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風評被害対策

みん評(みんなの評判ランキング)の誹謗中傷口コミの削除方法

風評被害対策

みん評(みんなの評判ランキング)の誹謗中傷口コミの削除方法

どの会社の保険に入るか迷ったとき、どんなクレジットカードを作るか迷ったときなどに、インターネットでランキングを探したり、評判を読んだりしませんか?公式サイトではメリットばかり書かれていても、第三者の書いた口コミにはメリットもデメリットも書かれているため、大いに参考になると思います。

みん評(みんなの評判ランキング)は口コミサイトの1つであり、世の中にある様々なサービス・商品についての評判がランキング化されて掲載されています。みん評(みんなの評判ランキング)では、ポジティブな情報からネガティブな情報まで様々な人の口コミや情報が掲載されており、消費者とってはリアルな体験談を得られるという点で役に立つサイトですが、一方で、企業としては悪い口コミが書かれて広まってしまった場合には、サービスの提供や企業経営に悪い影響を及ぼしかねません。

ここでは、みん評(みんなの評判ランキング)に誹謗中傷の口コミが投稿された場合の風評被害対策について説明します。

みん評(みんなの評判ランキング)に関する解説

みん評(みんなの評判ランキング)とは、株式会社マイスタースタジオが運営する口コミランキングサイトです。口コミ投稿数は10万件超であり、取り扱いサービスは4000近くにのぼる、大規模なサイトです。みん評では、各ジャンルの有名・無名企業の評判や、みんなのリアルな体験・感想を知ることができます。サービス・商品のランキングは、、投稿された口コミの評価や件数、口コミに対するユーザーからの評価、サービス・商品へのユーザーからの支持数などを元に算出されているようです。
気になるサービス・商品の口コミは、各サービス・商品の詳細ページにて見ることができます。みん評(みんなの評判ランキング)の最大の特色は良い評判・良くない評判の両方をできる限りそのままの形で掲載してあることです。ネガティブな口コミであっても、ユーザにとっては大いに役に立つかもしれません。

しかし、あまりにもひどいことが書いてあったり、根も葉もないことが書かれてしまっては企業にとってもユーザーにとっても好ましくなく、また、企業イメージのダウンや顧客や株主からの信頼失墜など、大きな損害になりかねません。本記事では、みん評(みんなの評判ランキング)ではどのようなネガティブな口コミが書き込まれうるのか、書き込まれてしまった時にどのように対処すべきなのかを解説していきます。

みん評(みんなの評判ランキング)ではどのような風評被害があるのか

みん評(みんなの評判ランキング)で想定されるネガティブな口コミ・風評被害の内容を紹介します。
前提として、みん評(みんなの評判ランキング)では口コミは投稿後直ちに掲載されるのではなく、内容を審査部で確認・審査して承認が得られてから掲載されるので、明らかにガイドラインや法に触れているような口コミは少ないと考えられます。そこで以下では、掲載されてしまう可能性のあるグレーゾーンのものを紹介していきます。

虚偽または実体験を伴わない口コミ

例えば、「勧誘ルームで高圧的な態度で入会金とコースの契約と商品Aの購入を迫られ、気の弱い私は怖くなり、ローンを組まされてしまいました。」という口コミは、ネガティブな口コミといえます。もっともこの口コミは真実であれば、他のユーザーに役に立つ投稿と言えます。実際にみん評(みんなの評判ランキング)ではこのような口コミも、ピックアップされた口コミとして前面で紹介しています。一方で、このような勧誘が実際には行われていなかった場合、虚偽の口コミに他なりません。虚偽の口コミはいたずらにユーザーの不安を煽り、また企業イメージを著しく低下させるもので、企業にとって好ましくないといえます。でたらめや虚偽のものであれば、削除されるべき口コミといえるでしょう。

誹謗中傷など不適切な内容の口コミ

その他に考えられるのは会社や特定の個人に対し誹謗中傷の記述を含む口コミです。例えば「コールセンターのA原B美はとても愛想が悪い」「こんなひどい商品二度と買わない!詐欺です!」などという口コミは、どこがどのように悪かったのか、という説明を欠く具体性のないものであり単なる誹謗中傷と捉えられることがあります。また、「コールセンターのA原B美」というように個人を特定するものも、個人に対する攻撃になる場合があります。このような表現はユーザーにとって全く有益なものではなく、根拠なく会社や特定の個人を攻撃するだけのものです。そして、誹謗中傷かそれとも単なるネガティブな書き込みかの判断はとても難しいラインで、審査を経ても掲載されてしまうことがあります。このような投稿によって名誉毀損の被害などを受ける可能性がある人にとっては、できるだけ早い削除が望ましいでしょう。

