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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

TikTokに潜む危険性とは?誹謗中傷されたときの対応もご紹介

YouTuber・VTuber法務

TikTokは、動画に特化したSNSとして、若い世代を中心に大ヒットしています。

その特徴は、テキストがメインのTwitterや写真がメインのInstagramに対して、動画コンテンツがメインな点です。

個人やグループで歌ったり踊ったり、配信している側と見ている側の両方が楽しめるSNS、ひとりで遊ぶコンテンツではなく大勢で遊べるコンテンツとして、グループ内での動画リンクが共有できます。

こうしたTikTokはサービスの特性上、誹謗中傷をはじめとしたさまざまなトラブルが多発しており、若年層を中心に被害が広がっています。

では、TikTokの特徴とはどのようなものであり、どのような危険性を抱えているのでしょうか。

TikTokの特徴

TikTokは日本では2017年10月にリリースされ、まず女子中高生の間で大ヒットし、やがて若い世代だけではなく、幅広い世代に支持されるようになってきました。

このTikTokは、どのような特徴を持ったSNSなのでしょうか。

TikTokの動画

TikTokは15秒のショートムービープラットフォームであり、用意された音楽に合わせて踊ったり、口パクをしたりして楽しむことができます

楽器を演奏できたり歌が上手であったりといった、特別なスキルを必要としない気軽さが大きな魅力です。

さらに、TikTokでは動画用のテンプレートが用意されているので、ユーザーは音楽を用意するなどの労力をかける必要がなく、気軽に動画の投稿が可能です。

YouTubeも動画コンテンツといった点では同じですが、15秒のTikTokはYouTubeよりも多くの人に見てもらえてより多くの「いいね」が付く可能性が高くなっています。

TikTokの機能

TikTokには独自の機能がいくつもありますが、「デュエット機能」や「リアクション機能」を用いて、口パクやダンスをより楽しむこともできます。

「デュエット機能」は、他のユーザーが投稿した動画と自分の動画を並べることができる機能で、隣に並んで一緒に口パクやダンスをしているかのような気分が味わえます。

仲間と楽しむだけでなく、アイドルやYouTuberとのデュエットも可能です。

「リアクション機能」は、他のユーザーの動画を観ている自分の動画を投稿できる機能で、動画を観ている自分がどのようなリアクションをしているかを伝えることができ、コミュニケーションツールとして利用できます。

双方向的なやり取りができるようになるので、人気の機能となっています。

TikTokの動画保存

TikTokに投稿されている動画は保存が可能です。

繰り返し見て楽しむこともできますが、難しい口パクやダンスのように1度見ただけではまねできない場合には動画を見返して何度でも練習することができます。

保存した動画は他のSNSへの転載もできるため、より多くの人々に楽しんでもらうことも可能です。

TikTokの危険性 3つの例

こうしたTikTokには、いくつかの危険性が潜んでいます。

年齢の問題

スマートフォン画面:TikTok

TikTokはサービス利用のハードルの低さが魅力ですが、それゆえに、年齢問題がたびたび取り上げられています。

TikTokのセーフティセンターの「保護者の皆さまへ」では、

  • TikTokは13歳以上を対象としたアプリのため、13歳未満のお子様の使用は不可である
  • 13歳未満の子供が利用しているアカウントが見つかった場合、そのアカウントを終了させる
  • ダイレクトメッセージを送受信できる機能は、16歳以上である

と制限されています。

しかし、厳密に処理されているとは到底言えず、2021年1月にイタリアのパレルモでは、体を強く圧迫して気を失わせる「失神ゲーム」に関する動画を見た女児(10歳)が自らの首を絞めて死亡する事件が発生しました。

イタリアでは14歳未満の子どもが保護者の同意なしにソーシャルメディアへ登録することが禁止されていますが、TikTokは14歳未満でも簡単に登録できてしまうと以前から問題視されており、改善するよう通告された直後の事件でした。

