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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

ホストラブ(ホスラブ)に誹謗中傷を書き込んだ犯人を特定する方法とは

風評被害対策

ホストラブ(ホスラブ)に誹謗中傷を書き込んだ犯人を特定する方法とは

ホストラブ(以下「ホスラブ」といいます。)は、ホストクラブや水商売、風俗業界など、いわゆる夜職全般に関する情報交換サイトとして利用されています。

ホスラブは、掲示板の提供がメインのサービスになり、利用者が様々な情報を書き込みますが、特定の人物やお店などを誹謗中傷する書き込みがされることもあります。

近年、ネット上での誹謗中傷が社会問題になりつつあり、誹謗中傷を行った者に対しては、損害賠償請求等の法的な請求を行うことができますが、そのためには、誹謗中傷を行った者を特定する必要があります。

そこで、本記事では、ホスラブを例に、誹謗中傷を行った犯人を特定する方法を紹介します。なお、犯人特定ではなく削除に関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

ホスラブで見られる誹謗中傷とは

ホスラブでは、特定のホスト、ホステス、キャバクラ嬢、風俗嬢又はお店の経営者や従業員を対象にした誹謗中傷が書き込まれることがあります。

誹謗中傷を書き込む者の目的は様々ですが、個人的な恨みを晴らす目的、他者や他店の営業成績や売り上げを下げる目的、誹謗中傷をされている人が悩んでいる様子を見て楽しむ目的などが考えられます。

誹謗中傷による悪影響

誹謗中傷がなされると、誹謗中傷をされた人に様々な悪影響が生じます。

例えば、誹謗中傷をされたことにより、精神的に疲弊し、精神疾患などを発症し、ひいては自傷行為や自殺をしてしまうということが考えられます。

また、誹謗中傷により、恐怖を感じ、お店に出勤できなくなり、お店の売り上げが低下することが考えられます。

誹謗中傷を行った者の法的責任

誹謗中傷を行った者の法的責任については、刑事責任と民事責任が考えられます。

刑事責任について

刑事責任については、以下の名誉毀損罪又は侮辱罪に問われることが考えられます。

名誉毀損罪とは

名誉毀損罪については、以下の刑法230条で規定されています。

(名誉毀損)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法230条

ホスラブの掲示板は、不特定又は多数の人が閲覧することが可能ですので、「公然」ということができます。

また、誹謗中傷された場合、社会的信用や名誉が低下させられることとなりますので、「人の名誉を毀損」といえます。

したがって、ホスラブで誹謗中傷を行った場合には、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

侮辱罪について

侮辱罪については、以下の刑法231条で規定されています。

(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

刑法231条

ホスラブで誹謗中傷を行った場合、侮辱罪が成立する可能性があります。

侮辱罪については、名誉毀損罪と異なり、事実を摘示しなくても成立しますので、名誉毀損罪よりも広く成立が認められます。

民事責任について

民事責任については、以下の不法行為に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。

(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第709条

人の声価に対する社会的評価のことを名誉といいますが、誹謗中傷を行った場合、人の名誉権を侵害する不法行為に該当することとなり、損害賠償義務を負うこととなると考えられます。

誹謗中傷を行った者を特定する必要性

誹謗中傷を行った者に損害賠償請求を行おうと考えた場合、訴状を裁判所に提出し、訴えを提起することとなります。

訴状には、「当事者」を記載する必要があります(民事訴訟法133条2項1号)。

そのため、損害賠償請求を行うためには、誹謗中傷を行った者を特定する必要があります。

ホスラブで誹謗中傷を行った者を特定する方法

ホスラブで誹謗中傷を行った者を特定する方法は、以下になります。

  1. ホスラブに対して誹謗中傷を行った者のIPアドレス等の開示を請求する
  2. ホスラブがIPアドレス等の開示請求に応じない場合には発信者情報開示の仮処分を行う
  3. 開示されたIPアドレス等からインターネットサービスプロバイダを特定する
  4. 特定されたインターネットサービスプロバイダに対して誹謗中傷を行った者の住所氏名の情報の開示請求を行う
  5. インターネットサービスプロバイダが開示請求に応じない場合には発信者情報開示の裁判を行う

