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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

YouTuberが気を付けるべきTikTok利用規約とは

YouTuber・VTuber法務

TikTokのアイキャッチ画像

YouTuberの中には、YouTube以外の動画共有サイトを利用しているYouTuberもいます。中でも、昨今はTikTokに動画を投稿するYouTuberが増えてきています。
ただ、TikTokを、YouTubeと同じ認識で利用してしまうと、思わぬトラブルが生じてしまう可能性があります。

そこで、本記事では、YouTuberが気を付けるべきTikTokの利用規約について紹介します。

TikTokとは

TikTokとは、中華人民共和国のByteDance社が提供している動画共有サイトです。TikTokには、中国本土版の「抖音短視頻」と国際版の「TikTok」があります。
中国本土版の「抖音短視頻」は、2016年にサービス提供が開始され、国際版の「TikTok」は、2017年にサービス提供が開始されました。日本では、2017年にサービスの提供が始まっています。

TikTokの優位性とは

TikTokと動画のイメージ画像

スマートフォンの普及に伴い、視聴者は、スマートフォンを利用し動画を視聴する機会が増えました。

スマートフォンは、パソコンと異なり、隙間時間に手軽に動画を視聴することができるため、ショートムービーが中心のTikTokは、他の動画共有サイトと比較し、スマートフォンにマッチしているといえます。

また、TikTokには、動画の加工、修正、編集等が簡単にできるといった特徴があり、ショートムービーを手軽に投稿できる点で、他の動画共有サイトとは異なる特徴があるといえます。

さらに、TikTokでは、動画のレコメンド機能が優れており、視聴者自らが動画を探さなくとも、レコメンド機能によって視聴者の視聴傾向に合った動画が表示され、視聴者が、TikTokに夢中になりやすい仕組みになっています。

TikTokは、優れたインフルエンサーとの関係を構築するために、インフルエンサーが活動を続けやすいようなバックアップも行っています。

優れたインフルエンサーが増えることにより、TikTokには、より質の高い動画が投稿されることになります。

以上のように、TikTokは、他の動画共有サイトとは異なる特徴を有しており、これらの特徴が、TikTokを急成長させたと考えられます。

TikTokのユーザー属性

動画を撮っている若者

TikTokのユーザー属性は、10代や20代の若者が中心です。

TikTokでは、その動画投稿の手軽さから、あるトレンドが生まれると、多くの視聴者がその流行にのり、自らも動画を投稿するという現象が見られます。

TikTok のユーザー属性に10代や20代の若者が多い理由は、TikTokを視聴しておかなければ、流行に取り残されてしまい、友達との会話に入っていけない側面があり、流行に敏感な若者が、流行を取り入れるために視聴しているのも流行に拍車をかけているということが考えられます。

TikTokの利用規約での注意点

YouTuberが、YouTubeで動画を投稿しつつ、TikTokも利用すると、TikTokの利用規約との関係で問題が生じる可能性もあります。

そこで、以下では、TikTokの利用規約で、特に気を付けるべき規定を紹介します。

著作権に関する規定について

YouTuberが、TikTokを利用している場合、TikTokに投稿された他者の動画を、YouTubeでの動画投稿に利用するケースが考えられます。

特にYouTubeでは、2020年9月からYouTubeショートというサービスの提供が開始されています。

YouTubeショートは、その名のとおり、YouTubeでのショート動画の投稿機能です。

YouTubeでは、従前、比較的長い時間の動画が投稿されていましたが、YouTubeショートの登場により、YouTuberが、TikTokでバズった動画をYouTubeショートに転載するというケースも見られます。

TikTokでは、著作権について、以下の規定を定めています。

6.知的財産権
当社は知的財産権を尊重しています。お客様にも同様に尊重していただくようお願いいたします。お客様は、本サービスにアクセスしまたは本サービスを利用する条件として、本サービスを知的財産権を侵害するために利用しないことに同意するものとします。当社は、通知を行うか否かに関わらず当社単独の判断により、何らかの著作権その他の知的財産権を侵害しているか侵害の主張を受けているユーザアカウントのアクセスをいつでも遮断し、アカウントを終了する権利を有します。

