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風評被害対策

スマホで無断撮影してSNSにアップするのは犯罪?問題をケース別に解説!

風評被害対策

スマホで無断撮影してSNSにアップするのは犯罪?問題をケース別に解説!

旅先やレストランで、風景や食事をスマホで撮影し、TwitterやインスタグラムなどのSNSにアップするのはよく見られる光景です。

ただし、無断で撮影した写真をSNSにアップするなどして公開した場合、予期せぬ問題が起きることもあります。

本記事では、スマホで無断撮影した画像をSNSにアップした場合の法的な問題点について解説します。

スマホによる無断撮影が法的に問題となるケース

一概に無断撮影といっても、撮影する対象や場所等によって問題となる法律や権利は異なります

そこで以下では、スマホで無断撮影した画像をSNSにアップする場合に特に問題となりやすい5つのケースを念頭に、ケース別に問題となる法律や権利について解説します。

他人の顔が写りこんでいる場合

他人の顔が写りこんでいる場合

観光地等で写真を撮影する場合、他人の顔などが写り込んでしまうことがよくありますが、この場合、肖像権との関係でしばしば問題となります。

「肖像権」を明文で規定する法律はありませんが、判例上、

  • 「みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益」
  • 「自己の容ぼう等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益」

として、法的に保護されることが認められています。

つまり、「肖像権」というときは、一般的には次の2つの権利を含んでいると言えるでしょう。

  • みだりに自己の容ぼう等を撮影されない権利
  • 撮影された写真をみだりに公表されない権利

もっとも、他人の顔が少し写り込んでいるだけで常に肖像権侵害となるわけではありません。

最高裁は、肖像権侵害の判断基準について、次のように判示しています。

ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。

また、人は、自己の容ぼう等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益も有すると解するのが相当であり、人の容ぼう等の撮影が違法と評価される場合には、その容ぼう等が撮影された写真を公表する行為は、被撮影者の上記人格的利益を侵害するものとして、違法性を有するものというべきである。

最一小判平成17年11月10日・民集59巻9号2428頁

つまり、他人の顔が写り込んでしまった場合でも、社会生活を送るうえで一般的に許容すべき範囲内である場合には、撮影行為および撮影した写真をSNSにアップする行為は肖像権侵害とはならない、ということです。

例えば、有名な観光地で大勢の人がいる場所で撮影された写真に他人の顔が写り込んでしまうことは通常想定しうることであるため、そのような写真を撮影し、また、撮影した写真をSNSにアップしたとしても、肖像権侵害にはならない可能性が高いです。

ただし、明らかに他人にピントを合わせて撮影したり、人物を特定できるような形で撮影された写真など、撮影方法等によっては肖像権侵害となるおそれがあるので注意が必要です。

したがって、他人が写りこんでいる画像をSNSにアップする場合は、念のため、顔にモザイクをかけたり、スタンプを押したりして顔がわからないように配慮しましょう。

また、たとえ友人であっても、SNSにアップする際には許可をとるようにしましょう。

なお、肖像権侵害は犯罪ではありませんが、民事上の不法行為として損害賠償を請求されることがあります。

関連記事:肖像権侵害で損害賠償請求となる基準や流れを解説

お店や病院の中で無断撮影した場合

お店や病院の中で無断撮影した場合

この場合でも、他人の顔などが写り込んでいる場合には当然、肖像権との関係で問題となりえますが、それに加えて、施設管理権との関係で問題が生じるおそれがあります。

「施設管理権」とは、明文で規定する法律はありませんが、民法上の所有権を根拠として、施設の所有者・管理者に認められる包括的な管理権と考えられています。

所有者は、法律の制限内で自由にその所有物を使用することができるため、所有権の濫用に当たるような例外的な場合を除き、事業者は、原則として、任意に撮影行為を禁止したり、無断撮影を行う者に対して施設からの退去を命じることができます。

また、撮影行為は許可されていたとしても、SNS等への公開は禁止されている場合もあるので注意が必要です。

したがって、無断撮影やSNS等への公開が禁止されているコンビニやスーパーなどの店内で所有者や管理者の許可なく撮影した場合や、SNS等へ画像をアップした場合には、施設管理権の侵害となり、不法行為として損害賠償を請求されるおそれがあります。

特に病院は、機密性の高いカルテなどの個人情報や患者のプライバシーに配慮する必要性が高いことから、写真撮影等を明示的に禁止している場合が多いです。

病院内での無断撮影は、病院の施設管理権を侵害するだけでなく、患者のプライバシー侵害になるおそれもあるため、特に注意が必要です。

関連記事:プライバシー権を徹底解説。3つの侵害要件とは

なお、施設管理権侵害やプライバシー侵害自体は犯罪ではありませんが、無断撮影のために病院に侵入した場合は建造物侵入罪(刑法130条)、退去命令に従わずに退去しない場合には不退去罪(刑法130条)が成立する可能性があります。

また、撮影方法等によっては威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性もあるでしょう。

芸能人のプライベートを無断撮影した場合

芸能人のプライベートを無断撮影した場合

街中やお店などで芸能人を見かけた場合、写真を撮りたくなってしまうこともあるかもしれません。

ただし、その写真をSNSにアップした場合、肖像権侵害はもちろんのこと、パブリシティ権との関係で問題が生じます。

「パブリシティ権」は、肖像等の有する「顧客誘引力を排他的に利用する権利」として、判例で認められた権利です。

肖像権と似た概念ですが、肖像権が人格的利益を保護するものであるのに対して、パブリシティ権は経済的利益を保護するものである点で異なります。

最高裁は、パブリシティ権侵害の判断基準について、次のように判示しています。

肖像等を無断で使用する行為は、➀肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、➁商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となると解するのが相当である。