上記の各工程に関して、以下、詳細に解説を行います。

ホスラブに対して誹謗中傷を行った者のIPアドレスの開示を請求する

最初の手続としては、ホスラブに対して誹謗中傷を行った者のIPアドレスの開示を請求します。

請求を行うためには、ホスラブの運営会社を特定する必要がありますが、ホスラブのHPには削除依頼のページは存在するものの、運営会社については記載されておりません。

運営会社を特定する作業は、一般の方が行うのは難しい作業であるため、ネットでの誹謗中傷に詳しい弁護士に依頼することがよいと考えられます

ホスラブへの書き込みは、匿名で行える仕様です。そのため、そもそも運営者は、書込を行った投稿者の住所や氏名を知らず、仮に「投稿者の住所や氏名を開示せよ」と求めても、「情報を持っていないので開示できない」ということになってしまうのです。その代わり、投稿を行った者のIPアドレスであれば記録しているため、そのログを開示させる、という事が必要になるのです。

ホスラブに開示請求を行い、任意にIPアドレス等を開示してくれればよいですが、個人情報に関わる情報であるため、開示に応じないということも考えられます。

その場合には、次の発信者情報開示の仮処分手続を行う必要があります。

発信者情報開示の仮処分を行う

ホスラブが任意の開示を行わない場合には、IPアドレス等の開示を求めて発信者情報開示の仮処分を行います

仮処分を行う理由は、投稿者の特定を行うには時間的な余裕があまりないという点にあります。ホスラブなどの経由プロバイダでは、通信ログの保存期間が数か月であることが一般的であり、時間が経ってしまうと通信ログが削除されてしまいます。本案訴訟を提起した場合、判決を得るまでに時間がかかってしまい、判決を得ても無意味になってしまう可能性があります。

仮処分は、1-2ヶ月程度で結果が出ます。その場合の弁護士費用は、

着手金が30万円程度、成果報酬金が30万円程度

https://monolith-law.jp/reputation/reputation-lawyers-fee

が相場のようです。上記の費用は、IPアドレスの開示と口コミの削除を同時に請求した場合の費用です。ただ、この金額はあくまでも相場ですので、対象とする口コミの内容や量などにより、費用は上下するでしょう。

投稿が違法であることを主張・立証する必要

裁判所に仮処分という方法でIPアドレスの開示を認めて貰うためには、その投稿が違法なものに該当することが認められる必要があります。プロバイダ責任制限法4条1項では「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」と定めていますので、これにあたる違法な点があることを主張する必要があるということです。

場合によっては、時間と手間のかかる裁判手続きを利用するよりも、削除のみ対応してもらえれば良いという場合もあると思います。その時は、ホスラブに依頼することで実現できるかも知れません。

ホスラブが独自に禁止している投稿にあたれば違法とまではいえなくても削除ができるかもしれないということなので、必ずしも違法であり法的に認められるものとは限りません。つまり、サイトに依頼すれば違法性がなくても削除に成功するかもしれないということです。

利用規約にある禁止行為にも「第三者に対する誹謗中傷または名誉き損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言」とあります。ただこれはあくまで、ホスラブ運営者が定めた禁止行為であり、こうした投稿が必ずしも「違法」と言える訳ではありません。
削除だけで済まさず、IPアドレスの開示請求を認めさせるには、

  • その投稿が違法であるという法的な主張
  • それを基礎付ける証拠

というものが必要になります。何故その投稿が違法と言えるのか、どういった証拠を用意すれば良いのか、というのは、風評被害対策に関する弁護士のノウハウや専門知識に頼るのが解決への一番の近道です。

インターネットサービスプロバイダの特定を行う

誹謗中傷を行った者のIPアドレス等を特定できたら、その情報からインターネットサービスプロバイダを特定します。

通常、インターネットサービスプロバイダが、誹謗中傷を行った者の氏名、住所、電話番号などの情報を保有しています。

日本で有名なインターネットサービスプロバイダは、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンクやKDDIなどがあります。

