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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

IT・ベンチャーの企業法務

有料職業紹介事業許可申請が必要なサイトと要らないサイトの違いとは

IT・ベンチャーの企業法務

有料職業紹介事業許可申請が必要なサイトと要らないサイトの違いとは

従来、転職活動や企業の求人活動においては有料職業紹介事業許可を取得した人材紹介会社のエージェントを通じてやり取りが行われることが主流でした。これに対し、最近は特にIT業界を中心にWantedlyのような会社と個人を直接マッチングさせるサービスに人気が集まっています。

そこで、事業として会社と個人を直接マッチングさせるサービスを展開する場合に、人材紹介会社が取得しているような有料職業紹介事業許可は必要であるか、また有料職業紹介事業許可を取ることなくサービスを展開するにはどうすればよいかを解説します。

なお、IT業界の人材活用では偽装請負も問題になりやすいので、併せて確認しておくと良いでしょう。IT業界の偽装請負に関しては、下記記事で詳細に解説しています。

有料職業紹介事業許可が必要な場合

職業安定法は第4条第1項において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることであると定義しています。この定義の中で「雇用関係の成立」とあることから、業務委託契約や請負契約等、雇用関係以外を成立させる場合は「職業紹介」に該当しないということになります。

また、「職業紹介」の定義内にある「あっせん」とは、求人及び求職の申込を受けて求人者と求職者の間に介在し、両者間の雇用関係の成立のために便宜をはかり、その成立を容易ならしめる行為をいいます。従来型の人材紹介会社のように、エージェントが求職者に対して求人企業の募集要項等を提示して求職者からの応募や面接のセッティングを行い、給与条件等の交渉を代行するサービスは典型的な「あっせん」の例といえます。

同法によれば「職業紹介」を行う者は、 有料・無料問わず、厚労省から有料職業紹介事業許可を取得する必要があるとされています(職業安定法30条1項、33条1項)。仮に、有料職業紹介事業許可を取得せずに職業紹介をした場合には、罰則として1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます(職業安定法64条)。

求職者に個別に職業を紹介するのではなく、求人情報又は求職者情報を提供するのみであり、求人及び求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんを行わないのであれば「職業紹介」にはあたらず、業として行う場合であっても有料職業紹介事業許可は必要ないということになります。

なお、出向・派遣・準委任・請負など職業紹介以外の人材活用に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

有料職業紹介事業許可が必要ない場合

Wantedlyは単なる人材募集を応援するツールとしてのマッチングサイトとしてリリースされていて、いわゆる求人サイトではないと位置づけられています。すなわち、求人広告等において通常提示する給与や福利厚生等の勤務条件ではなく、求人企業と求職者のビジョンや価値観によるマッチングを図ることを目的とし、会社のビジョンを募集要項に提示している点に特徴があります。

具体的な勤務条件を明示していない点で、Wantedlyの展開するマッチングサービスの運営にあたっては、有料職業紹介事業許可を主とする必要はないと整理されています。

有料職業紹介事業許可を取得しない場合の注意点

Wantedlyなどと同様に有料職業紹介事業許可を取得せずに人材のマッチングサービスをメインとしたサービスを始めたいという場合には、どのような点に注意すべきでしょうか。特定の言葉遣いや特定の箇所での課金などにより有料職業紹介事業許可を取る必要が生じるので気をつける必要があります。以下では、ポイントとなる点を具体的に説明します。

有料職業紹介事業許可を取得しない場合にやってはいけないこと

ウェブサイト等に以下の記載をしたり、サービスを提供すると、「職業紹介」にあたると判断される可能性があります。しがたって、有料職業紹介事業許可を取得しない場合には、以下に記載されていることはしないように気を付けましょう。

  1. 求人情報・求職者情報に対し、業者側で紹介文句や宣伝文句を付したり、業者の判断で求人情報・求職者情報をカテゴライズしたりすること
  2. 求人者・求職者間で面談日程調整を行う等の便宜を図ること
  3. 業者HP上で求人者・求職者が意思疎通するとき、通信内容を加工すること
  4. 業者側から、求人情報・求職者情報を選別して、当該求人者・求職者向けの情報として提供すること

求人情報・求職者情報の作成

上記1について、マッチングサービスとして運営するウェブサイト上に求人情報や求職者情報を掲載する場合に、ウェブサイト運営会社自身が求人企業に代わって求人情報や求職者情報を作成すると、「職業紹介」に該当するとして有料職業紹介事業許可を取得する必要が出てきます。

したがって、求人情報は求人企業自身が自らの責任において登録してもらう仕組みとする必要があります。求職者側の情報も同様に、求職者自身が情報を登録しなければなりません。

また、求人情報や求職者情報を求人企業又は求職者自身に登録してもらう場合でも、ウェブサイト運営会社が宣伝文言やアピールポイント等のコメントを追加することは「職業紹介」に該当するおそれがあります。したがって、有料職業紹介事業許可を取得しないのであればすべきではありません。

まとめると、求人者と求職者の間に、ウェブサイト運営会社の意図や思惑を伴う行為の介在があるか否かがポイントとなります。求人企業や求職者によって登録された情報を、そのままウェブサイト上で公開するといった単純な求人情報の提供サイトに徹することが重要といえます。

求人企業と求職者の意思疎通

上記3に記載のとおり、求人企業に求職者が問合せや応募をするような場合に、両者の通信内容をウェブサイト運営会社が加工すると「職業紹介」にあたり、有料職業紹介事業許可の取得が必要となってしまいます。

例えば、求人企業に対するサービスとしてウェブサイト運営会社が求職者に対する連絡用のテンプレートを作成するとか、求職者が求人企業に応募する際にウェブサイト運営会社が応募の文面を企業の受けがいいように修正するようなサービスを行うことは、「職業紹介」にあたることがあります。したがって、有料職業紹介事業許可を取得しないのであれば、このようなサービスを行うことはできません。 

以上から、ウェブサイトを通じて求人企業と求職者が連絡を取り合えるようなシステムを設けたとしても、両者の連絡に関与せずただ連絡用のツールを提供するということに留めれば、ウェブサイト運営会社の意図や思惑が介在することにはなりませんので、問題は生じないと考えられます。

まとめ

もともと、WantedlyのようなサービスはIT業界を中心に利用されるようになりましたが、最近では他の業種へも拡大しています。働き方の多様化に伴い、今後は同様のサービスの需要の高まりが期待されます。もっとも、人材紹介に関しては労働者保護の要請が強いため、職業安定法により厳しいルールが定められています。このため、同種のサービス展開を検討している場合には事前に検討しているサービスに法的な問題がないか必ず検討する必要があります。

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