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風評被害対策

アメブロ(アメーバブログ)誹謗中傷記事を削除方法を徹底解説

風評被害対策

アメブロ(アメーバブログ)の誹謗中傷記事を削除する方法

アメーバブログ(以下、「アメブロ」)とは、国内で多く利用されているブログサービスの一つです。ブログでは、様々なお店やサービスの体験談等を読むことができます。

しかし、中にはネガティブな内容を投稿されてしまい、それを目にしたユーザーが離れていってしまうおそれもあり、その場合売り上げへの悪影響が懸念されます。

このようなネガティブな投稿に対して、削除などの対応は可能なのでしょうか。

本記事では、弁護士に相談すべきケースも含め、このような誹謗中傷記事の削除依頼の方法について解説します。

アメブロとは

アメブロとは

アメブロでは、誰もが無料でブログを開設することができ、著名人から一般の人までたくさんの人のブログを読むことができます。

また、ブロガーが利用したレストランやエステサロンなどのサービスのリアルな体験談を読むこともできます。

そのため、ネガティブな記事が投稿されると、アメブロやGoogleなどでレストランやエステサロンなどの評判を探しているユーザーが、それらの口コミを見て予約を避けてしまう可能性があります。

アメブロに投稿されるネガティブな記事とは

アメブロに投稿されるネガティブな記事とは

アメブロでレストランやエステの名前を検索すると、実際にレストランで食事をした人やエステで施術を受けた人の体験談を閲覧できます。

リアルな体験談を読むことができて、ユーザーにとってはありがたいのですが、中には、誹謗中傷などのネガティブな記事が投稿されている場合もあります。

アメブロに投稿されるネガティブな記事には、どのようなものがあるのでしょうか。以下に、アメブロに投稿されるネガティブな内容の例を挙げます。

イメージダウンにつながる内容

「レストラン○○のスタッフが感じ悪くてむかついた。△△ヒルズに住んでるらしくて生意気」、という内容です。

このような投稿は、レストランの接客が悪いというイメージダウンにつながり、当該レストランの経営に不利益をもたらすおそれがあります。

認識の齟齬による内容

「□□エステの勧誘が強引で、むりやり契約させられた」という内容が投稿されるケースもあります。

このような投稿は、真実であれば、当該エステサロンに行こうと考えているユーザーにとって有益な情報であるといえます。

ただ、投稿者とスタッフのやりとりの齟齬により、強引な勧誘は行っていないにもかかわらず、投稿者は強引に勧誘されたと認識しているといった可能性もあります。

このような場合に、「□□エステの勧誘が強引で、むりやり契約させられた」という内容を投稿されてしまうと、当該エステサロンは、来店者数が減るといった損失を被るおそれがあります。

その他、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿など

アメブロでは、一般的なブログの範囲を超えて、レストランやエステサロンなどのサービス業のスタッフやその他の一般人に対する何の根拠もない誹謗中傷記事や風評被害記事が投稿されるケースもあります。

このような投稿は、5ちゃんねるなどの匿名掲示板に載せられた誹謗中傷投稿や風評被害投稿と同じく削除されるべきであるといえます。

投稿者へ削除を依頼する方法

投稿者へ削除を依頼する方法

アメブロにネガティブな記事が投稿された場合、アメーバに会員登録をすれば、投稿者へ削除を直接依頼することができます。

アメーバの会員登録の方法は、以下の通りです。

  1. アメーバ会員登録ページにアクセスする
  2. メールアドレス、アメーバID、パスワード、生年月日、性別を記載して登録メールを送信する
  3. メールアドレスに仮登録完了のメールが届く
  4. メールに記載されたURLをクリックして、本登録完了

上記の手続により、アメーバへの登録が完了すれば、メッセージ機能やコメント機能を使って、投稿者へ削除をお願いすることができます。

その際は、記事のどの部分が依頼者の権利を侵害していると思われるのか、どのような被害が発生している(または発生する可能性がある)のかなどを具体的に書くとよいでしょう。

また、感情的にならずに冷静でていねいな記載を心がけるようにしましょう。

投稿者によっては、メッセージやコメントを受信しない設定にしている場合もありますので、その場合はアメーバへ削除請求するなどの方法を検討する必要があります。

また、投稿者に削除を依頼したが削除してもらえなかった場合、アメーバへ削除請求をすることになります。

それでも削除されない場合は、裁判所を通じて削除請求をすることになります。それらの方法については、以下で解説します。

Ameba利用規約違反で削除請求する方法

ネガティブな記事が、Ameba利用規約に反すると考えられる場合は、利用規約の違反報告にて違反報告を行うことができます。

また、その記事により自身の権利が侵害されている場合は、権利者向け窓口から削除申請を行うことができます。

Amebaヘルプページにある「Amebaに関するお問い合わせ」ボタンを押し、さらに「利用規約の違反報告」ボタンを押すと、以下の画面が現れて、規約違反の内容を選び、具体的な理由を書いて送信することができます。

