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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

YouTube収益化の必須条件、パートナープログラムとはなにか?広告や投げ銭について解説

YouTuber・VTuber法務

パートナープログラム

多くのYouTuberやVTuber、芸能人たちが、YouTubeを通じて巨額の収入を得ていますが、その収益を生み出しているのが、Google の広告プラットフォームである「AdSense」が設定している「YouTube パートナープログラム」です。YouTubeにおける収益を上げるためには、この「YouTube パートナープログラム」の内容をよく理解しておく必要があります。

ここでは、YouTubeを収益化させるための「YouTube パートナープログラム」と、「Google Adsense プログラムポリシー」について解説します。

YouTubeパートナープログラムとは

YouTubeパートナープログラム

YouTubeパートナープログラムとは、YouTube上でコンテンツを配信しているユーザーが広告収入を得るためのプログラムです。このプログラムに参加することで、YouTube上で配信している動画に広告を挿入し、その広告収入を受け取ることができます。参加条件や手続きについては、YouTubeのパートナーセンターサイトで確認することができます。

参考:YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格(公式)

YouTubeパートナープログラムへの参加を申請して承認されると、以下の機能を通して、収益を得られるようになります。

  • 広告収益
  • チャンネルメンバーシップ
  • ショッピング
  • 投げ銭機能
  • YouTube Premiumの収益

このうちポイントとなるのは、「広告収益」「チャンネルメンバーシップ」「投げ銭機能」の3つです。

広告収益

YouTubeでは、動画内の広告表示回数に応じてYouTuberに収益が配分されます。広告は動画の冒頭部分や途中部分に挿入されるほか、動画上部などに表示されるバナー広告もあり、YouTuberが形を選べるようになっています。また、動画広告を途中でスキップする機能の有無についても設定が可能となっています。

チャンネルメンバーシップ

チャンネルメンバーシップとは、視聴者がチャンネルに月額料金を支払うことによって、配信者を支援するサービスです。配信者は、月に最大6000円までの任意の金額を設定できます。チャンネルメンバーシップに参加すると、会員にはさまざまな特典が提供されます。会員特典には、会員限定で配信される動画や、チャットに表示される特別なバッジなどがあります。

投げ銭機能

YouTubeの投げ銭とは、YouTube上にアップロードされた動画に対して、視聴者が直接作成者に対して寄付を行う機能です。

YouTubeにおける投げ銭機能には、

  • スーパーチャット
  • スーパーステッカー
  • スーパーサンクス

の3つがあり、この投げ銭機能により、作成者は、視聴者から直接的な寄付を受け取ることができます。なお、1人の視聴者が投げ銭で投じられる金額は、1日に最大5万円までという制限があります。

スーパーチャットは、ライブ配信時やプレミア公開時に利用される投げ銭機能で、スーパーチャットを送ることによって、視聴者は自身のコメントを強調表示させて目立たせることができます。

スーパーステッカーは、ライブ配信やプレミア公開時に利用される投げ銭機能で、ステッカー(スタンプ)を送ることができます。

スーパーサンクスは、投稿済みの動画に利用される投げ銭機能で、視聴者はコメント欄で自身のコメントを目立たせることができます。

YouTubeパートナープログラムへの参加

YouTubeパートナープログラムへの参加

YouTubeパートナープログラムに参加するには、YouTube チャンネルに Google AdSense を設定する必要があります。

利用資格

「YouTubeヘルプセンター」の「YouTubeパートナープログラムの概要と利用資格」には、「利用資格の最小要件」として、次の6つがあげられています。

  1. すべての YouTube のチャンネル収益化ポリシーを遵守している。
  2. YouTube パートナー プログラムを利用可能な国や地域に居住している。
  3. チャンネルに有効なコミュニティガイドラインの違反警告がない。
  4. 有効な公開動画の総再生時間が直近の 12 か月間で 4,000 時間以上である。
  5. チャンネル登録者数が 1,000 人以上である。
  6. リンクされている AdSense アカウントを持っている。

これらの利用資格を満たしていれば、誰でも YouTube パートナー プログラムに申し込むことができます。

チャンネル審査

YouTubeパートナープログラムに参加するには、チャンネル審査を受ける必要があります。

チャンネルの総再生時間4000時間と登録者数1000人という2つの条件を満たすと、YouTube の自動システムと審査担当者によってチャンネルのコンテンツが審査されます。審査は開始から1ヶ月以内には完了し、結果が通知されます。審査は何度でも再チャレンジが可能で、収益化ポリシーなどの違反が理由で審査に通らなかった場合には、30日後に再申請が行えるようになります。

Google AdSense プログラムポリシー

「利用資格の最小要件」の1としてあげられている、「すべての YouTube のチャンネル収益化ポリシーを遵守している」には、コミュニティガイドライン、利用規約、著作権とともに以下のような、Google AdSense プログラムポリシーが含まれます。

「繰り返しの多いコンテンツ」に関するポリシー

「収益化目的で提供されるコンテンツについて視聴者に魅力的な品質を確保すること」がこのポリシーの目的であり、コンテンツが類似していて、視聴者が同じチャンネル内の他の動画との違いを識別するのが難しい、つまり繰り返しの多いコンテンツの場合、収益化が無効になる可能性があります。

