弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-17:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Lighthouse(旧・カイシャの評判)に悪評を書かれた場合の投稿者特定方法

風評被害対策

Lighthouse(旧・カイシャの評判)に悪評を書かれた場合の投稿者特定方法

2020年6月1日にサイトリニューアルしたLighthouse(旧・カイシャの評判)は、エン・ジャパン株式会社が運営する、社員や元社員による口コミで企業の評価を見ることができる、会社口コミプラットフォームです。

ここでは、Lighthouse(旧・カイシャの評判)に悪評を書かれた場合に、投稿者を特定する方法を解説します。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)はどのようなサイトなのか

求職者のほとんどが、求人・転職系の口コミサイトで、応募前にあらかじめ希望する企業の評判を確認する時代となっています。

求人・転職系の口コミサイトは、

  • Lighthouse(旧・カイシャの評判)
  • 転職会議
  • OpenWork(旧・Vokers)

の3種が有名ですが、その中でもLighthouse(旧・カイシャの評判)は最大の口コミ数を誇っています。

実際、企業名でGoogle検索を行った際の1ページ目に当該企業のLighthouse(旧・カイシャの評判)ページが表示されるケースが多くあり、そこで悪意ある口コミを目にしてしまうと、求職者は応募を控えてしまうことが考えられ、企業にとって、特に求人面で悪影響を及ぼす可能性が高いです。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)で行われる誹謗中傷の例

一般的な愚痴の類ならばあまり心配する必要はありませんが、「残業時間が長く、その一部はサービス残業である」「有給休暇が取得できない」「休日に強制的に出勤を求められる」といったような、誇張されたネガティブな口コミや悪意のある嘘の口コミが書かれていることも多く、こうした口コミは被害が拡大しないうちに、早期に削除を依頼する必要があります。

しかし、それで問題が解決するわけではありません。嫌がらせ目的での投稿の場合、当該口コミを削除できたとしても、再び同一人物により悪意ある投稿をされたり、別のプラットフォーム等に同様の口コミを投稿されたりする可能性があるからです。そうした事態を防いで問題を完全に解決するためには、投稿者を特定して法的な手段をとり、責任を追及する必要があります。

発信者情報開示請求

悪質な口コミや嘘の口コミの投稿者に対して法的な手段をとり、責任を追及するためには、対象者の氏名や住所を知る必要があります。しかしLighthouse(旧・カイシャの評判)に限らず、インターネット上の書き込みや誹謗中傷は匿名や、「実際上は匿名」で行われるケースがほとんどです。そこで、投稿者の氏名や住所を知るためには、掲示板やブログなどのサイトの管理人(運営会社)等のプロバイダに、書き込んだ人物の氏名や住所等という情報の開示を求めることが必要となります。これが、発信者情報開示請求です。

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法(正式名称「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」:平成14年5月27日施行)第4条に基づく情報開示請求で、ネット上で名誉毀損など他者を誹謗中傷するような表現を行った発信者、つまり犯人の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)について、情報を保有しているプロバイダに対し、開示するよう求める制度なのです。

プロバイダとは何か

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法に基づいて、情報開示をプロバイダに対して求めるものですが、まず、プロバイダについて確認しておきます。

2種類のプロバイダ

インターネットを利用している人はまず、インターネット回線を提供する回線事業者と契約する必要があります。

さらに、インターネット接続には回線に加えて経由プロバイダ(インターネット・サービス・プロバイダ)との契約が必要になります。経由プロバイダとは回線を通してインターネットに接続する事業者で、回線をインターネットに接続するには経由プロバイダとの契約が必要となります。固定回線系のサービスだけではなく、携帯・スマートフォンでも、これは同じです。

電子掲示板は、ホームページで利用できる代表的な機能のひとつですが、電子掲示板の管理者等を指してコンテンツ・サービス・プロバイダといいます。

このように、プロバイダには、コンテンツ・サービス・プロバイダと経由プロバイダという2種類があることになります。

投稿者特定の手順①:IPアドレス開示請求

投稿者を特定するためにはまず、Lighthouse(旧・カイシャの評判) の運営会社である エン・ジャパン株式会社 に対して発信者情報開示請求を行います。

IPアドレスとタイムスタンプ

Lighthouse(旧・カイシャの評判)の運営会社は、投稿者の情報についてどこまで知っているでしょうか。Lighthouse(旧・カイシャの評判)の会員登録にはメールアドレスが必須となっていますが、フリーメールアドレスで可となっています。これでは発信者のメールアドレスを特定できるとは言えませんし、もちろん、氏名や住所を特定することはできません。ただ、フリーメールアドレスすら不要な完全匿名掲示板でも同様ですが、運営が間違いなく知っている情報があります。それは、投稿者の「IPアドレスとタイムスタンプ」です。

