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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

YouTuber・VTuber法務

撮影禁止の場所での撮影動画や盗撮動画をYouTubeにアップするとどうなるか?

YouTuber・VTuber法務

撮影禁止の場所での撮影動画や盗撮動画をYouTubeにアップするとどうなるか?

YouTubeでは、日々様々なジャンルの動画がアップされていますが、撮影が禁止されている場所で撮影された動画や盗撮された動画がアップされていることがあります。このような方法により撮影された動画は、見る人の関心を引き、再生数が大きく伸びるケースもあります。

ただ、撮影が禁止されている場所での撮影や相手方の承諾がない状況での盗撮は、適切な方法での撮影とはいえません。このような不適切な方法により撮影された動画をYouTubeにアップしまうと、多くの法的問題が生じます。

そこで、本記事では、撮影が禁止されている場所で撮影された動画や盗撮された動画をYouTubeにアップすることの問題点について説明をします。

撮影禁止の場所で撮影された動画について

撮影が禁止されている場所で動画を撮影することで生じる法律問題について説明していきます。

撮影が禁止されている場所で動画を撮影することで生じる法律問題について説明していきます。

一般的には刑法の住居侵入罪や不退去罪、さらには軽犯罪法に抵触する可能性があります。以下、個別に解説していきましょう。

撮影禁止の場所での動画撮影により生じる法律問題

住居侵入等罪(刑法130条前段)

撮影が禁止されている場所として、そもそも撮影目的の立ち入りが禁止されている場所が考えられます。立ち入りが禁止されている場所へ立ち入ることについては、以下の刑法130条前段との関係で問題が生じる可能性があります。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し・・・た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

以上の条文から考えると、YouTubeで投稿する動画を撮影するために、立ち入り禁止の場所に侵入した場合には、住居侵入等罪が成立する可能性があります

軽犯罪法違反

さらに、立ち入りが禁止されている場所へ立ち入ることについては、以下の軽犯罪法1条32号との関係で問題が生じる可能性もあります。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

以上の条文から考えると、YouTubeで投稿する動画を撮影するために、立ち入り禁止の場所に侵入した場合には、軽犯罪法に違反する可能性もあります

不退去罪(刑法130条後段)

また、立ち入りの段階では問題がなかったとしても、動画を撮影する意図があったことがバレたなどの理由により、その場所の管理者などから退去を求められることも考えられます。退去を求められたにもかかわらず退去に応じず、動画の撮影を続けた場合、以下の刑法130条後段との関係で問題が生じる可能性があります。

(住居侵入等)
第百三十条 ・・・要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

以上の条文から考えると、特定の場所からの退去を求められたにもかかわらず退去に応じず、動画の撮影を続けた場合には、不退去罪が成立する可能性があります

撮影禁止の場所で撮影された動画をYouTubeにアップすることの問題点

撮影禁止の場所で撮った動画をYouTubeにアップする事の問題点とは?

それでは、これらの罪を犯し、撮影された動画をYouTubeにアップする行為は法的に問題があるのでしょうか。これについては、上記のような罪を犯して撮影された動画であっても、動画自体に違法な点がなければ、法律的な問題は基本的には生じないと考えられます。少し分かりにくいですが、

  • 動画の撮影過程で何らかの違法な行為(例えば上記の不退去罪に該当する行為)が行われた動画をアップロードし公開すること
  • 動画のアップロードや公開自体が違法である動画をアップロードし公開すること

は論理的に別です。

後者の例は、例えば、他者のプライバシー権や肖像権等を侵害するような内容を含んでいる動画です。そうした動画の場合には、そのことを理由に違法と判断される可能性があるので注意が必要です。

また、法律的に違法な点がないとしても、動画の内容によっては、YouTubeのコミュニティガイドラインに反する動画と判断される可能性があります。

YouTube コミュニティガイドライン

ただ、YouTubeのコミュニティガイドラインは、例えば、性的なコンテンツ、身体に重傷を負う危険があるようなコンテンツ、といったものを禁止していますが、撮影過程で何らかの法律違反のある動画を一般的に禁止する規定はないと思われます。