同じような問題が日本でも起こるかもしれません。

また、子どもであるがゆえに、安易に個人情報を流出させる可能性が高いという点でも危険性が指摘されています。

SNSでの拡散

TikTokに投稿されている動画は保存ができ、他のSNSへの転載も簡単にできるので、第三者による拡散など、投稿者自身が意図しないところに自分の顔や姿がさらされてしまう可能性があります。

YouTubeでTikTokの動画まとめを検索してみると、何十本かを編集した「可愛い子まとめ」「ランキングTOP50集」などを目にします。

また一方では、「TikTok黒歴史集」「勘違いブス集」などもあり、こうした悪意の下で行われる誹謗中傷といえる動画や卑猥なものはTikTokから削除したとしてもネット上でいつまでも残ってしまうのです。

デュエット機能を用いて投稿元のユーザーを茶化すようなものも多く、いじめに用いられているという指摘もあるくらいです。

そうした投稿は深刻なハラスメントとなりうる可能性もあります。

関連記事:ネットいじめ等への対応 未成年者が被害者な風評被害対策の裁判

犯罪への発展

ユーザーのプロフィール欄を見ると、自分の氏名や住んでいる地域を書いていたりコメント欄に撮影場所の名前をあげていたりする例も多くあり、動画を見ている人が容易に生活圏を知ることができてしまいます。

そこまで油断しているわけでなくても、TikTokに投稿した動画に映っている景色等から投稿者の家や撮影場所を特定されるケースもあります。

画像解析などの技術が進み、ほんの少しの映り込みから、また複数の写真を照合することで、撮影場所や投稿者本人の特定が可能になっているのです。

スマートフォンを操作する女子学生

また、動画で着ていた制服から学校を特定され住所や氏名まで特定されることもあります。

YouTubeで「TikTok女子高生制服可愛すぎ!」などとしてまとめられている動画では、制服や学校指定らしい体操服で踊っているものが数多くあり、学校内で撮影しているものも多くあります。

これらは、本人たちは工夫して隠したりごまかしたりしているつもりでも、いわゆる“特定班”のような手慣れた人たちからは容易に特定されてしまい、個人情報をさらされたり、ストーカー化する場合もあるので、大変危険です。

TikTokは顔出し動画であり、年齢もほぼ正確に予想できるために出会い目的で利用している成人男性も多くいます。

小学生と思われる女の子のコメント欄では出会いを持ちかけているマナー違反の投稿が見られたりしているのも事実です。

このような場合、本人が無視していても個人情報が特定されてしまえば性犯罪に発展する可能性があります。

TikTokで誹謗中傷が発生しやすい原因

これらの危険性と同様に注意しなければならないのは、TikTok上での誹謗中傷です。

同じ動画共有サイトのYouTubeと比較すると、TikTokはコメントの数が多ければその動画の評価が上がり、視聴者のおすすめに表示されやすくなって拡散しやすくなる、という特徴があります。

TikTokは匿名でコメントができることから「何を言っても大丈夫」と、つい過激な言葉で中傷をしてしまうケースが多く存在します。

誹謗中傷を行う側は気軽な気持ちで書き込んだコメントでも、中傷を受けた側の人は心に大きな傷を負ってしまいます。

そうした事態を未然に防ぐために、次に挙げる挙げるような対策をしておくとよいでしょう。

TikTokの危険性への対策

TikTokにはさまざまな危険性がありますが、以下のようにあらかじめ設定しておくことによってトラブルを予防することができます。

アカウントの非公開設定

TikTokの安全性を高めるために、アカウントを非公開設定にして親しい友人の間だけで楽しむようにすることが可能です。

アプリを開き、右下の人型アイコンをタップし、右上の三点アイコンをタップして、設定画面を開きます。

設定画面:プライバシー

「プライバシー設定」→「非公開アカウント」をONにすると、アカウントの非公開設定は完了です。

プライバシー設定:非公開アカウント

簡単な対応方法ですが、アカウントを非公開にするとTikTokの面白さが半減してしまうと感じる人も多いようです。

詳しい説明はTikTok公式サイトからご確認ください。

コメント入力と動画ダウンロードの制限

投稿した動画に対しては、ネガティブな反応が返ってくることもあります。中には誹謗中傷を楽しむためにTikTokを見ている人も一定数いるので、コメントやメッセージが可能な人を制限することが推奨されています。