利用規約の違反報告
利用規約の違反広告の画面より一部抜粋しております。

また、当事者である場合は権利者向け窓口から削除申請を行うことができます。

Amebaヘルプページ下部にある「Amebaに関するお問い合わせ」ボタンを押し、さらに「権利者向け窓口」ボタンを押すと以下の画面が現れます。

このフォームに、侵害されている権利や希望する対応を記載して送ることができます。

権利者向け窓口
「権利者向け窓口」フォームより
  • Ameba利用規約第13条によれば、下記事項に違反したと株式会社サイバーエージェントが判断した場合には、
  • 送信等をした内容の削除
  • 本サービスの全部又は一部の利用停止
  • 退会処分
  • その他適切と判断する措置

をとることができるものとされています。

<Ameba利用規約第13条第4項抜粋>
(1) 良識に欠けるものや、品位に欠けるもの
(略)
(2) 他の会員や利用者、当社、その他第三者を中傷したり、名誉を傷つけたりするもの、権利を侵害するもの
 ① 他の会員や利用者、当社、その他第三者について、誹謗中傷もしくは侮辱する、又は名誉や信用を傷つける行為、表現・内容の送信等
 ② 人種、民族、性別、信条、社会的身分、居住地、身体的特徴、病歴、教育、財産等による差別につながる表現・内容の送信等
 ③ 本人の承諾のない個人情報(但し、一般に公開されている著名人などの情報は除く)の送信等
 ④ 第三者の商標権、著作権、著作者人格権等の知的財産権、肖像権及びパブリシティ権等の権利を侵害する、又はその恐れのある行為、表現・内容の送信等
 ⑤ 第三者の財産、プライバシー等個人の権利を侵害する、又はその恐れのある行為、表現・内容の送信等
(3) 社会倫理や法令に反するもの
(略)
(4) 当社の承諾のない商業行為
(略)
(5) スパム投稿検索エンジンの表示結果における順位の操作を目的として行う以下の行為
 ① ソフトウェア・ツールを利用するか否かにかかわらず、複数のアカウントを生成したり、同一又は類似の記事を複数回にわたり投稿する行為
 ②前号により生成されたアカウントを利用して、記事を投稿し、他のウェブサイト、他のアカウント、他の投稿記事等に対して(リンクを貼る等)誘導する

(6) その他
(略)

引用元:Ameba利用規約

上記の例の「レストラン○○のスタッフが感じ悪くてむかついた。△△ヒルズに住んでるらしくて生意気」という内容は、Ameba利用規約第13条第4項(2)⑤「第三者の財産、プライバシー等個人の権利を侵害する、又はその恐れのある行為、表現・内容の送信等」に該当するものとして削除請求ができると思われます。

違法を理由として削除請求できる例

名誉毀損(名誉権の侵害)の場合

Ameba利用規約第13条第2項(2) ①「他の会員や利用者、当社、その他第三者を中傷したり、名誉を傷つけたりするもの、権利を侵害するもの」については、まず名誉毀損(名誉権の侵害)を検討する必要があります。

名誉毀損とは、不特定多数の人に伝わる可能性のある場で、その人の社会的な評価を低下させるような事実を提示することです。

名誉毀損の要件は、以下の通りです。

  • 公然と
  • 事実を摘示し
  • 人の名誉を毀損する

上記のように「□□エステの勧誘が強引で、むりやり契約させられた」という内容を投稿された場合であれば、

  1. ブログにおける「勧誘が強引で、むりやり契約させられた」といった記載は、不特定又は多数人の認識可能な具体的な事実の摘示であり、
  2. エステの勧誘は法律上一定の規制を受けるものであるため、強引な勧誘を行っているエステだと思われることは当エステサロンにとって社会的評価の低下をもたらす
  3. 当エステサロンは、強引な勧誘は行っていない

という主張をすることになります。ただし、上記の名誉毀損の要件を満たしている場合でも、以下の条件を満たしている場合、名誉毀損は成立しません。

  • 公共性がある
  • 公益性がある
  • 真実である又は真実相当性が認められる

上記の例だけでなく、その他の誹謗中傷記事や風評被害記事も、名誉毀損に該当するどうかを検討するべきケースもあります。

ただ、こうした主張や法律的な議論に基づく削除交渉は、法律に精通していないと難しいかもしれません。

豊富なノウハウを持つ弁護士へ相談することにより、円滑に削除できる場合もあります。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:名誉毀損で訴える条件とは?認められる要件と慰謝料の相場を解説