利用規約違反で削除請求する方法

みん評(みんなの評判ランキング)利用規約

みん評(みんなの評判ランキング)利用規約第7条(口コミ及びページの削除)には、削除対象となる口コミが列挙されています。また、同規約第5条には、禁止行為が列挙されています。これらに該当する事由が、削除したい口コミにあれば、削除対象となりえるでしょう。

口コミガイドライン

口コミガイドラインには、掲載できないクチコミが紹介されています。内容はほとんど利用規約と同じですが、わかりやすく紹介されていますので、ご参照下さい。

削除依頼を行う方法

みん評(みんなの評判ランキング)では削除依頼はお問い合わせフォームから行うように明記されているので、ここから行うことになります。

利用規約違反として削除依頼を行う時の例

お問い合わせフォームに従って記入を進めます。口コミ削除のQ&Aには、

掲載されている口コミを見ていて、明らかに事実と反する、またはガイドラインに違反していると気づかれましたら、お問い合わせフォームより以下ご連絡お願いいたします。
問題と感じられた口コミのお名前(ハンドルネーム)
口コミが投稿されているサービス・商品名
口コミ内容
審査部にて内容を確認し、口コミガイドラインに基づき対応をいたします。

とあるので、これに従って書いていくようにしましょう。またお問い合わせ内容欄では、削除を依頼したい投稿のURLを示した方が伝わりやすいかもしれません。また、利用規約違反やガイドライン違反に当たることを示したほうが削除される可能性が高いので、当該投稿が違反にあたるのかを慎重に確認した上で、丁寧な説明を記入するように心がけましょう。

今回は、先ほどの例で紹介したような誹謗中傷の口コミ、例えば「こんなひどい商品二度と買わない!詐欺です!」という書き込みを例にします。説明欄は以下のように書くとよいでしょう。

お世話になります。〇〇と申します。
本口コミの削除をお願い致します。
問題と感じられた口コミのお名前(ハンドルネーム):ABC
口コミが投稿されているサービス・商品名:サプリメント甲乙
口コミ内容:「こんなひどい商品二度と買わない!詐欺です!」
この口コミは、弊社の商品のどこがひどいのか、どうして二度と買わないと感じたのかの具体的説明がなされていません。これは口コミガイドラインにおける「具体性や根拠に乏しいなど、他ユーザーの参考にならない」口コミに当たります。このような書き込みがあると弊社のセールス活動や企業イメージに悪影響ですので、削除をお願いしたいです。よろしくお願い致します。

もっとも、利用規約違反による削除は、任意的な手段にとどまり、みん評(みんなの評判ランキング)側が削除をする義務はありません。このように投稿が削除されない場合はみん評(みんなの評判ランキング)に対して、違法な書き込みであることを主張し、送信防止措置請求を行う、または訴訟の提起を検討することになります。これらは、法律事務になりますので、自分自身で行うまたは弁護士に相談して行っていくことになります。弁護士以外の削除代行業者に依頼すると、法律違反になりうることに注意しましょう。

違法だとして削除請求する場合

法律上取りうる手段

権利侵害など、法律に抵触する内容であれば弁護士を通じて削除を裁判上で争うことができます。まず、インターネット上の風評被害対策に関連する法的にとりうる手段には、大きく分けて

  • 送信防止措置請求による自主的削除の依頼
  • 投稿記事削除請求・仮処分の申立て
  • 発信者情報開示請求(IPアドレスの開示請求、住所氏名の開示請求)
  • 損害賠償請求(投稿者を特定できた後の損害賠償請求)

などがあります。この中でも、削除に直結する請求は、送信防止措置請求または、投稿記事削除請求、及び仮処分の申立てになります。

法律上主張するべき内容

では、法律上で削除の請求をしていくには、まず考えられるのは「名誉毀損」の主張をすることです。名誉毀損は、

  1. 「公然と」
  2. 「事実を摘示し」
  3. 「人の名誉を毀損する」

の全てに該当する事実があるときに成立します。例として、「当初、Aプランは50日通い放題になるとの説明でしたが、実は通い放題はありませんでした」という書き込みが、真実でない内容であった場合、1から3の要件をみたすのか、具体的に見ていきましょう。