具体的には、

  • ウェブサイトやニュースフィードのテキストなど、自分で作成していない他の資料の内容を読み上げただけのコンテンツ
  • 音程や速さを変えているが、それ以外はオリジナルと同じである曲
  • 教育的な価値が低く解説や説明が少ない、繰り返しの多いコンテンツ、または漫然として意味のないコンテンツ
  • テンプレートに基づいたコンテンツ、大量生産されたコンテンツ、またはプログラムによって生成されたコンテンツ
  • 説明、解説、教育的価値が最小限または皆無の画像スライドショーやスクロールテキスト

が、これに該当します。

「再利用されたコンテンツ」に関するポリシー

「収益化されるコンテンツについて、視聴者に付加価値を与えるオリジナリティを確保すること」がこのポリシーの目的であり、独自の解説や教育的な価値を十分に付加せずに他者のコンテンツを流用し、最小限の変更を加えただけで再利用しているコンテンツの場合、収益化が無効になる可能性があります。

具体的には、

  • テレビ番組の一部が編集されているものの、説明がほとんどないか、まったくない
  • 他のソーシャル メディアのウェブサイトのコンテンツを集めた短い動画
  • さまざまなアーティストの曲のコレクション(許可を得ている場合も含む)
  • 他のクリエイターによって何度もアップロードされたコンテンツ
  • 他者のコンテンツのプロモーション(許可を得ている場合も含む)

が、これに該当します。

「子どもや家族向けコンテンツの品質原則」に関するポリシー

子どもや家族に安全で充実した体験を提供するとともに、プラットフォームに質の高いコンテンツを集めることがこのポリシーの目的です。チャンネルに「子ども向け」として指定されたコンテンツがあり、子どもや家族向けコンテンツの品質原則によって低品質とみなされたコンテンツを多く扱っているチャンネルは、YouTube パートナー プログラムへの参加が停止される場合があります。これらの品質ポリシーに違反していることが判明した動画には、「広告表示なし、または表示制限あり」が表示される場合があります。

「質の低い」コンテンツとは、具体的には、

  • 否定的な行為や態度の奨励: 危険な行為、ものを粗末にすること、いじめ、不誠実な行い、他者への尊敬を欠く行為を奨励するコンテンツ(例: 危険ないたずら、不健康な食習慣など)
  • 過度に商業的または販売促進目的: 商品の販売またはブランドやロゴ(玩具や食料品など)の宣伝を第一義とするコンテンツ。過度の大量消費主義に主眼を置いたコンテンツ

が、該当します。

収益化ポリシーの適用

収益化ポリシーの適用

YouTube で収益を得るには、チャンネル収益化ポリシーを遵守する必要があります。収益化ポリシーに違反した場合、YouTube により、下記の措置が取られる可能性があります。

  • コンテンツへの広告表示を無効にする
  • YouTube パートナープログラムへの参加を停止する
  • YouTube チャンネルを一時停止または停止する

コンテンツへの広告表示を無効にするとは、動画が広告掲載に適したコンテンツのガイドラインを遵守していないことが判明した場合、または他のポリシー(年齢制限や著作権のガイドラインなど)に違反している場合、YouTubeにより、コンテンツへの広告表示が無効とされることです。

YouTube パートナープログラムへの参加を停止するとは、収益化ポリシーに違反すると、すべてまたは一部のアカウントで収益化が停止または完全に無効になる可能性があり、チャンネルが収益化の資格要件を満たさないと判断された場合は、パートナープログラムに関連するすべての収益化ツールと機能を利用できなくなることです。

YouTube チャンネルを一時停止または停止するとは、例外的な状況においてですが、プラットフォームの信頼性を維持し、ユーザーに被害が及ばないようにするため、チャンネルやアカウントが停止されたり、サービスへのアクセス権が無効とされることです。

YouTube で収益を得るには、利用規約やコミュニティガイドラインだけでなく、すべてのチャンネル収益化ポリシーを遵守せねばなりません。

関連記事:YouTubeでチャンネルまたはアカウントが停止されるのはどんな場合?ガイドラインを解説

関連記事:YouTube利用規約で違反となりやすいケスを弁護士が解説

まとめ:YouTubeのリーガルチェックは弁護士に相談を

YouTubeパートナープログラムに参加すると、動画広告に限らず、さまざまな手法での収益化が可能になります。YouTubeでの収益化を目指すなら、まずは、YouTubeパートナープログラムに参加することから始めるのが一般的でしょう。

YouTubeにおいて収益を得るためには、利用規約や各種ガイドラインの遵守のみならず、収益化ポリシーを理解してコンテンツを作成しましょう。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上で人気化するYouTuberやVTuberの顧問案件を多く承っております。チャンネル運用や契約関連などで、リーガルチェックの必要性が増加しております。当事務所では専門知識を有する弁護士が対策にあたっております。

下記記事にて詳細を記載しておりますのでご参照ください。

モノリス法律事務所の取扱分野:YouTuber・VTuber法務

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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