TikTok利用規約

YouTuberが、TikTokで投稿された他者の動画を、YouTubeでの動画投稿に利用するケースでは、他者に無断での使用は、原則として著作権侵害になると考えられます。

また、同時に、上記のTikTokの規約に違反することになります。

利用規約に違反することにより、TikTokのアカウントの利用ができなくなる可能性がありますので、Youtuberが、TikTokに投稿された他者の動画を利用する場合には注意が必要です。

投稿が禁止される動画のジャンルに関する規定について

YouTubeでは、コミュニティガイドラインで、ヌードと性的なコンテンツ、有害または危険なコンテンツ、暴力的で生々しいコンテンツ、暴力犯罪組織に関するコンテンツ、ヘイトスピーチに関するコンテンツ、ハラスメントやネットいじめに関するコンテンツ及び違法または規制対象の商品やサービスの販売に関するコンテンツなどの投稿が禁止されています。

TikTokでも、利用規約において、投稿が禁止されるコンテンツが規定されています。

具体的には、以下のコンテンツの投稿が禁止されます。

  • 暴力的で過激な行為に関するコンテンツ
  • ヘイトによる振る舞いに関するコンテンツ
  • 違法行為と規制対象品に関するコンテンツ
  • 暴力的で生々しいコンテンツ
  • 自殺、自傷行為、危険行為に関するコンテンツ
  • ハラスメントといじめに関するコンテンツ
  • 成人ヌードと性行為に関するコンテンツ
  • 未成年の安全を害するコンテンツ
  • 誠実性と信頼性を損なうコンテンツ
  • プラットフォームの安全性を損なうコンテンツ

TikTokの利用規約では、上記のようにかなり細かく投稿が禁止されるコンテンツが規定されています。

そのため、YouTuberが、TikTokに動画を投稿する際には、YouTubeに動画を投稿する際と同様に、動画の内容に問題が無いかをしっかりと確認する必要があります。

利用年齢に関する規定について

アカウントを作成して、YouTubeを利用するためには、13歳以上である必要があります。

TikTokでも、以下のように、年齢に関する規定があります。

e.  年齢制限
本サービスは、13歳以上の方(特定法域向け補足条項において追加的な制限が課される場合があります。)のみが利用できるものとします。本サービスをご利用いただくことにより、お客様は規定された年齢以上であることを保証したものとします。上記年齢未満の方が本サービスを利用していることがわかった場合、当社は該当するユーザアカウントを終了させます。

TikTok利用規約

上記からわかるように、TikTokは、YouTubeと同様に、13歳以上でなければアカウントを作成することはできません。

YouTuberの中には、自らの子どもなど13歳未満の人を登場させる動画を投稿している人がいますが、TikTokでも、YouTubeと同様13歳未満の人がアカウントを作成することはできませんので、TikTok で13歳未満の人を動画に登場させる場合には、13歳未満の人が自らアカウントを作成するのではなく、その保護者等13歳以上の人がアカウントを作成する必要があります。

まとめ

動画を撮影する女性

以上、本記事では、YouTuberが気を付けるべきTikTokの利用規約について紹介しました。

YouTubeとTikTokの利用規約の内容を比較すると、重なっている部分が多くありますので、YouTubeの利用規約を遵守して動画を投稿しているYouTuberであれば、TikTokの利用規約に違反しないケースが多いものと考えられます。

ただ、YouTubeとTikTokの利用規約で異なる部分も多くありますし、また、運用の部分で違いが生じるケースもありますので、YouTuberの方で、TikTokに投稿してもよいか迷う動画がある場合には、専門的な知識を有する専門家に相談をすることをオススメします。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。昨今、人気化しつあるYouTuberやVTuberの間でも、法務リスクは存在します。当事務所ではYouTuberやVTuberの法務対応も行っております。下記記事にて詳細を記載しておりますのでご参照ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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