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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

PINKちゃんねるの悪質な書き込みに対する削除依頼の申請方法

風評被害対策

PINKちゃんねるとは、アダルト系のインターネット掲示板 です。AVや風俗などのテーマが多く、18歳未満の利用は禁止されています。匿名で書き込むことができるため、個人やお店への誹謗中傷にあたるような書き込みが投稿されているケースもあります。

本記事では、PINKちゃんねるに悪質な書き込みが投稿されている場合に、その書き込みを削除する方法について詳しく説明します。

PINKちゃんねるとは

PINKちゃんねるは、アダルト系の情報を匿名で書き込むことができる掲示板です。『管理人はアメリカ人の「JIM」さん』と記載されており、詳細は非公開になっています。

悪質な書き込みの例

PINKちゃんねるに書き込まれる悪質な書き込みはどのようなものが考えられるのでしょうか。具体例をご紹介します。

  • ○○店のAってキャバクラ嬢の電話番号は000-0000-0000だよ
  • □□店はぼったくり。支払い断ったら店長Bに暴行された

このような書き込みは従業員を危険にさらし、店舗に風評被害をもたらすリスクがありますので、早急に削除依頼を検討しましょう。

ガイドラインの削除対象

PINKちゃんねるには削除ガイドラインが制定されており、対象が定められています。

http://deleter.bbspink.com/wiki/wiki.cgi?page=GUIDELINE

このガイドラインによれば、「 電話番号は000-0000-0000だよ 」のように個人の電話番号が書き込まれている場合は削除してもらえる可能性が高いです。

「法人・団体については原則放置」と記載されているため、「□□店はぼったくり。支払い断ったら店長Bに暴行された」という書き込みは、削除されない可能性があります。

投稿された文意から明らかに誹謗中傷のみが目的であると判断される場合は、削除対象となります。

また、管理人が削除するべきと判断すれば削除されるとのことですが、必ずしも全件対応してもらえるとは限りません。

ガイドラインに基づく削除依頼

削除依頼は、電話やメールなどでは受付しておらず、削除依頼掲示板に書き込んで行います。電話番号を書き込まれている場合、「電話番号 削除専用」スレッドに削除対象のURLを貼り付けます。明らかに公的な電話番号を除き、全て削除されます。

https://pele.bbspink.com/test/read.cgi/housekeeping/1347862015/

専用スレッドがない場合は、各該当板のスレッド削除・レス削除・重点削除スレッドに依頼しましょう。ただ、誰でも削除依頼スレッドを見られるようになっているため、削除依頼したことにより、さらに誹謗中傷が悪化してしまう可能性もあります。悪質な投稿者を刺激するようなことは書かず、削除理由などの必要事項を簡潔 に書き込むようにしましょう。

違法性に基づく削除請求

管理者に依頼しても書き込みが削除されなかった場合は、違法性を理由として裁判所に対して削除請求を行うことができます。このような場合では、名誉毀損やプライバシーの侵害を主張することが多いです。

名誉毀損は、「公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させた場合」に成立します。たとえば、上記の例のように「□□店はぼったくり。支払い断ったら店長Bに暴行された」と書き込まれた場合、ぼったくりや暴行の事実がなければ名誉毀損に該当するものと思われます。

ただし、事実だとすれば、そのような悪質な店の情報を公開することは、公益に合致すると考えられるため、名誉毀損には該当しない可能性が高いです。個人や店の社会的評価が低下すると考えられる場合であっても、その事実を公開することに公益がある場合は違法性があるとはみなされません。

電話番号などが書き込まれている場合は、プライバシーの侵害にあたると主張することができますが、電話番号は重点削除対象となっているため、削除依頼をすれば削除されるものと思われます。

仮処分による削除請求手続

違法性を主張して削除請求する場合、正式な裁判ではなく仮処分という手続により行うことができます。仮処分とは、民事保全法に基づき裁判所が暫定的に行う処分を指し、裁判と比べるとスピーディに結果が出るのが特徴です。

仮処分の場合、1-2ヶ月程度で実施可能です。その場合の弁護士費用の相場は、インターネット上の情報では

着手金が30万円程度、成果報酬金が30万円程度

https://monolith.law/reputation/reputation-lawyers-fee

などと言われています。なお、この手続では、IPアドレスの開示と削除を、同時に求めることが可能です。上記は両方を行うための費用となります。もっとも、対象とする投稿の内容や量によって、当然費用は変わってきます。

仮処分で削除命令を出してもらうためには、その書き込みに違法性があると裁判所に認めてもらう必要があります。単独で法的な主張や効果的な証拠集めなどを行うのは難しいでしょう。PINKちゃんねるの悪質な書き込みにお悩みの場合は、ネットの誹謗中傷に詳しい弁護士へ相談するのがおすすめです。

PINKちゃんねるの運営元は「アメリカ人のJIMさん」と記載されているため、手続の相手方は海外の人になります。そのため、必要書面や証拠等を英訳するなどの費用が追加でかかる可能性もあります。

投稿者の特定

書き込みの削除が行われない場合や書き込みによる被害が大きい場合は、投稿者の特定を検討することもできます。

投稿者の住所氏名情報を入手すれば、一連の手続きにかかった費用などを損害賠償請求することも可能です。

投稿者特定手続については、以下の記事で詳細に解説しています。

まとめ

PINKちゃんねるに悪質な書き込みがされている場合、削除依頼スレッドに書き込んで削除依頼を行うことができます。

ただ、嫌がらせが激化してしまったり、依頼をしても対応してもらえないケースも考えられ、最終的には裁判所を通じて削除請求を行うことになります。

手続には法律やネットに関する高度な専門知識が必要となります。PINKちゃんねるの悪質な書き込みに対しては、被害が拡大する前にネットの誹謗中傷に強い弁護士へ相談しましょう。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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