名誉感情侵害(侮辱)の場合

名誉感情とは、自身で考える自己の人格的価値に対する意識や評価を意味します。

名誉毀損における名誉は「社会的な(外部的な)評価」であることに対して、名誉感情侵害(侮辱)における名誉は「主観的名誉」が問題となります。

このように名誉感情はあくまで主観的なものであるため、無条件にこれを法的保護の対象とすれば、保護範囲が制限なく拡大してしまいます。

そこで、最高裁は法的保護の範囲を「社会通念上許される限度を超える侮辱行為」(最判平22.4.13民集64.3.758)に限定しています。

なお、主観的な感情である以上、その侵害は自然人にしか認められず、法人は名誉感情侵害を主張することができません。

仮処分手続きによる削除

仮処分による削除

利用規約の違反報告や権利者向け窓口から削除申請を行っても、当該投稿が削除されなかった場合は、裁判所を通じて削除請求を行っていくことになります。

アメブロの記事は、訴訟手続によって削除することもできますが、仮処分という手続によっても削除することができます。

訴訟は、判決が出るまでに約3〜12ヶ月程度はかかり、中には何年もかかるケースもあります。

仮処分は、風評被害に詳しい弁護士へ相談すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどですむことが多いようです。 仮処分は、以下の流れで行われます。

仮処分の申立て→双方審尋(口頭弁論のような手続)→担保金の納付→仮処分命令の発令→執行

仮処分を行う場合は、法的な主張だけでなく、その主張を証明するための証拠も必要になります。例えば、上記の「□□エステの勧誘が強引で、むりやり契約させられた」といったケースであれば、

  • 当該顧客との契約書
  • 当該顧客に対する契約前説明書面
  • エステの勧誘に関するマニュアル

などを証拠として提出し、「当エステサロンは、顧客に対して強引な勧誘は行っておらず、丁寧で明確な説明を行った上で契約している」という主張をしていきます。

もっとも、弁護士へ依頼せずに単独でこういった主張を行うのは難しい場合もあります。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:誹謗中傷対策において重要な「削除仮処分」とは

仮処分による投稿者の特定

仮処分による投稿者の特定

いやがらせ目的で、根拠のない誹謗中傷記事や風評被害記事が継続して数多く投稿されている場合は、弁護士へ依頼して、発信者情報開示請求を行うことができます。

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項に基づく手続です。この手続により、誹謗中傷・風評被害投稿の投稿者のIPアドレス、氏名、住所などの情報の開示を求めることができます。

アメブロは、アメーバIDを登録すれば無料で、ブログを開設し記事を投稿することができるブログサービスです。

したがって、企業や人物を恨んでいる人物が、根拠のないデマや誹謗中傷記事を投稿している場合もあります。

その場合、投稿者のIPアドレスなどが判明すれば、投稿者を特定できることがあります。 発信者特定の手続の流れは以下の通りです。

  1. コンテンツ・サービス・プロバイダへ情報開示請求を行う
  2. 発信者情報開示の仮処分命令申立を行う
  3. 経由プロバイダを特定する
  4. 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分命令申立を行う
  5. 発信者情報開示請求の訴訟を提起する
  6. 裁判所の判決に基づき、発信者を特定(住所、氏名など)

上記の手続を経て、デマなどの悪質な記事の投稿者が判明した場合は、投稿者に対し、特定に必要とした弁護士費用や慰謝料を損害賠償請求することができます。

ここで気を付けなければならないのは、プロバイダのログ保存期間です。

保存期間を過ぎてしまうと、発信者の個人情報が得られず、結果として開示請求は失敗に終わってしまいます。

プロバイダのログ保存期間は3か月~6か月のところが多いため、余裕をもって開示請求に着手することが望ましいです。

発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。

関連記事:発信者情報開示請求とは?やり方と注意点を弁護士が解説

弁護士に依頼した後の流れ

弁護士に依頼した後の流れ

弁護士に依頼した場合、以下の流れで、依頼者が受けた被害の回復を図ることとなります。

削除請求

まずは、誹謗中傷記事による風評被害を避けるために、同記事の削除を行うことが必要となります。

投稿者やサイト管理者に対し直接削除を依頼する方法と、上記の通り裁判所に対して投稿削除の仮処分申立てを行う方法があります。

発信者情報開示請求

投稿者が特定できない場合には、上記の通り、発信者開示請求によって特定をする必要があります。

投稿者が特定できれば、誹謗中傷によって被った損害を、投稿者に対し賠償させることができます。

損害賠償請求

内容証明郵便の送付等による裁判外交渉や訴訟により、投稿者に対する損害賠償請求を行います。

内容証明郵便、訴訟資料の作成・訴訟手続きにおける期日対応等を、弁護士に任せることができます。

まとめ:法的な削除をするなら弁護士へ相談しよう

アメブロは、誰でもブログを開設でき、たくさんの人のブログを見ることもできる、とても便利なサービスです。しかし、中には誤解や嫌がらせによる誹謗中傷記事等が投稿される場合もあります。

このような悪質な投稿に対しては、利用規約の違反報告や権利者向け窓口による削除申請を行い、それでも削除されない場合は、裁判所を通した削除請求や投稿者特定手続をしたほうがよいでしょう。

名誉毀損などの法的な主張は、弁護士へ依頼せずに単独で行うのは難しい場合が多くあります。

また、時間が経過すると投稿者の特定が不可能になる場合もあります。アメブロに投稿された誹謗中傷記事等に悩んでいる際は、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報を看過すると深刻な被害をもたらします。当事務所では風評被害や炎上対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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