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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

YouTube動画での「●●説」は適法? テレビ企画の模倣の法的リスク

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YouTube動画での「●●説」は適法? テレビ企画の模倣の法的リスク

YouTubeでは日々多種多様なジャンルの動画が投稿されていますが、そのなかにはテレビの企画を模倣した作品も存在します。

パロディのようなものから、企画をそのままそっくり真似たような作品までありますが、このような模倣作品を投稿することの法的リスクについては、意外に知られていないのが現状です。

例えば、TBSテレビ系列で2014年から放送されているバラエティ番組「水曜日のダウンタウン」は、プレゼンターが唱えた「説」を検証する、という企画がメインコーナーとなっており、YouTube上にも、同コーナーを踏まえていると思われる動画が大量に公開されています。

YouTube「説 検証」検索結果

本記事では、テレビ企画をYouTubeで模倣する法的リスクと許容範囲について解説します。

著作権の問題

テレビで放映された番組をそのままコピーしYouTubeに投稿した場合、まず著作権侵害となることが容易に想像できますが、企画のみ模倣した場合はどうなるのでしょうか。

著作権とは

著作権とは、著作物を法的に保護するための権利のことをいいます。

著作物については以下のように定義されています。

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著作権法2条1項1号

簡単にいえば、自らの考えたことや感情などを作品として創作的に表現したものであって文芸等の分野に属するものです。

アイディア表現二分論

私たちが表現活動を行う場合、通常、頭の中で考え(アイディア)、それを表現するという過程があります。

「著作物」といえるには、「創作的に表現」されることが必要ですので、頭の中で考えている状態、つまり、アイディアの段階では著作物には該当しません。

このように、アイディアと表現を区別する考え方を、アイディア表現二分論といいます。

アイディア表現二分論に関する以下のような判例もあります。

著作物として著作権法が保護しているのは、思想、感情を、言葉、文字、音、色等によって具体的に外部に表現した創作的な表現形式であって、その表現されている内容すなわちアイディアや理論等の思想及び感情自体は、たとえそれが独創性、新規性のあるものであっても、小説のストーリー等の場合を除き、原則として、いわゆる著作物とはなり得ず、著作権法に定める著作者人格権、著作財産権の保護の対象にはならないものと解すべきである(アイディア自由の原則)。

発光ダイオード論文事件

数学に関する著作物の著作権者は、そこで提示した命題の解明過程及びこれを説明するために使用した方程式については、著作権法上の保護を受けることができないものと解するのが相当である。(中略)このような解明過程は、その著作物の思想(アイデア)そのものであると考えられ、命題の解明過程の表現形式に創作性が認められる場合に、そこに著作権法上の権利を主張することは別としても、解明過程そのものは著作権法上の著作物に該当しないものと解される。

数学論文野川グループ事件

テレビ企画の模倣に関して

テレビ企画の模倣については、企画を抽象的なアイディアに留まる範囲で利用する場合には、著作権を侵害するものではないと考えられています。

例えば、「YouTuber格付けチェック!」のようにテレビ番組の企画をアイディアレベルで模倣した動画を作成し公開しても、原則として著作権侵害にはならないものと考えられます。

注意が必要なのは、進行をそっくりそのまま模倣すると権利侵害となる可能性が高いということです。

テレビ企画の場合、マスコットキャラクターなどが登場することも考えられますが、キャラクターについては著作物になりますので、登場させた場合著作権の侵害となってしまいます。

アイディアと表現をしっかりと区別し、アイディアを模倣する段階に留めるよう注意する必要があります。

商標権の問題

商標権についても留意する必要があります。

商標権とは

商標権とは、商品やサービスに関する商標を独占的に使用することを保護する権利のことです。

著作権と異なり、法律上の要件をみたせば発生するという権利ではなく、特許庁に登録出願をし、特許庁に審査や登録料の納付などの所定の手続を経ることにより認められる権利になります。

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。

商標法第25条

また、他人が登録商標を類似範囲で使用することを排除することができます。

商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。

商標法第37条

テレビ企画の模倣に関して

商標区分

商標権には商標区分というものがあります。商標がどのような分野をカバーしているかというものです。商品とサービスをあわせて全45種類となっています。

テレビの企画の模倣作品では、第41類(教育、娯楽、スポーツ、文化)との関係が問題となる可能性が高いです。

商標登録がされているかは、以下の特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」により検索することができます。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

商標権侵害となる例

例えば、商標登録がされている「トリビアの泉」を用いて、雑学を教える内容の動画を作成し、YouTubeに投稿した場合は商標権侵害になるものと考えられます。

自虐ネタとして動画内で「これってトリビアの泉のパクリみたい(笑)」などと話すなど、番組名を話すこと自体は、商標権侵害にはなりません。

以下の記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。

まとめ

YouTube等のネットメディアにおいて、テレビ企画の模倣作品を投稿することは、アイディア自体を真似する範囲では、原則として著作権侵害などの問題は生じませんが、進行を丸ごと似せる行為や、マスコットキャラクターの使用などは著作権侵害となってしまうので避ける必要があります。

また、商標的利用をしてしまうと商標権侵害になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。

このような動画を制作する場合、専門的な法律知識が要求されるため、詳しい法律事務所に相談をすることをおすすめします。

この記事の内容を動画で知りたい方は、弊所YouTubeチャンネルの動画をご覧ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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