最一小判平成24年2月2日・民集66巻2号89頁(ピンク・レディ事件)

つまり、芸能人等のプライベートを無断撮影してSNSにアップした場合、芸能人等の影響力にフリーライドして無断で集客等に使用する目的である場合にはパブリシティ権侵害となる、ということです。

例えば、レストランの公式アカウント等で「〇〇(芸能人)もおすすめ!」という文言を添えて無断でSNSに写真をアップした場合など、写真の使用方法等によってはパブリシティ権の侵害にあたるとして損害賠償請求されるおそれがあります。

パブリシティ権については、下記記事でより詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。

関連記事:パブリシティ権が発生する場合と発生しない場合

なお、肖像権との関係では、芸能人などの有名人は、一般人よりも肖像権の侵害とされる範囲が狭くなると考えられていることから、撮影方法等によっては、SNSにアップしても肖像権の侵害にはあたらないケースもあります。

ただし、家が特定できるような写真など、他人に知られたくない情報が公開されている場合、プライバシー侵害にあたるおそれがあります。

また、パブリシティ権侵害についても、直ちに犯罪が成立するわけではありませんが、著名人の氏名や肖像等の使用方法によっては、不正競争防止法上の著名な商品等表示の冒用行為に該当し、刑事罰が科されるおそれがあります。

美術館の展示品を無断撮影してSNSにアップした場合

美術館の展示品を無断撮影してSNSにアップした場合

SNSでは、美術館の展示品を撮影した写真がアップされているのをしばしば見かけます。

美術館内での撮影行為は、美術館の施設管理権との関係(後述)に加えて、著作権との関係にも注意しなければなりません。

絵画等の美術館の展示品は、基本的に「美術の著作物」にあたりますが、「美術の著作物」は著作権法に明文で列挙されている代表的な著作物の1つです。

そして、著作者の著作物に対する権利・利益を保護するために、著作権法は、著作物に対して一定の行為を行う権利(これらをまとめて「著作権」といいます)を著作者のみに認め、著作者以外の者が当該行為を行うことを原則として禁止しています。

その中の1つに「複製権」があり、著作権法上「複製」は次のように定義されています。

印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること

著作権法2条1項15号

つまり、美術館の展示品を無断撮影することは「複製」に該当し、原則として複製権侵害となります。

また、著作者には、複製権とともに「公衆送信権」という権利も認められており、撮影した著作物の写真を無断でSNS等にアップすれば、公衆送信権の侵害にもなりえます。

なお、複製については、例外的に著作権侵害とならない私的利用目的での複製が認めれています。

例えば家で見返すために撮影する行為は著作権侵害となりませんが、SNS等にアップする目的での撮影は私的利用目的とは認められず、原則どおり著作権侵害となります。

そして、著作権侵害は民事法上の不法行為にあたるとともに、刑事罰も科されるおそれがあります。

もっとも、著作物には保護期間が定められており、著作者の死後70年を経過した時点で著作権は消滅します。

したがって、例えば、有名なゴッホの「ひまわり」等の古い著作物は、著作権が消滅しているため、少なくとも著作権との関係では、自由に写真撮影やSNSへの画像のアップが可能です。

しかし、著作権が消滅している場合でも、美術館は展示品の管理権を有しており、施設管理権に基づいて、美術館内での撮影を禁止していることも多いです。

そのため、展示品の無断撮影が著作権侵害にならない場合でも、別途、施設管理権の侵害になる場合もあり、注意が必要です。

建築物を無断撮影してSNSにアップした場合

建築物を無断撮影してSNSにアップした場合

有名な建築物を撮影してSNSにアップすることもあるでしょう。この場合にも、著作権との関係に留意しなければなりません。

「建築の著作物」は、美術の著作物と同じく、著作権法に明文で列挙された代表的な著作物に1つです。

もっとも、建築の著作物は、建築による複製を除き、広くその利用が認められています。

(公開の美術の著作物等の利用)

第四十六条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合

著作権法46条2号

つまり、建築物を無断撮影しても著作権侵害とはならず、また、SNSへのアップも可能ということです。

ただし、建築物によっては、建物のシルエットを商標登録しているものもあり、このような建築物の写真を商業利用すると商標権の侵害になるおそれがあるので、事前に調べておくことが必要です。例えば、東京タワースカイツリーはその代表例です。

なお、商標権侵害には刑事罰が科されています。

また、無断で敷地内から撮影した場合は、建物の所有者の施設管理権の侵害にあたるおそれがありますし、建物が私邸である場合にはプライバシー侵害になるおそれもあるため注意しましょう。

関連記事:他人の所有物を勝手に撮影して公開することは許されるのか

まとめ:無断撮影でトラブルが起こった場合は弁護士へ

スマホで写真を撮影してSNSにアップするのは、簡単な操作で手軽に行うことができますが、以上のように、実は多くの法律や権利と常に隣合わせであることに注意しなければなりません。

特にインターネットでは、無自覚に罪を犯している可能性もあります。

SNS等に他人の顔や建物の写真を無断でアップしてしまったり、またはアップされてしまったりした場合は、インターネット問題に詳しい弁護士に早めに相談しましょう。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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