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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

ディズニーランドやUSJで無断撮影するのは禁止?法的問題点を解説

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ディズニーランドやUSJで無断撮影するのは禁止?法的問題点を解説

近年、テーマパーク内で動画撮影をしたり、YouTubeやTwitterなどに撮影した動画を投稿したりする行為が数多く見られます。

こうした撮影行為や、撮影した動画をインターネット上に投稿する行為は、どのような場合に法的に問題となるのでしょうか。

また、法的には問題にならないとしても、テーマパーク等の約款において撮影等の行為が禁止されている場合もあります。例えば、2022年9月には「東京ディズニーリゾートからのお願い」に営利活動の禁止が追加されたことが話題になりました。施設の規約や約款を知らずに無断撮影をしてしまうと、予想外のトラブルが発生るする可能性もあります。

本記事では、テーマパーク内での動画撮影や投稿について、考えられる問題点を紹介します。

ディズニーランドやUSJでの動画撮影やSNS投稿で生じる可能性のある問題

ディズニーランドやUSJでの動画撮影やSNSへの投稿で生じる可能性のある問題

ディズニーランド等のテーマパーク内で動画撮影を行った場合に、撮影される可能性がある客体は様々です。

例えば、他の入場者、テーマパーク内に存在するキャラクター、テーマパーク内で流れる音楽、テーマパーク内に存在する建築物などが考えられます。

こうした撮影行為について、単に個人で楽しむ目的であれば、原則として大きな問題は生じないものと考えられます。

もっとも、商用目的など私的使用目的を超えた撮影や、インターネットへの投稿については、著作権との関係で問題が生じる可能性があります。

また、他人の容貌や容姿が被写体となっている場合には、肖像権との関係にも気を付けなければなりません。

さらに、各テーマパークでは約款が規定されており、動画撮影やSNSへの投稿が約款との関係で問題が生じる可能性があります。

そこで、以下では、テーマパーク内の動画撮影やSNSへの投稿が、著作権、肖像権、約款との関係でどのような問題を生じるのかについて解説します。

テーマパーク内の動画撮影やSNS投稿と著作権に関する問題点について

テーマパーク内の動画撮影やSNS投稿と著作権に関する問題点について

テーマパーク内でショーやパレードを撮影し、動画共有サイトやSNSに投稿する場合、著作権との関係が問題となります。

著作権とは

著作権とは、著作物を保護するための権利のことをいいます。そして、この著作物には、小説や絵画、音楽や建築など、多様な種類の作品が含まれます。

もっとも、作品であれば何でも著作物となり著作権により保護されるわけではありません。著作物として認められるには、著作権法上の定義に沿って、いくつかの要件を満たす必要があります

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著作権法2条1号

この定義から、著作物と認められるためには、以下の4つの要件が求められます。

  • 思想または感情を
  • 創作的に(創作性)
  • 表現したものであって
  • 文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの

テーマパーク内で行われるショーやパレードを撮影する場合、主にパレードのダンスの振り付けや音楽、ミッキーマウスなどのキャラクター、背景の建物について、著作物と認められるのか、著作権侵害となるのかを検討する必要があります。

ショーやパレードに著作権が認められるか

ショーやパレードは、パレードのダンスや音楽により構成されています。

まず、ダンスの振り付けについては、舞踊の著作物といえるのかが問題となります。

振り付けは人間の身振りなどを伴うため、誰でも思いつくようなありふれた表現方法にとどまってしまい、著作物の要件である「創作性」を満たさない可能性があります。

もっとも、ダンスの内容が、テーマパークの雰囲気や演技者の特徴に合わせて観賞用に工夫されているならば、舞踊の著作物と認められるでしょう。

また、ショーやパレードに使用される音楽については、音楽の著作物といえるのかが問題となります。

音楽の著作物には、メロディやリズムだけでなく、歌詞も含まれます。テーマパークのコンセプトとなっている映画の音楽や、特定のイベントに合わせて特別に作成された音楽については、一般的に音楽の著作物と認められるでしょう。

