪口や誹謗中傷の書き込みが多いのが、爆サイ.comの特徴のひとつですが、地域ごとのスレッドなので、たとえ実名・本名の書き込みがなくても個人特定しやすく、キャバクラで働いていることが家族や恋人に知られるといった身バレだけでなく、ストーカー被害にあったりする可能性も高くなります。爆サイ.comに住所を公開されたことによって、職業や住所を変えざるを得なくなった女性が多く存在します。

記事削除を希望するとき

爆サイ.comでは、ネガティブな書き込みに対して、削除依頼に応じています。しかし、削除依頼が正当であると認められなければならず、削除依頼を申請したからといって、必ずしも応じてもらえるわけではありません。また、何度も削除依頼をしたことによって、ブラックリストにクレーマーとして追加されてしまう可能性もあります。そんなことになれば、削除依頼すらできなくなってしまいます。

爆サイ.comの利用規約第3条には、「当サイトにおいて以下の行為を禁止します」とあり、

  • 出会いを求める投稿及び援助交際目的の投稿
  • 他人の名誉、社会的信用、プライバシー、肖像権、パブリシティ権、著作権その他の知的財産権、その他の権利を侵害する行為(法令で定めたもの及び判例上認められたもの全てを含む)
  • 本名、住所、メールアドレス、電話番号の記載(一般に公開されている情報・公人に関してはこの限りではありません)
  • 犯罪予告、自殺への誘引その他他人を威迫・脅迫する旨が看取される内容を含むもの
  • 詐欺、強迫、マルチ商法、ネズミ講もしくはその他の違法取引行為またはかかる取引への勧誘

等があげられていますが、名誉毀損やプライバシー侵害の可否は難しく、周囲の人間にはすぐわかるような「伏せ字付き氏名」や「伏せ字付き電話番号」も、「本名」や「電話番号」ではないと判断される場合がほとんどです。また、「削除したい投稿が複数あったとしても、1回ずつ申請すること」というルールがありますが、名誉毀損やプライバシー侵害は、複数の投稿を併せ読むことによって成立する場合がほとんどなので、認めてもらうのは難しいことになります。

爆サイ.comの削除依頼の頁の最後には、「安直かつ過剰な削除は、表現の自由を侵害する可能性や、違法性・有害情報の判断に於いても、裁判所の司法権を侵すことも懸念される為、慎重に行っております。」とあります。削除依頼は簡単にできますから、試してみるといいでしょうが、あまり期待はできません。

削除依頼に応じてもらえないとき

爆サイ.comの運営に削除依頼をしても削除してもらえない場合には、法的な対処が必要となります。

記事削除の仮処分申請

記事を削除してもらいたいときには、裁判所に記事削除の仮処分を申請し、認めてもらえたら、爆サイ.comは記事削除に応じてくれます。記事削除だけでなく投稿者を特定し、損害賠償等を請求したい場合、あるいは削除してもらってもすぐにまた同様の記事を投稿されるときなどには、発信者情報開示を請求し、投稿者の責任を追及するとよいでしょう。

発信者情報開示請求

爆サイ.comに発信者情報開示の仮処分申請をし、「IPアドレスとタイムスタンプ」を開示してもらいます。こうして得た投稿者のIPアドレスから経由プロバイダを特定し、経由プロバイダに、発信者情報開示を請求します

爆サイ.comを巡っては、どのような発信者情報開示請求がなされているのでしょうか。裁判例を、見てみましょう。

爆サイ.comへの投稿が名誉毀損にあたる場合

キャバクラに勤務する女性が、源氏名をあげてデリヘルを行っているとする爆サイ.comへの投稿が名誉毀損等にあたるとして、爆サイ.comからIPアドレスとタイムスタンプを得た後、経由プロバイダに発信者情報開示を請求した事例があります。

埼玉県新座市内にあるキャバクラ「b店」に「B」という源氏名で勤務していた原告が、爆サイ.com内の「b店」のスレッドに、「デリヘルBでしょ」という記事を投稿されました。

裁判所は、「源氏名であり原告の氏名ではないから原告を特定できない」とする経由プロバイダに対し、

本件記事は、爆サイ.com内の掲示板に投稿されたもので、爆サイ.comには、「○○」と題する風俗店ごとのスレッドが複数存在する。当該スレッドは、風俗店ごとに分かれているため、投稿記事の内容は、その風俗店に関連する内容にほぼ限定されている。

本件記事は、キャバクラ店「b店」のスレッドにおいて投稿されたものであり、原告は、本件記事が投稿される3か月前まで、b店」において「B」という源氏名で勤務していた。