盗撮された動画について

まず、「盗撮」という用語は様々な意味で使われますが、被撮影者又は被撮影物の管理者の許諾を得ないで人の外見、場所又は物等の撮影を行うことを「盗撮」として説明をします。

盗撮行為により生じる法律問題

盗撮行為について問題となる可能性がある法律問題として、以下が考えられます。

  • 住居侵入等罪、不退去罪、軽犯罪法違反
  • 各都道府県で制定されている迷惑防止条例違反

まず、盗撮の場合、撮影が禁止されている場所で動画を撮影することと同様、立ち入りが禁止されている場所で撮影を行うことが考えられます。そのため、盗撮の場合でも、住居侵入等罪、不退去罪又は軽犯罪法違反が問題となる可能性があります

次に、各都道府県で制定されている迷惑防止条例違反が問題となる可能性があります。盗撮行為について、例えば東京都の迷惑防止条例である「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、「東京都迷惑防止条例」)は、以下のような規定があります。

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

東京都迷惑防止条例5条1項2号の規定に違反して撮影をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(東京都迷惑防止条例8条2項1号)。

盗撮動画をYouTubeにアップすることの問題点

盗撮された動画については、撮影が禁止されている場所で動画を撮影された動画と同様、仮に撮影行為自体に違法な点があったとしても、そのことをもって動画の投稿自体が直ちに違法となるものではないと考えられます。ただ、以下で説明するように、動画内に他者のプライバシー権や肖像権等を侵害するような内容を含んでいる場合には、そのことを理由に違法と判断される可能性があるので注意が必要です。撮影が禁止されている場所で撮影された動画と同様、動画の内容が法的に問題がない場合でも、動画の内容によっては、YouTubeのコミュニティガイドラインに反するものと判断される可能性があります。

人の外見の盗撮について

まず、人の外見が盗撮された動画については、肖像権やプライバシー権侵害が問題となる可能性があります。そのため、人の外見を盗撮し、その動画をYouTubeにアップすると、肖像権やプライバシー権を侵害するものとして、被撮影者から損害賠償請求等を受ける可能性があります。例えば、迷惑行為やあおり運転等を行っている人等を顔がわかる形で撮影し、その動画をYouTubeにアップすると、撮影された人の肖像権を侵害する可能性があります

場所の盗撮について

場所の盗撮については、前述した撮影が禁止されている場所で動画を撮影することと同様の法律問題が生じる可能性があります。また、盗撮された動画に、例えば絵画等を移りこんでいた場合には、著作権侵害も問題となる可能性があります。詳しくは以下の記事をご参照ください。

物の盗撮について

物については、人とは違い肖像権等が問題となることはないと考えられますが、著作権侵害が問題となる可能性があります

ぼったくりバーへの潜入を撮影した動画について

店などに潜入して撮影し、許可なくYouTubeにアップすることで法律違反となることも。

客引きなどが歩いている人などに声を掛け、特定の店舗に連れていき、不当に高い請求を行う、いわゆる「ぼったくり」が問題となっています。YouTuberが、ぼったくりバーなどに潜入し、その様子を撮影し、YouTubeにアップしているケースがあります。このようなぼったくりバーの撮影については、店舗に無断で立ち入る等の事情がなければ、撮影行為自体が直ちに違法となるわけではありません。ただ、客引きや店員の顔を含む外見を撮影し、その動画をYouTubeにアップすると被撮影者の肖像権等を侵害する可能性があります

まとめ

以上、撮影が禁止されている場所で撮影された動画や盗撮された動画をYouTubeにアップすることから生じる法的問題について説明をしました。

YouTubeで動画をアップする際には、法律に違反していないかについて注意する必要があります。違法か否かの判断については、専門的な判断が要求されますので、動画の適法性について不安がある方は、弁護士に相談をするようにしてください。

この記事の内容を動画で知りたい方は、弊所YouTubeチャンネルの動画をご覧ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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