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暗号資産(仮想通貨)とは?法律上の定義や電子マネーなどとの違いを解説

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暗号資産(仮想通貨)とは?法律上の定義や電子マネーなどとの違いを解説

近年、「暗号資産(仮想通貨)」への注目が高まっていますが、そもそも「暗号資産」とは何かを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。暗号資産の取引では、「トークン」や「ブロックチェーン」などの聞きなれない用語も使われるため、理解するためにはハードルが高いと考える人もいるかもしれません。

本記事では、暗号資産の法律上の定義や、これまでも電子的な決済手段として用いられてきた電子マネーなどとの共通点・相違点を解説します。

暗号資産(仮想通貨)とは?

暗号資産という用語は、令和元年(2019年)資金決済法の改正により、法律上の定義が規定されました。そこでは、

この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

資金決済法2条5項

と規定されています。

条文の文言ではわかりにくいですが、整理すると、暗号資産とは、金融商品取引法2条3項に規定する電子記録移転権利を表示するものではないもののうち、①と②のいずれかにあたるものとなります。

①以下のすべての性質を有する財産的価値(同項1号:1号暗号資産)

  1. 不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相手に法定通貨と相互に交換できる
  2. 電子的に記録され、移転できる
  3. 法定通貨または法定通貨建ての資産ではない

②不特定の者を相手に①と相互に交換できる財産的価値であって、①ー2、①ー3をみたすもの(同項2号:2号暗号資産)

「仮想通貨」と「暗号資産」の関係

従来、電子的な取引に用いられていたデータ上の資産については、「仮想通貨(virtual currency)」という用語が用いられていました。しかし、仮想「通貨」と称されているものの、価値が安定しておらず、円やドルなどの法定通貨と混同されることが危惧されていました。そこで、国際的な会議では、「暗号資産(crypto asset)」との表現が一般的になっていたことを受けて、日本でも名称を変更することとなったのです。

暗号資産の類型

金融庁の研究会の資料によれば、暗号資産は「発行者の有無」という点で大きく2つに分類することができます。

仮想通貨に係る整理

出典:金融庁|仮想通貨交換業等に関する研究会(第10回・平成30年11月26日開催)参考資料

発行者が存在しない類型

発行者が存在しない類型の例としては、ビットコインが挙げられます。

ビットコインは、発行者や管理者が観念されておらず、プログラムによる自動発行やネットワーク上での分散管理によって成立しています。

このような場合、公正な価格というものが存在しにくく、本源的な価値を想定しにくいという特徴があります。

発行者が存在する類型

発行者が存在する類型には、その中で無権利型(上図②-1)、その他の利用権型(上図②-2)、投資型(上図③)3つの種類に分けることができます。

これらには発行者が存在していることから、発行者が内容を自由に定めることができ、これらの暗号資産を保有することの価値についても、発行者の定めた権利の有無や内容に依存するという特徴があります。

このような暗号資産の類型によって、対象となる規制が異なっているため、暗号資産にかかわる事業を考えている場合には、自分の扱う暗号資産の性質をふまえて法規制を確認する必要があります。

法規制の概要などについては、当事務所の別記事もご参照ください。

関連記事:暗号資産に関する規制とは?資金決済法と金融商品取引法との関係を解説

他の電子的な取引との比較

他の電子的な取引手段との比較

電子マネー(前払式支払手段)との比較

「電子マネー」という用語自体は、法律上では定義されていませんが、主に決済を電子的に行う手段を総称して電子マネーと呼称することが多いでしょう。

いわゆる電子マネーには、事前に現金等で残高をチャージする「前払い式」と、事後に口座引き落とし等で精算する「後払い式」があります。ここでは、暗号資産と同様に資金決済法の規制を受ける前払い式の電子マネーを比較対象として解説します。

前払い式の電子マネーの例としては、SuicaやPASMOなどのいわゆる交通系ICカードや、AmazonギフトカードやiTunesカードといったプリペイドカードなどが挙げられます。これらは、資金決済法上の「前払式支払手段」(資金決済法3条1項)に該当します。特徴としては、

  • 発行者等から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができる
  • 発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は当該役務の提供を請求することができるもの

と規定されている点です。

つまり、決済手段性として暗号資産と前払式支払手段は共通するものですが、前払式支払手段は、使用先が「発行者等」のみに限定されており、暗号資産の要件である「不特定性」をみたさないという相違点があるということです。

為替取引との比較

「為替取引」とは、「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、またはこれを引き受けて遂行すること」とされています(最決平成13年3月12日刑集55巻2号97頁)。

このとき、暗号資産を送金等することで資金を移動させる行為が、「為替取引」に該当するかが問題となります。

この点について、「為替取引」にいう「資金」とは、利用に供するために保有される金銭および容易に金銭に換えることができる支払価値と考えられており、金銭そのものであるか、もしくは金銭と容易に置換できることが求められています。

暗号資産は、金銭との交換は可能ではあるものの、価値の変動が想定される以上、容易に金銭に換えることができるとはいえず、「資金」には該当しないと考えられます。

もっとも、暗号資産交換業ガイドラインⅠー1ー2ー2④では、「暗号資産の交換等を行う者が、金銭の移動を行うことを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行する場合には、為替取引を行っているとして、法第37条に基づく資金移動業者の登録が必要となり得る。」とされているように、暗号資産による取引が為替取引に該当する可能性は否定できません。

暗号資産(仮想通貨)の特徴の整理

暗号資産(仮想通貨)の特徴の整理

これらをふまえると、暗号資産(仮想通貨)の特徴で重要となるのは、「不特定性」と「価値の変動性」の2点といえます。

不特定性

暗号資産は、発行者等を問わず、当事者間での合意があれば暗号資産を支払手段とした取引をすることが可能です。使用範囲が限定されず、幅広い取引に用いることができる点で便利であることから、今後、取引が活発になることが想像されます。

価値の変動性

発行者が存在しない暗号資産では、その価値はインターネット上の取引の中で変動します。また、発行者が存在する暗号資産では、発行者が暗号資産の内容を決定しますが、その内容に応じて価値が付くため、内容の評価に応じて価値が変動することになります。

このような価値の変動が前提となっているからこそ、暗号資産は取引手段としての側面に加え、投機的な側面を有しているといえるのです。

まとめ:暗号資産(仮想通貨)に関する法律の疑問は弁護士へ

ここまで暗号資産(仮想通貨)の概要や、特徴について解説をしてきました。これらの特徴を受けて、暗号資産については資金決済法や金融商品取引法など、さまざまな法律で規制が設けられています。暗号資産の取引にかかわる場合には、これらの法規制をしっかりと確認しておきましょう。

しかし、暗号資産については、法律の解釈が残る部分や、現状では見解が定まっていない分野もあります。今後、暗号資産にかかわる事業は増えていくと思われますが、事業の内容が法律の規制に反していないかなど、不明な点がございましたら、専門的な知識を有する弁護士までご相談ください。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。当事務所は暗号資産やブロックチェーンに関わるビジネスの全面的なサポートを行います。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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