弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-17:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

ナスコミの誹謗中傷の口コミを削除するには

風評被害対策

ナスコミの誹謗中傷の口コミを削除するには

看護師の求人については需給がひっ迫しており、長らく売り手市場が続いています。転職を考えている看護師は多く、勤務条件や労働環境を吟味してより納得のいく転職を実現しようと考える傾向にあります。

転職を志望する看護師にとって参考になるのが、「ナスコミ」という全国の病院等について看護師の口コミを集めたサイトです。ナスコミへの書き込みには会員登録が必要なこともあり、匿名サイトより誹謗中傷は目立ちませんが、逆に病院を批判する口コミが書き込まれると非常に目立つことになり、病院等の採用活動への影響は大きいといえます。

そこで、ナスコミに誹謗中傷の口コミが投稿された場合の風評被害対策について解説します。

ナスコミとは

ナスコミは株式会社アーケロンプロダクツによって運営される、看護師の求人情報と病院等の口コミを集めたサイトです。ナスコミでは、全国の病院、クリニック、介護施設等において実際に働いている看護師が勤務条件や職場環境について詳しい口コミを書き込んでいます。

口コミの対象は、仕事のやりがい・大変さ、休日・残業、職場の雰囲気・人間関係、教育・研修制度、給料、設備・備品、シフトの自由度など、いずれも転職を考えている看護師にとって関心度の高い項目といえます。

また、ある程度個人情報の登録が必須になっているため、匿名掲示板などと比較すると情報の信頼度が高いといえます。


風評被害例

ナスコミでも誤解や思い込みによって誹謗中傷の口コミが書き込まれる可能性は十分にあります。例えば、病院内の噂だけを根拠に「医者と不倫関係にある看護師が多いと聞いた」などとする口コミです。

このほか、個人特定が可能な投稿をしてしまうこともあります。例えば、「内科の看護師長の指導が厳しいためストレスを感じる」などといった口コミです。ある診療科の看護師長は一人であることが多いため、このような書き込みは病院関係者が見ればすぐに誰であるかがわかってしまいます。

ナスコミは口コミの信頼度が高いが故に、病院等に対して批判的な口コミが投稿された場合には、求人活動へ与える影響は大きいといえます。看護師の求人倍率が高止まりしている現在、病院等にとっては看護師が十分に確保できなければ経営上大きなダメージを受けるおそれがあります。したがって、ナスコミにおいてどのような口コミが投稿されているかはよく確認しておく必要があります。

利用規約違反で削除請求する場合

問題のある口コミが投稿された場合、まずは利用規約違反に基づいてナスコミ運営者に投稿の削除を求める方法があります。サイト下部にある「お問い合わせ」ボタンをクリックして表示されるお問い合わせフォームを利用します。

ナスコミお問合せフォーム画面より

運営者が適切に削除の判断ができるように、お問い合わせフォームより具体的に内容を指摘したうえで、利用規約のどの条項に違反しているのかを詳しく説明する必要があります。

ナスコミの利用規約8条3項では、以下の行為を禁止行為として定めています。

ナスコミ利用規約第8条3項より抜粋しております。

噂だけを根拠にした投稿

病院内の噂だけを根拠に「医者と不倫関係にある看護師が多いと聞いた」とする口コミは、病院内の風紀が乱れていることを印象付ける内容といえます。 したがって、内容が真実であるかを問わず、利用規約8条3項が定める禁止行為のうち(5)号「…第三者を誹謗、中傷または名誉を傷つける行為」にあたるとの主張ができます。

また、不倫関係については公序良俗に反するとの見方もあることから(6)号「公序良俗に反する内容の情報…を他人に公開する行為」であると主張する余地もあるでしょう。

個人特定が可能となる投稿

「内科の看護師長の指導が厳しいためストレスを感じる」といった個人特定が可能となる口コミについては、その「内科の看護師長」を「誹謗、中傷」する行為といえ、禁止行為(5)号に該当するといえます。

