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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

YouTubeチャンネルの運営代行依頼の際に気をつけるべき契約書のポイント

YouTuber・VTuber法務

YouTubeチャンネルの運営代行依頼の際に気をつけるべき契約書のポイント

YouTubeチャンネル運営について、コンテンツの企画、動画の撮影、動画の編集、動画の投稿、コメントへの返信等のすべての作業を自分で行う人もいますが、最近では、動画の編集作業等を他者に依頼するようなケースもみられます。

そこで、本記事では、YouTubeチャンネル運営に関する事項の代行を、他者に依頼することを考えている人を対象に、契約書のチェックポイントについて説明をします。

YouTubeとは

YouTube(ユーチューブ)は、アメリカのカリフォルニア州サンブルーノに本社を置くオンライン動画共有プラットフォームです。

2006年11月にGoogleに買収され、現在はGoogleの子会社の1つとして運営されています。

近年、YouTubeの視聴者は大幅に増え、YouTuberという職業も誕生しました。YouTuberが、CMやテレビ番組に出演するケースも増え、YouTubeは、我々の生活に欠かせないものとなりつつあります。

動画編集作業の代行を委託するケースが多い

YouTubeチャンネル運営を行うためには、企画を考え、台本を作成し、動画を撮影し、動画を編集し、YouTubeにアップするという過程を経ることになります。

これらの過程の中で、動画を編集するという作業は、専門的な技術やセンスなどが要求され、外部に委託されるケースが多い作業になります。

そこで、以下では、動画編集作業を外部に委託するケースを例に、契約書のチェックポイントを説明します

動画の仕様に関する条項について

契約書の中で、動画の仕様に関する条項を規定しておく必要があります

委託者の立場から考えると、動画の仕様を明確に定めておかないと、求めていた編集とは異なる編集が行われた動画が納品されてしまう可能性があります。

受託者の立場から考えると、動画の仕様が明確でないと、編集の方向性が定まらず、編集作業を行いづらくなってしまうことが考えられ、動画編集の内容が委託者の要望とずれ、トラブルとなってしまう可能性もあります。

そこで、契約書の中で、以下のような条項を規定することが考えられます。

第●条(仕様)
本件動画編集作業の仕様は、別途書面にて定め、受託者は、当該書面および委託者の指示に基づいて本件動画編集作業を遂行するものとする。

委託料に関する条項について

金銭に関する条項は、トラブルに発展しやすい条項であるため、委託料に関する条項をしっかりと規定しておくことが必要になります

金額を明確にしておくことはもちろんですが、支払時期、支払方法および振込手数料の負担などの事項も細かく規定することにより、トラブルが生じることを防ぐことができます。

委託料に関する条項については、以下のような条項が考えられます。

第●条(委託料)
1.     委託者は、受託者に対し、本件業務の対価(以下「業務委託料」という。)として、●●円(消費税別)を支払う。
2.     前項の業務委託料は、本件業務の終了後●日以内に、受託者の指定する銀行口座へ振込んで支払う。なお、振込手数料は、委託者の負担とする。

検収に関する条項について

動画編集作業の代行を他者に依頼した場合、必ずしも委託者のイメージ通りの編集が行われるとは限りません。

また、バグが生じてしまっていたり、字幕に誤字が生じてしまっていたり、音声がずれてしまっていたりなどの問題がある場合があります。

そこで、受託者が委託者に編集をした動画を納品して終わりにするのではなく、編集された動画の内容を検査し、検査に合格をした段階で、受託者の義務が完了するという仕組みにする必要があります

そして、委託者による検査の結果、修正や再編集が必要な場合には、委託者が新たな費用を負担することなく、受託者に修正や再修正を依頼することができるようにしておく必要があります

検収に関する条項については、以下のような条項が考えられます。

第●条(検収)
委託者は、本件動画を受領後●日以内に本件動画を検査し、受託者に対し、検査完了の通知を行った時に、検収が完了したものとする。本件動画に、委託者が受託者に指示した仕様等との不適合(以下「契約不適合」という。)が存在するときは、委託者は、受託者に対して、その選択に従い、本件動画の修正または再編集等の契約不適合を是正するために必要な措置を講じることを求めることができる。この場合、受託者は、別途合意した期限内に無償で、本件動画の修正または再編集等の契約不適合を是正するために必要な措置を講じなければならない。

秘密保持に関する条項について

委託者が、受託者に動画の編集を依頼する場合、当然のことながら、元データを送る必要があります。

この元データに関する情報を、動画公開前に第三者に漏らされてしまったり、不正に利用されてしまったりすると、YouTubeチャンネルの運営に支障が生じる可能性があります。

