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YouTuber・VTuber法務

「踊ってみた」は著作権侵害か?振り付けをめぐる著作権の判例を解説

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「踊ってみた」は著作権侵害か?振り付けをめぐる著作権の判例を解説

YouTube、Instagram、TikTokなどで「踊ってみた」動画が投稿されることがあります。

特に近年では、特徴的な振り付けが使われている楽曲を用いた「踊ってみた」動画が投稿されるケースが多くみられます。

地方公共団体の職員が踊っている動画が話題となったAKB48の楽曲「恋するフォーチュンクッキー」のMVで用いられた振り付け、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で使用された星野源さんの楽曲「恋」の恋ダンス、虹プロジェクトから誕生したアイドルグループNiziUの楽曲「Make you happy」の縄跳びダンスなどが有名です。

このような振り付けを真似して、多くの人が「踊ってみた」動画を投稿していますが、著作権のことをまでを意識して動画を投稿した人はほとんどいないのではないかと思います。

そこで、本記事では、「踊ってみた」動画投稿の際に気を付けるべき振り付けの著作権について説明をします。

著作権とはどのような権利か

著作権とは、著作者に認められる権利で、著作物に対する排他的な権利のことをいいます。

著作物については、著作権法第2条第1項第1号で以下のように定義されています。

(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
1. 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著作物は全ての創作物に認められるわけではなく、思想又は感情を創作的に表現したといえる創作物である必要があります。

また、創作物の範囲が、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する必要があります

著作権は、特別な手続が必要な商標権や特許権等の知的財産権と異なり、特別な手続を要することなく権利が認められるという点に特徴があります。

具体的にどのようなものが著作物に含まれるかについて、著作権法第10条第1項各号では、著作物が例示されています。

第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
1. 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
2. 音楽の著作物
3. 舞踊又は無言劇の著作物
4. 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
5. 建築の著作物
6. 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
7. 映画の著作物
8. 写真の著作物
9. プログラムの著作物

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踊りの振り付けに著作権は認められるか

上記では、著作権について一般的な説明をしましたが、踊りの振り付けについては著作権が認められるのでしょうか。

踊りの振り付けに著作権が認められたケース

前述した著作権法第10条では、第3号で、「舞踊」が例示されています。

舞踊とは、音楽にあわせて身体をリズミカルに動かすことにより、感情や意志などを表現する芸能のことをいい、踊りの振り付けは、「舞踊」に含まれるものと考えられます。

判例でも踊りの振り付けに著作権が認められる旨を判示したものがあり、バレエの振り付けに著作権を認めた東京地裁平成10年11月20日判決や、日本舞踊の振り付けに著作権を認めた福岡高裁平成14年12月26日判決等があります。

最近の判例では、フラダンスの振り付けに著作権を認めた大阪地裁平成30年9月21日判決があります。

ダンスの振り付けについては、音楽の著作権などと異なり、裁判にまで発展するケースは少ないものの、上記のように著作権が認められたケースがいくつかあります。

踊りの振り付けに著作権が認められないケース

上記では、踊りの振り付けに著作権が認められた判例を紹介しましたが、著作権が否定された判例もあります。

その判例は、Shall we ダンス?振り付け事件(東京地裁平成24年2月28日判決)です。

判例では、「社交ダンス」の著作権が問題になりました。判決では、原告が著作権を主張する振り付けは、いずれも独創性を備えるものではないとして著作権が否定されています。

社交ダンスの振り付けとは,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ,これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。なぜなら,社交ダンスは,そもそも既存のステップを適宜自由に組み合わせて踊られることが前提とされているものであり,競技者のみならず一般の愛好家にも広く踊られていることにかんがみると,振り付けについての独創性を緩和し,組合せに何らかの特徴があれば著作物性が認められるとすると,わずかな差異を有するにすぎない無数の振り付けについて著作権が成立し,特定の者の独占が許されることになる結果,振り付けの自由度が過度に制約されることになりかねないからである。このことは,既存のステップの組合せに加えて,アレンジを加えたステップや,既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを組み合わせた場合であっても同様であるというべきである。

上記判例では、社交ダンスは、既存のステップを組み合わせ、適宜アレンジを加えたものに過ぎない場合には、著作権が認められないが、それを超えて顕著な特徴を有するといった独創性を備えた場合には著作権が認められると判示しています。

また、上記判示の理由として、社交ダンスの振り付けに広く著作権を認めてしまうと、振り付けの自由度への過度な制約が生じてしまうことが述べられています。

振り付けを「踊ってみた」動画で使用するためには許諾が必要か

原則として許諾が必要となる

ダンスの振り付けに著作権が認められない場合には当然のことながら許諾を受ける必要はありませんが、「顕著な特徴を有するといった独創性を備え」ている場合は著作権が認められることから許諾が必要になります。

多くの「踊ってみた」動画の振り付けは著作権が認められることが多く、投稿するためには、原則として権利者の許諾が必要になると言えるでしょう。

例外的に許諾は不要

著作権法上、著作権が認められる場合でも、例外的に権利者の許諾を得ることなく使用できる場合が規定されています。

「踊ってみた」動画との関係では、以下の著作権法第38条第1項が関係することとなります。

(営利を目的としない上演等)
第38条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

著作権法第38条第1項

「踊ってみた」動画を投稿する場合、営利を目的とせずに、視聴者に見てもらいたいという目的のみで動画を投稿するときには、踊りの振り付けに著作権が認めら、権利者の許諾が存在しないケースでも、著作権侵害にはならないものと考えられます。

まとめ

以上、「踊ってみた」動画投稿の際に気を付けるべき振り付けの著作権について説明をしました。

振り付けの著作権については、判例でも争われたケースが少なく、また、ケースにより判断が分かれているため、著作権が認められるかという判断に専門的な判断が要求されます。

また、踊りの振り付けに著作権が認められるケースでも、本記事で紹介したように、権利者の許諾がなくとも「踊ってみた」動画で使用できる場合もあり、この判断も専門的な知識が要求されます。

したがって、「踊ってみた」動画を投稿し、収益を得ようと考えている方は、専門的な知識を有する弁護士に相談することをおすすめします。

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