「プライバシー設定」で、「自分の動画にコメントできる人」と「自分にメッセージを送信できる人」を設定するのがオススメです。

詳しい手順はTikTok公式サイトからご確認ください。

また、不特定多数の人が動画をダウンロードできるようにしておくと、悪意のある「TikTokまとめ」に流用され、意図せず拡散されてしまう危険性が高くなります。

そこで、同じく「プライバシー設定」で「自分の動画をダウンロードできる人」を制限しておけば安全です。

関連記事:YouTube動画の無断撮影で起こりうる問題点と対処法を解説

ペアレンタルコントロール(保護者管理機能)

ペアレンタルコントロールとは、主に未成年のユーザーがTikTokを使用する際に、保護者が犯罪やトラブルから子どもを守るために用意されている機能です。

さきほどの、「設定とプライバシー」内の「ペアレンタルコントロール」で設定します。

設定画面:ペアレンタルコントロール

親もTikTokアカウントを作成して連携する必要がありますが、4桁のパスワードを設定すると、子どもが勝手に設定を変更することができなくなります。

これによりTikTokの使用時間を管理したり、動画コンテンツのフィルタリングによって未成年に不適切な動画コンテンツを排除したり、ダイレクトメッセージ(DM)の受信範囲を制限することによって不特定多数からのDM受信を防いだりできます。

詳しい手順はTikTok公式サイトからご確認ください。

TikTokで誹謗中傷された時の対応

TikTokで誹謗中傷への対策を取っていたとしても誹謗中傷を受ける可能性がまったくなくなるわけではありません。

もし、自分が誹謗中傷を受けた場合にできる対処法をあらかじめ把握しておくとよいでしょう。

対処①:TikTok内で報告をする

すぐできる対処法として、TikTokアプリ内での報告機能があります。

自分の動画のコメント欄で誹謗中傷を受けている場合は、該当するコメントを長押しし「報告する」を選択します。

第三者の投稿した動画により誹謗中傷を受けている場合は、動画のシェアボタンから「報告する」を選択します。

その他、悪質なDMやハッシュタグ、ユーザーの報告方法はTikTok公式サイトで説明されています。

対処②:誹謗中傷相談窓口に相談する

専門的な第三者への相談として、身近なのは国や行政が設置している相談窓口です。代表的なものとして以下が挙げられます。

こうした窓口は悪質な書き込みの削除や投稿者の特定方法について情報提供を行っています。

しかし、相談に乗ってくれたりアドバイスをしてくれるのみに留まるため、実際の削除請求の手続きなどは自分で行う必要があります。

対処③:弁護士へ相談する

TikTokに申請しても投稿が削除されない場合、もっとも効力があるのは弁護士に依頼して法的措置を取ることです。

投稿に違法性が認められれば、裁判所へ仮処分を申請できるため、強制的に削除することができます。仮処分の申請には専門的な知識が不可欠であり、法律の専門家である弁護士に依頼するのがもっとも確実です。

まとめ:TikTokでのトラブルは弁護士にご相談を

「TikTokは危険なのか?」の問いに対しては、「TikTokには多くの危険性があります」と答えるしかありません。

しかし、その多くの危険性に対して対処することは可能です。

さらに、その危険性自体は他のSNSにも共通しています。TikTokのみが特に危険というわけではありません。

ユーザーが若者中心であり子どもも多いので配慮は必要ですが、ネットリテラシーを学ぶ機会であり、教材であるといったくらいの気持ちでSNSのひとつとして接するのがよいのではないでしょうか。

実際にトラブルが起きた場合はエスカレートしないうちに適切な法的措置を取ることが重要です。被害を最小限に抑えるために、TikTokでのトラブルは迅速に弁護士に相談しましょう。

関連記事:動画の無断転載の法的問題は?肖像権侵害の判例を解説

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モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報は「デジタルタトゥー」として深刻な被害をもたらしています。当事務所では「デジタルタトゥー」対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

モノリス法律事務所の取扱分野:デジタルタトゥー

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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