なお、この例では口コミによる直接の被害者は看護師長であることから、本来は看護師長がナスコミの運営者に対して削除を求める立場にありますが、間接的に病院に対する誹謗中傷でもあると考えることができます。したがって、病院が看護師長に代わり口コミの削除を求めることも可能です。

この場合、削除の理由を記載するにあたっては病院としての風評被害について強調する必要があります。例えば、「看護師長が口コミにより精神的苦痛を受けて辞めた場合にマネジメント上の問題が生じる」などです。


違法だとして削除請求する場合

誹謗中傷の口コミについては、その内容次第では名誉毀損にあたるとして違法となることがあります。名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実が投稿された場合に成立します。

ただし、内容が真実である場合または真実であると信じるべき正当な理由・根拠がある場合には名誉毀損は成立しないこととされています。名誉毀損の成立要件に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

[blogcard url=”https://monolith-law.jp/reputation/defamation”]

例えば、「看護師長が院長と不倫をしている」といった口コミが名誉毀損となる典型例です。看護師長も院長も通常一人であることから、それぞれ誰であるかが特定できます。そして、不倫をしていることは一般的に人の社会的評価を低下させる事実といえますので、これが事実無根である場合には、看護師長と院長に対する名誉毀損が成立し得ます。

なお、名誉毀損が成立する場合のように口コミが違法となる場合には、上で説明したような問い合わせフォームからの削除依頼だけではなく、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼をすることができます。送信防止措置がなされると削除されたのと同等の効果をもたらします。

もっとも、送信防止措置依頼がされたとしても、これに応じるかはサイト運営者の判断となるので問題の口コミは削除されない可能性は依然として残ります。

仮処分による削除請求をする場合

利用規約違反による削除請求や送信防止措置依頼は、あくまでもサイト運営者の判断により削除するかを決定されます。ナスコミの運営者は口コミが真実であるか否かを調査する権限を持っているわけではないので、削除すべきか判断が付かないことはあります。

このような事情によって削除されなかった場合には、強制的な削除を求めるため仮処分申立てを行う必要があります。仮処分は、通常の裁判手続より簡略化された手続であり、通常であれば1~2か月程度で結論が出ます。
投稿の削除を求める仮処分に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

[blogcard url=”https://monolith-law.jp/reputation/provisional-disposition”]

仮処分による投稿者特定

風評被害を受けたことについて慰謝料請求をしたい場合には、投稿者が誰であるかを特定する必要があります。投稿者を特定するための手続を発信者情報開示請求といいます。

発信者情報開示請求では、ナスコミの運営者から問題の投稿に対応するIPアドレス等を開示してもらい、これを手掛かりに今度は、投稿者が利用したインターネットサービスプロバイダを特定します。そして、インターネットサービスプロバイダが保有している投稿者の個人情報を開示してもらうという流れになります。

IPアドレスの開示については、サイト運営者に直接開示してもらうこともできますが、拒否された場合には仮処分によって開示を求めることになります。これに対し、インターネットサービスプロバイダからの個人情報の開示については、任意に応じてもらえることは無いため、最初から裁判手続を利用する必要があります。発信者情報開示請求に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

[blogcard url=”https://monolith-law.jp/reputation/disclosure-of-the-senders-information”]

まとめ

ナスコミは就職・転職活動を考える看護師の多くが閲覧しています。虚偽の書き込みや誹謗中傷の書き込みがされると、求人活動をはじめとして病院の経営にとって大きなマイナスとなります。日ごろから自分の病院等の口コミに注意を払うと同時に、万が一問題のある投稿を発見したら早急に対応をする必要があります。

しかし、違法性の判断や仮処分の手続きは複雑で、ある程度の知見が無いと難しい内容です。特に、ネット上の誹謗中傷や風評被害への対策はITに関する専門的な知識が必要となります。早期問題解決のためにも、この分野について経験豊富な弁護士に相談することが重要です。

モノリス法律事務所

モノリス法律事務所

モノリス法律事務所は、IT・インターネット・ビジネスに強みを持つ、東京・大手町の法律事務所です。

シェアする:

TOPへ戻る