IT・ベンチャーの企業法務

「個人利用OK」など用途が限定されているフリー素材を使用する場合の留意点

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「個人利用OK」など用途が限定されているフリー素材を使用する場合の留意点

自社でウェブサイトを制作する場合、ボタンやアイコンにフリー素材を使用することもあるかと思います。ただ、フリー素材といっても、実は、全く自由に使えるとは限らず、商用利用が禁止され、私的利用のみが認められている場合などがあります。私的利用しか認められていないフリー素材を、自社のウェブサイトのボタンやアイコンに使用してしまう(商用利用)と、許諾を受けずに他人の著作物を使用するものとして著作権侵害となってしまう可能性があります。そこで、本記事では、まず、フリー素材の意味について説明をします。そして、許諾の範囲や実際に行われる許諾のケースについて説明をします。

【近日公開予定】著作権を侵害せずに文章や画像を引用する方法(仮題)

フリー素材とは

「フリー素材」とは、著作権保護期間が過ぎている場合のものと、著作権が存在し、許諾を得て利用可とするものがあります。

「フリー素材」という用語は一般的に利用されていますが、この「フリー素材」という言葉は、様々な意味で使われています。フリー(free)は、「自由な、縛られていない、束縛のない、行動の自由な、(人権・政治上の)自由を有する、自主独立の、自由主義の、参加自由の、自主的な、自由制の」などの意味があります。
※引用(Weblio英和・和英辞典)より

このフリーという用語の意味から考えると、フリー素材とは、著作権の保護期間が過ぎている場合や、著作権が放棄されている場合など、許諾を得なくても自由に使える素材と考えることができます(ただし、著作権が放棄されている場合には著作者人格権を侵害しない範囲で利用する必要があります)。このような状態は、パブリックドメイン(public domain)と呼ばれることもあります。

しかし、「フリー素材」という用語の使い方については、許諾に関してロイヤリティが不要という意味で使われているケースがあります。この場合、著作権の保護期間が過ぎている場合や、著作権が放棄されていない場合と異なり、著作権が存在し、許諾を得て使用しているという形になるため、許諾の範囲内で使用しなければ、当然、著作権侵害となります。そこで、まず、フリー素材を使用する際の許諾の範囲について説明をします。

フリー素材を使用する際の許諾の範囲について

著作権法第63条では、著作物の利用の許諾について、以下のように規定されています。

(著作物の利用の許諾)

第63条

1.著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。

2.前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。

上記の条文で規定されているように、フリー素材を使用する際には、「その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において」使用する必要があります。フリー素材の許諾の範囲について、利用規約において、以下のような種類が規定されていることがあります。

私的利用

個人的に利用する場合には、自由に利用することができます。

商用利用

個人的に利用するのではなく、金銭を得る目的でフリー素材を利用する行為です。自社のウェブサイトのボタンやアイコンにフリー素材を使用する場合には、利用規約で 商用利用が可能であるか確認をする必要があります。また、商用利用が認められていたとしても、フリー素材を印刷した商品の販売を禁止するなど、特定の行為を禁止している場合もあります。

個人利用

これは、フリー素材を利用する主体の問題となります。個人のみ利用できることとなります。

法人利用

これも、フリー素材を利用する主体の問題となります。個人のみの利用しか認められていないにもかかわらず、法人が利用してしまうと著作権侵害となる可能性があります。

加工

加工に関する規定もしっかり確認する必要があります。そのまま利用する場合には問題 はありませんが、例えば、フリー素材の一部を切り出して利用するような場合、加工が認められていないと著作権侵害となる可能性があります。

クレジット表記

フリー素材を利用する際には、著作権の所在を示すため、クレジット表記が必要な旨が利用規約で規定されていることもあります。利用規約で、クレジット表記の方法についても規定されていることがありますので、利用規約で規定された方法によりクレジット表記を行う必要があります。

リンクの掲載

利用規約で、フリー素材提供サイトへのリンクを掲載することが求められることもあります。リンクの掲載の方法についても、利用規約で規定されている場合ありますので、利用規約を十分に確認する必要があります。

フリー素材使用の際の利用規約確認の重要性

フリー素材を利用する場合の確認事項とは?

上記では、フリー素材を使用する際の許諾の範囲について一般的な説明をしましたので、以下では、具体的な利用規約を例にあげ、具体的な説明をします。フリー素材を提供しているサイトは多くありますが、よく目にするフリー素材を提供しているサイトとして、「いらすとや」というサイトがあります。そこで、以下では、「いらすとや」のサイト上の掲載されている利用規約を例に説明をします。「いらすとや」の利用規約は、以下のような規定となっています。

(いらすとや ご利用について)
ご利用規定 
当サイトで配布している素材は規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます。「よくあるご質問」に詳しく記載しておりますのでご利用の前に一度ご確認ください。(中略)

以下の場合、有償にて対応させていただきます。メニューの「お問合せ」からご連絡下さい。
素材を21点以上使った商用デザイン
素材の高解像度データの作成(高解像度イラストのサンプル)


著作権
当サイトの素材は無料でお使い頂けますが、著作権は放棄しておりません。全ての素材の著作権は私みふねたかしが所有します。
素材は規約の範囲内であれば自由に編集や加工をすることができます。ただし加工の有無、または加工の多少で著作権の譲渡や移動はありません。」

https://www.irasutoya.com/p/terms.html

上記利用規約では、「個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます」と規定されていますので、記載されている目的の範囲内であれば、ロイヤリティを支払うことなく利用することができます。

ただ、「素材を21点以上使った商用デザイン、素材の高解像度データの作成」については、有償となっており、これらの行為を行うことは、ロイヤリティが不要である許諾の範囲には含まれないということになります。また、著作権に関しては、「当サイトの素材は無料でお使い頂けますが、著作権は放棄しておりません。」と規定されており、著作権を放棄したものではなく、原則として、ロイヤリティ不要で許諾を行っているということがわかります。フリー素材を提供しているサイトについては、利用規約が用意されていますので、どの範囲まで許諾されているか、どのような行為を行うことができないかをしっかり確認し、フリー素材を利用するようにすることが重要です。

まとめ

以上、「個人利用OK」など用途が限定されているフリー素材を使用する場合の留意点について説明をしました。フリー素材を利用する場合には、安易に、自由に使用しても問題は無いと考えるのではなく、まず、フリー素材を提供しているサイト等で掲載されている利用規約をよく確認するようにしましょう。利用規約で、どのような目的であれば利用することができるのか、どのような行為であれば行うことができるのか等についてしっかり確認をすれば、うっかり著作権侵害をしてしまうということを回避することができます。

ただ、著作権に関する利用規約については、法律用語が多く使用されておりますので、著作権の利用について問題がないか念のため確認したいというような場合には、弁護士によるアドバイスを受けるということが望ましいといえます。

モノリス法律事務所

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