これらの著作物を、単なる映り込みを超えて、私的使用の目的でなく無断で撮影する行為は、著作権の一種である複製権を侵害する可能性があります。

また、撮影した動画を動画共有サイトやSNSに投稿する行為は、公衆送信権を侵害する可能性があります。

ダンスの振り付けの著作権については、以下の記事も参照してください。

関連記事:ダンス(舞踊)の振り付けは「著作物」なのか?~判例を解説~

キャラクターに著作権が認められるか

テーマパークでのショーやパレードでは、ミッキーマウスなどのキャラクターが実際にダンスを披露するなど、演技の上で欠かせない存在となっています。ただし、具体的な表現を伴わないキャラクター自体は著作物ではない点に注意が必要です。

例えば、ミッキーマウスというキャラクター自体には、陽気で声が高く、耳や口が強調されたハツカネズミという設定や性格が思いつきます。

しかし、これらはいずれもキャラクターの持つ抽象的な概念にとどまり、思想や感情を「表現」したものではありません。

もっとも、ショーやパレードで撮影されるキャラクターは、着ぐるみやイラストとして具体的に表現されており、美術の著作物として認められるでしょう。

そのため、ショーやパレードの撮影や投稿は、ダンスの振り付けや音楽と同じように、複製権侵害や公衆送信権侵害となる可能性があります。

キャラクターの著作権については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:キャラクターには著作権がない?IPビジネスのための基礎知識

建築に著作権が認められるか

テーマパークに建設されている建物は、建築の著作物として認められる可能性があります。

ただし、建築の著作物については、一部の行為を除いて、例外的に自由に利用することができます。

そのため、ショーやパレードと一緒に背景となっている建物を撮影する行為や、撮影した動画をSNSなどに投稿する行為には、著作権侵害は生じません。

建物の著作権については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:建築物の画像利用は法律違反?著作権と商標権について

テーマパーク内でのショーやパレードの動画撮影が問題となった事例

問題が発生したテーマパークは、千葉県浦安市にある東京ディズニーリゾートです。

2007年、東京都練馬区の会社員とその妻の両容疑者と、東京都足立区の看護師と浦安市富士見の無職の両容疑者の計4人が、ディズニーリゾートで撮影したアトラクションのパレードを、DVDに複製し、ネットを通じて無断で販売したとして、著作権法違反容疑で逮捕されました。

4人は、高価なビデオカメラで撮影し、その完成度も高く、公式に販売されているパレードのDVDでは満足できないというコアな層を対象に、DVDが販売されていたようです。

4人は、「ハロウィン2006」というパレードの際、三脚を立てて見やすい場所を占拠して動画を撮影していました。

この動画撮影により、他の入園者がパレードを見づらい状態となっていたことから、他の入園者が、東京ディズニーリゾートに対し、4人への苦情を寄せ、東京ディズニーリゾートが、警察に通報し犯行が発覚しました。

このように、著作権の侵害により刑事責任を問われる事例もあり、著作物の利用には十分注意をすることが必要です。

テーマパーク内の人物を撮影した場合の肖像権について

テーマパーク内の人物を撮影した場合の肖像権について

肖像権とは、みだりに自分の容貌や容姿を撮影されたり、撮影された肖像写真を公表されたりしない権利を言います。

肖像権の侵害が認められれば、被害者から損害賠償請求などがなされる可能性があるため、注意が必要です。

肖像権侵害の有無の判断は、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。

もっとも、撮影された人物が特定できる動画を撮影する場合や、単なる映り込みでなくその人物をメインで撮影する場合、SNSへの投稿により不特定多数者が閲覧できるようになった場合などは、肖像権侵害となりえます。

そのため、他の来園者の顔もはっきり映り込んでしまうような場所での撮影や隠し撮りなど、トラブルを招きうる撮影はすべきではありません。

また、モザイク処理をして投稿するなどの措置も検討すべきでしょう。

肖像権侵害については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:肖像権侵害で損害賠償請求となる基準や流れを解説

テーマパークの約款との関係

テーマパークの約款との関係

近年、テーマパーク内で撮影した動画を、ショート動画アプリ「TikTok」などに投稿して人気を集めるケースが増えている反面、テーマパーク内での過剰な撮影行為への苦情も相次いでいます。

テーマパーク内での撮影行為については、テーマパークの定めている約款でルールが設けられていることが多いです。

以下では、テーマパークとして代表的な、東京ディズニーリゾート及びユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の約款を紹介します。

東京ディズニーリゾートの約款について

東京ディズニーリゾートは、「東京ディズニーリゾートからのお願い」を公開し、以下のような行為を禁止しています。

次の行為はお断りします。

(中略)

・商業目的の撮影等

・他のお客様のご迷惑となる撮影および公衆送信

(中略)