そして、件記事が投稿される以前に「b店」で「B」という名前のキャバクラ嬢は原告のみであったので、本件記事の「B」は原告であると特定することができる。

東京地方裁判所2015年1月29日判決

として原告の特定可能性を認め、「本件記事は、風俗店であるデリヘルに勤務することを明示していない」とする経由プロバイダに対し、

「デリヘルBでしょ」という本件記事について一般人の普通の注意と読み方を基準にすると、「デリヘル」が「B」に係っていることから、原告がデリヘルを行っているという事実を摘示するものといえる。

そして、デリヘルとは、いわゆるデリバリーヘルスの略で、一般に、店舗がなく、男性の客がいる自宅やホテルなどに派遣された女性が、男性の客に対して有料で性的サービスを行うことを指すことからすると、女性がかかる性的サービスに従事したという事実を摘示することにより、その女性の社会的評価を低下させるものといえる。

以上によれば、本件記事により原告の社会的評価を低下させ、原告の人格権を侵害したことは明白である。


東京地方裁判所2015年1月29日判決

として、発信者情報の開示を命じました。

名誉毀損にあたるという判断ですが、職種、勤務先、源氏名と言ったプライバシー情報が流出した事例です。

なお、源氏名とは水商売で働く従業員が店内で使用する名前のことですが、この源氏名を使った場合にも、源氏名と書き込みの内容を対照すると本人を特定できる場合には、名誉毀損が成立する可能性が高くなります。

イニシャルや伏せ字の場合と同じで、実名を書き込んだ場合だけでなく、実名を書き込まない場合でも、対象となっている人を特定できるのなら、名誉毀損、侮辱罪、プライバシー侵害は成立する可能性があることになります。つまり、裁判においては、「個人が特定できる」ためには、必ずしも「実名」が必要とは限らないということです。

爆サイ.comへの投稿がプライバシー侵害にあたる場合

爆サイ.comの「関東版」、「桐生市雑談」のカテゴリ内の株式会社aに関するスレッドに、使用する携帯電話の電話番号を6回繰り返して記載されたことにつき、プライバシー権を侵害されたとして、原告が爆サイ.comからIPアドレスとタイムスタンプを得た後、経由プロバイダに発信者情報の開示を求めた事例があります。

経由プロバイダは、「本件投稿では数字が原告の携帯電話の電話番号であることも明示されておらず、一般の閲覧者は原告が使用する携帯電話の電話番号であることを容易に認識し得ない」し、「携帯電話の電話番号は、個人情報の保護に関する法律2条1項の個人情報にも当たらないから、プライバシー権の侵害が明白であるとはいえない」として、開示を拒否しました。

裁判所は、「みなさん相当きらいなんですねこうやまのこと」「甲山さいてー大嫌い」「淫乱コウヤマDQN」「なんでもありの会社…パワハラセクハラそんなの日常的しかもブルドックちゃんの犬のコウヤマ」「頭が馬鹿なくせに利口ぶる…馬鹿女」などと原告の氏名の一部を表示して原告を誹謗中傷する投稿が相当数行われており、勤務先の名前のスレッドにおいて実名の一部が明らかにされ、さらに、

本件投稿は、「090」という数字で始まり、ハイフンを意味する長音記号で区切られて4桁目以降の番号が記載されており、この数字が女性の番号であることを示唆するコメントが付されていたことに加え、本件投稿に続いて、本件投稿の数字が携帯電話の電話番号であることを理解した投稿が現に行われたことからすれば、一般の閲覧者は、本件投稿を女性の使用する携帯電話の電話番号を記載したものと理解することが認められる。

東京地方裁判所2015年11月6日判決

とし、発信者の情報開示を命じました。判決では、携帯電話番号は、個人情報保護法第2条1項所定の個人情報にはあたらないが、自己が欲しないにもかかわらず、公表されたくない情報であることは明らかであるから、本件投稿が原告のプライバシー権を侵害することは明白である、とされました。

まとめ

掲示板等に自分の本名や住所、電話番号等の個人情報等やそれらを容易に推測できる情報が書き込まれたら、拡散する前に、迅速に対処しましょう。特に地域密着型のコミュニティサイトである爆サイ.comの場合、明示されていなくても、名前や職業、住所等が特定しやすいので、放置しておくと被害が容易に拡大し、危険です。

運営に削除申請をするだけでなく、経験豊かな弁護士に相談すれば、速やかな対応が可能となります。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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