また、動画編集の方向性を決める打ち合わせの際に、委託者が受託者に話した情報などが第三者に漏らされてしまう可能性もあります。

そこで、秘密保持に関する条項を規定しておく必要があります

例えば、以下のような条項を規定することが考えられます。

第●条(秘密保持)
1.     受託者は、本件業務に関して知り得た委託者の営業上または技術上その他業務上の一切の情報(以下「秘密情報」という。)を、委託者の事前の書面による承諾なしに、第三者に開示または漏洩してはならず、また職務の遂行のためにのみ使用し、他の目的に使用してはならない。なお、秘密情報の開示の方法は、書面、口頭、電磁的媒体等その態様を問わない。
2.     前項の規定にかかわらず、次の各号に該当する情報は、本契約における秘密情報には該当しない。
(1)   開示を受けた際、既に公知となっている情報
(2)   開示を受けた際、既に自己が保有していた情報
(3)   開示を受けた後、自己の責によらずに公知となった情報
(4)   正当な権限を有する第三者より守秘義務を負うことなく取得した情報
(5)   委託者から開示された情報を利用することなく独自に開発した情報
3.     第1項の規定にかかわらず、受託者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、委託者の書面による承諾なしに、秘密情報を第三者に開示することができる。
(1)   委託者または委託者の関係会社の役職員または弁護士、会計士もしくは税理士等に対して、職務の遂行のために必要な範囲で秘密情報を開示する場合。但し、開示を受ける者が少なくとも本条に定める秘密保持義務と同様の秘密保持義務を法令または契約に基づき負担する場合に限る。
(2)   法令等(金融商品取引所の規則を含む。)の規定に基づき、政府、所轄官庁、規制当局、裁判所または金融商品取引所により秘密情報の開示を要求または要請される場合に、合理的に必要な範囲で当該秘密情報を開示するとき。なお、かかる場合、受託者は、委託者に対して、かかる開示の内容を事前に(それが法令等上困難である場合は、開示後可能な限り速やかに)通知しなければならない。

個人情報の保護に関する条項について

動画の内容によっては、個人情報が含まれている可能性があり、動画編集作業の代行を依頼する過程で、委託者から受託者に個人情報が提供される可能性があります。

そこで、受託者によって個人情報が漏洩されたり、また、不正に利用されたりしないように、個人情報の保護に関する条項を規定しておく必要があります。

個人情報の保護に関する条項として、例えば、以下のような条項が考えられます。

第●条(個人情報の保護)
1.     本契約における個人情報とは、委託者および受託者が本件業務を遂行するために、相手方に預託した一切の情報のうち、「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」という。)第2条第1項に定める「個人情報」に該当する情報をいう。
2.     委託者および受託者は、本件業務の遂行に際して個人情報を取り扱う場合には、それぞれ個人情報保護法および本契約の定めを遵守して、本件業務の目的の範囲において個人情報を取り扱い、本件業務の目的以外に、これを取り扱ってはならない。
3.     委託者および受託者は、個人情報への不当なアクセスまたは個人情報の紛失、盗難、改ざん、漏洩等(以下「漏洩等」という。)の危険に対し、合理的な安全管理措置を講じなければならない。また、委託者および受託者は、個人情報を、本件業務の遂行のためにのみ使用、加工、複写等し、他の目的で使用、加工、複写等してはならない。
4.     委託者および受託者において、個人情報の漏洩等の事故が発生した場合には、漏洩等をした者は、相手方に対し、速やかに当該事故の発生日時・内容その他詳細事項について報告する。また、漏洩等をした者は、自己の費用において、直ちに漏洩等の原因の調査に着手し、速やかに相手方に対し調査の結果を報告するとともに、再発防止策を講じる。

権利の帰属に関する条項について

動画に関しては、著作権等の知的財産権が関係することとなるため、権利の帰属を明確に定めておく必要があります

また、動画の編集の際にBGMを使用するケースもありますので、受託者が第三者の権利を侵害しないことを保証させておく必要があります

例えば、以下のような条項が考えられます。

第●条(権利の帰属)
1. 本件業務を通じて生じた本件動画(本件業務の過程で生じるものも含む。以下、同じ。)の著作権(著作権法第27条および第28条の権利を含む。)等は、委託者に帰属する。
2.     本件業務を通じて生じた本件動画および本件業務の過程で生じる発明、考案または創作について、特許権、実用新案権、意匠権、商標権等の知的財産権を受ける権利および当該権利に基づき取得される知的財産権は、全て委託者に帰属する。
3.     受託者は、前項の知的財産権の出願および登録手続等について、委託者に協力しなければならない。
4.     受託者は、本件業務を通じて生じた本件動画の利用について、著作者人格権を行使しない。
5.     前3項にかかる対価は、業務委託料に含まれる。
6.     受託者は、本件業務を通じて生じた本件動画が第三者の権利(知的財産権を含むが、これに限られない。)を侵害しないことを保証する。委託者が、第三者から本件動画の利用について、第三者から、当該第三者の権利侵害を理由に何らかの請求、異議の申立等を受けた場合、受託者は自らの責任と負担によりこれを解決するとともに、委託者に生じた損害を賠償しなければならない。

損害賠償義務に関する条項について

動画編集作業の代行を依頼する場合、委託者が受託者の権利や利益を侵害する可能性はそれほど高くなく、受託者が委託者の権利や利益を侵害する可能性の方が高いと考えられます。

そのため、損害賠償請求が認められる範囲をできるだけ広く認める方が、委託者には有利であると考えられます

他方、損害賠償義務に関する条項を、受託者に有利な規定とする場合には、損害賠償請求が認められる範囲を、直接的かつ現実に生じた損害に限定する、損害賠償額の上限を委託料の範囲に限定するなどの規定の仕方が考えられます。

損害賠償義務に関する条項については、例えば、以下のような条項が考えられます。

第●条(損害賠償責任)
委託者または受託者は、本契約に関して相手方に損害を与えた場合、全ての損害(逸失利益に関する損害および弁護士費用を含むが、これに限られない。)を賠償する責任を負う。

まとめ

以上、動画編集作業を外部に委託するケースを例に、代行を依頼する際に締結することとなる契約書のチェックポイントを説明しました。

YouTubeチャンネル運営に関する事項の代行を依頼する契約については、近年のYouTubeの人気の高まりにより、締結される機会が増えた新しい契約です。そのため、従来のひな形を機械的に用いるだけでは、実際の契約内容に即した契約書とはならない可能性があります。

また、想定されるリスクの洗い出しが不十分となり、思わぬ損害を被ることにもなりかねません。

そこで、YouTubeチャンネル運営に関する事項の代行を依頼する際に締結される契約書については、専門的な知識を有する法律事務所に相談することをおすすめします。

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