・ハンディサイズのグリップアタッチメントを除き、一脚・三脚・自分撮りスティック等の補助機材の使用

(中略)

・営利活動(当社が許可した場合を除きます。)

(中略)

・東京ディズニーランドおよびその関連施設の運営の妨げになる一切の行為

東京ディズニーリゾートからのお願い

上記の規定との関係では、商業目的以外の動画撮影、すなわち、私的使用目的のための動画撮影であれば、原則として認められるものと考えられます。

ただし、他の入園者の迷惑となる撮影や配信、一脚・三脚・自分撮りスティック等の補助機材の使用や東京ディズニーランドおよびその関連施設の運営の妨げになるような撮影方法は、私的な目的の動画撮影であっても禁止されており、注意が必要です。

さらに、上記の規定では、許可のない営利活動は禁止されています。営利活動とは、経済的利益を得るための活動を指すため、YouTubeで収益を得ることを目的とした撮影等の活動は、この営利活動に該当する可能性があります。

また、ディズニーホテル内での撮影行為についても、「【公式】宿泊約款と利用規則 | 東京ディズニーリゾート (tokyodisneyresort.jp)」において以下の通り規定されています。

客室内や敷地内で許可なく営業上の目的で写真やビデオ・DVD等あらゆる機器による撮影及び録音はなさらないでください。また、私的に撮影及び録音されたものであっても、許可なく(ⅰ)営業上の目的でインターネット上に掲載する行為等、 (ⅱ)各種SNSを使用したライブ配信行為等はなさらないでください。

【公式】宿泊約款と利用規則 | 東京ディズニーリゾート (tokyodisneyresort.jp)

そのため、営業目的での撮影やインターネットへの掲載などは、利用規約上も禁止されています。

USJの約款について

USJでは、「ルールとマナー|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン|USJ」を公開し、テーマパーク内での動画撮影に関連する規定として、以下のような規定を定めています。

すべてのゲストの皆さまがパークを快適に楽しめるよう、撮影には一部、制限を設けています。
・事故防止のため、アトラクション乗車中の撮影
・ネタバレにつながる、クイズ内容、解答などの撮影
・演出効果への影響やエンターテイナーの安全のために、フラッシュ撮影禁止をお願いしている場所での、フラッシュを使用しての撮影
・非公開エリア(工事や改装エリア等)の撮影
・著作権侵害につながる、営利目的の撮影
・LIVE(生)配信やそれに準じた撮影
・他のゲストへのご迷惑につながる、不特定多数のゲストへのお声がけによる撮影行為
上記は一例です。他のゲストへのご迷惑になると判断した場合、施設損壊の恐れのある場合、クルーやエンターテイナーの安全優先をはかる場合、クルーの判断で中止を求めることがあります。
ご理解、ご協力をお願いします。

ルールとマナー|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン|USJ

USJの規定においても、著作権侵害につながる営利目的の撮影や、他のゲストへの迷惑につながる撮影が禁止されています。

また、動画の公表については、以下の通り規定されています。

パーク内でお断りしている行為について

・非公開エリア(工事や改装エリア等)を撮影したもののSNSなどを含む公表

ルールとマナー|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン|USJ

そのため、特に非公開エリアについては、撮影した動画の投稿も禁止されています。なお、非公開エリア以外について約款上は公表の禁止はされていませんが、すでに述べた通り、法律上の問題を生じる可能性があるため、安易に投稿しないことが大切でしょう。

まとめ:テーマパークの法律問題なら弁護士に相談しよう

まとめ:テーマパークの法律問題なら弁護士に相談しよう

この記事では、テーマパーク内での動画撮影を行うことに関する問題点を紹介しました。

テーマパークでの動画撮影やSNSなどへの投稿を安易に行うことで、ケースによっては損害賠償責任や刑事責任を負う可能性もあります。

そのため、著作権や肖像権を侵害することはないか、テーマパークが定めている約款上禁止されていないか、という点に十分注意をする必要があります

個別の事案に沿ってより具体的なアドバイスが必要な方は、ぜひ一度専門の弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上で人気化するYouTuberやVTuberの顧問案件を多く承っております。チャンネル運用や契約関連などで、リーガルチェックの必要性が増加しております。当事務所では専門知識を有する弁護士が対策にあたっております。

下記にて詳細を記載しておりますのでご参照ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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