まず、今回のようにみん評(みんなの評判ランキング)などクチコミサイトにおける投稿は、インターネット上で不特定多数の人物が閲覧することが可能な状態に置かれているといえるので、「公然と」といえます。

次に、「事実の摘示」とは、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的事実を告げることをいい、真実か虚偽であるかを問いません。今回、会社が詐欺または錯誤に陥らせるような販売をしていたことを示すものであり、これらは社会的評価を低下させるに足りるといえます。

最後に、「毀損した」というためには、実際に社会的評価が害されていなくても、その危険性が抽象的に存在すれば足り、名誉が現実に侵害されている必要はありません。実際に問題となっている投稿がネットニュースやSNSで不特定多数の人に閲覧され、企業に対し非難や抗議が殺到したことを証明する必要はありません。その危険性が客観的に存在することがいえればよいということになります。

名誉毀損の詳しい成立要件等は下記の記事にて詳細に説明していますので参考にしてください。

裁判所を通した手段(訴訟および仮処分)による削除

名誉毀損など、上記のような法律違反の指摘をして削除を求めるには、まずは、送信防止措置請求の方法をとるのが通常です。しかし、送信防止措置請求は裁判所を通さない削除依頼の方法で、サイトの管理人や運営会(プロパイダ)による自主的な削除を求めるものです。これは任意手段なので、判断によっては、削除は行われないこともありえます。

これに対し裁判所を通した手続きでは、裁判で削除が認められれば判決による拘束力が生じるので、プロパイダは強制的に削除に応じることになります。このため、送信防止措置が認められなければ、裁判手続に移行することが効果的です。

なお仮処分とは、民事保全法に規定されている方法で、一刻も早い解決が求められる場合に、正式な訴訟によって確定判決を得る前に暫定的な処分を求めるものです。今回のような誹謗中傷の口コミなどは、一度拡散してしまうと回復困難な損害が生じるおそれが多分にあるので、仮処分の制度を利用して一刻も早い情報の削除を求めることが有効的です。仮処分命令が発令されると、裁判所が相手方に投稿を削除するように命令しますので、相手方は削除に応じなければなりません。仮処分の場合、風評被害対策にノウハウのある弁護士へ相談を行えば、依頼から削除まで、2-3ヶ月程度で実現できるケースが多く有効的な手段といえます。誹謗中傷や風評被害を受けた場合の当該記事の削除、仮処分の手続きに関しては下記の記事にて詳細に説明しています。

仮処分による投稿者特定

ところで、上記のような法的手段をとるためには、誰がその書き込みをしたのか、名前や住所などを特定する必要があります。しかし、インターネット上の誹謗中傷は匿名で行われるケースがほとんどであるため、書き込んだ人物(発信者)の特定は困難です。そこで、プロバイダに、書き込んだ人物の個人情報の開示を求め投稿者特定を行うことが必要となります。これが仮処分による投稿者特定というものです。

発信者開示請求とは、『プロバイダ責任制限法第4条1項』によって規定されている、投稿者を特定するための情報開示請求の事です。弁護士に依頼を行えば、この発信者情報開示請求で投稿者のIPアドレスなどの情報を開示し、投稿者を特定することができる可能性があります。これにより投稿者が特定されれば、その人に対して、誹謗中傷投稿により被った損害について今後誹謗中傷を行わないと誓約させたり、損害賠償を請求する、あるいは刑事告訴をするなど法的手段の実現が可能になります。これらの手続の流れに関しては下記記事にて詳細に解説しています。

まとめ

みん評(みんなの評判ランキング)では実際に就業していた人の口コミ情報やその他の情報によりリアルな企業情報や評価を知ることできるサイトです。他方で、良い内容も悪い内容も掲載すると明記されていることからも、ネガティブな投稿が広く認められているサイトであるともいえます。しかし、仮に悪質な口コミによる風評被害が発生してしまっても、法的な手段をとれば、投稿の削除などの解決をすることができるかもしれません。

もっとも、どのような方法でどのような主張をしていけばいいのか、削除が認められるのかは個別のケースによって異なります。いずれにしても、違法性を主張する場合は専門的な内容や手段を含むので個人で行うのは難しく、また法律行為になりますので、弁護士の力が必要になります。まずは、弁護士に相談して、当該口コミが権利侵害にあたるのか、法律に抵触しているかどうかを判断してもらいましょう。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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