IPアドレスが特定できれば、インターネットサービスプロバイダを検索することが可能です。例えば、検索サイトには、以下の一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターのサイトなどがあります。

https://www.nic.ad.jp/ja/

特定されたインターネットサービスプロバイダに対して情報開示請求を行う

そして、インターネットサービスプロバイダに対して、誹謗中傷を行った者の氏名、住所、電話番号などの登録情報の開示を請求します。

インターネットサービスプロバイダが請求に応じて情報を開示してくれれば、誹謗中傷を行った者を特定することができます。

プロバイダは、その年月日日時分に当該IPアドレスを用いていた契約者の住所氏名というログを保持しています。したがって次はプロバイダを相手に住所氏名の開示を求めれば良いのですが、プロバイダは、無期限にはログを保持していません。特に携帯回線の場合、携帯事業者は、接続ログを3ヶ月程度で消してしまいます。
そこで、プロバイダを相手に、「当該ログの削除を禁止せよ」という命令を出すべく、新たな裁判所手続を用いる必要がある、というのが原則です。ただ、実際のところ、多くのプロバイダは、「今から裁判所を通じて住所氏名開示を求めるので、しばらくログを消さずに保存しておいて欲しい」と通知を出せば、ログを保全しておいてくれるケースが多いと言えます。
したがって、この部分は通知のみで足りるケースが多いと言えます。もっとも、この場面でも、対象とする投稿はどのように違法なのか、という主張や立証は必要となります。この通知に関する弁護士費用の相場は、あまりネット上に情報がありませんが、10万円程度で足りるケースが多いと思われます。

ただ、個人情報ということで、インターネットサービスプロバイダが任意の開示に応じないというケースが多いです。その場合には、法的な請求を行う必要があります。

法的な請求について

プロバイダがログを保全してくれた場合、次に、プロバイダに対して、投稿者の住所氏名開示を求めます。この部分は、迅速な仮処分ではなく、正式な裁判手続となってしまいます。住所氏名は、もちろん重大な個人情報です。裁判所は、そうした問題意識の上で、正式な手続で違法と認めた場合に限り、住所氏名の開示を認めるのです。この部分の弁護士費用の相場は、 投稿の内容や量によるものではありますが、ネット上の情報では

着手金が30万円程度、成果報酬金が20万円程度

https://monolith-law.jp/reputation/reputation-lawyers-fee

などと言われています。

インターネットサービスプロバイダが開示請求に応じない場合

情報の任意の開示に応じてくれない場合には、裁判を提起して判決を得る必要があります。

発信者情報開示請求については、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任法)4条で規定されています

インターネットサービスプロバイダに情報を消去されてしまう可能性もありますので、訴訟の提起と同時か提起の前に、インターネットサービスプロバイダに対して発信者情報消去禁止の仮処分の申立てを行うケースもあります。

以上のような手続を経ることにより、ホスラブに誹謗中傷の書き込みをした者を特定することができます。

投稿を行った者の特定ができれば、その者の法的な責任を追及することができるようになります。

また、ネガティブな書き込みを削除する方法については、下記の記事で解説しております。

損害賠償請求

裁判に勝訴すれば、ホスラブへの投稿を行った投稿者(正確には、投稿者が使っていた回線の契約者)の住所氏名が開示されます。その投稿者に対して、これまでかかった弁護士費用(調査費用)、慰謝料、といった損害の賠償を請求することになります。この仕組み上、投稿者の特定に成功し、損害賠償請求も認められ、損害額が補填されれば、被害者側に金銭的負担は発生しません。ただ、投稿者を特定できるか、特定できたとして、損害賠償を回収できるか、というリスクはあります。これらに関しては、下記記事にて詳細に解説しています。

まとめ

以上、ホスラブを例に、誹謗中傷を行った犯人を特定する方法について解説しました。

誹謗中傷をされた方は、何としてでも投稿者を特定して、法的な責任を取らせたいと考えるはずです。

ただ、本記事で説明したように、特定をするにはいくつかの手続を経る必要、また、情報の保存期間との関係で迅速に手続を進める必要がありますので、一般の方が行うのはなかなか難しいのが現状です。

そのため、一度、ネットトラブルに詳しい法律事務所に相談をすることをおすすめします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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