「IPアドレス」とは、インターネット上における、住所情報です。インターネットに接続しているあらゆるマシン、自宅のPCやスマートフォンなどは、固有のIPアドレスという住所情報を持っています。あるサイトに接続したり、投稿が行われたりした場合、その投稿者のIPアドレスとアクセスした時間である「タイムスタンプ」が、コンテンツ・サービス・プロバイダに記録されます。通常の管理者は、IPアドレスとタイムスタンプを記録しているので、「違法な投稿を行った者のIPアドレスとタイムスタンプを開示してください」と、求めるといいのです。

仮処分手続による開示請求

発信者情報開示請求が行われると、コンテンツ・サービス・プロバイダであるサイト管理者は、請求が法律上の要件を満たしているかどうかを判断し、開示・非開示を決めます。任意で開示請求に応じる場合もありますが、「裁判所による公的判断が下されない限り開示請求には応じられない」という対応が通常ですから、Lighthouse(旧・カイシャの評判)を相手とした発信者情報開示の仮処分を申し立てることとなります。プロバイダ側からすれば書き込みをした人物はお客様であり、個人情報保護の観点からも、任意の情報開示請求に応じるケースはほとんどないのが現状です。

そこで、裁判所手続を用いて実現することになりますが、この場合には、正式な本訴訟という裁判ではなく仮処分という、迅速な手続となります。裁判はどうしても時間がかかるのですが、仮処分の場合には、1-2ヶ月程度で実施可能です。

仮処分によって情報開示が認められたら、Lighthouse(旧・カイシャの評判)は速やかにIPアドレスとタイムスタンプを開示してくれます。

発信者情報開示請求の条件

インターネット上で権利侵害を受けた人は、プロバイダ責任法に基づいて、2種類のプロバイダに対して発信者情報開示を請求できるのですが、プロバイダ責任制限法第4条には「権利が侵害された」ことが明らかであり、「正当な理由がある」ときに、発信者情報の開示を求めることができるとあります。

権利が侵害されたとは

書き込みや誹謗中傷が悪質で執拗なものであったとしても、違法なものでなければ、「権利が侵害された」とは言えません。一般に「権利侵害の明白性」と呼ばれる要件で、この要件が充足されているか否かが、問題となります。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)における悪質な書き込みや誹謗中傷の場合、限度を超えたものについては、名誉毀損や信用毀損を問うことができる可能性が高いといえます。

名誉毀損や信用毀損の場合には、問題の書き込み等により、被害者の品性、名声、信用などの人格的価値について社会的評価が低下したという客観的な事実があるかどうかがポイントとなります。

また、違法性阻却事由(公共性・公益目的性・真実性)の存在をうかがわせるような事情が存在しないということが必要となります。インターネット上の言論についても、表現の自由(憲法第21条)は保障されますから、問題とされる表現が、たとえ特定人の社会的評価を低下させるものであったとしても、

  • 公共の具体的な利害に関係があることを事実をもって摘示するもので(公共性)
  • その目的が専ら公益を図ることにあり(公益性)
  • 摘示した事実が真実(真実性)または真実であると信ずるについて相当な理由のあるとき(真実相当性)

には名誉毀損は成立しない、とされています。

正当な理由があるとは

発信者情報開示請求には、情報を取得することにつき、合理的な必要性が求められます。あいまいな目的では、情報開示を請求することはできません。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)の投稿者に対してであれば、

  • 発信者に対する削除要請に必要であるため
  • 民事上の損害賠償請求権の行使に必要であるため
  • 刑事告発などの法的手段をとるにあたり本人を特定するのに必要であるため

といったような場合にはじめて、「正当な理由がある」と認められます。

投稿者特定の手順②:ログの削除禁止

手順1で投稿者のIPアドレスが開示されたら、URLにより、もしくは「WHOIS」等のプロバイダ特定サービスを用いて、発信者が使用した経由プロバイダを特定します。

そこで、次には経由プロバイダを相手に「この時間にこのIPアドレスで接続していた人間の住所氏名を開示せよ」という、ログ情報を請求することになりますが、このログ情報の量は膨大なものであり、携帯キャリアであれば数千万人、経由プロバイダでも数百万人分になります。そこで、経由プロバイダは、ログを一定期間で削除することとしており、携帯キャリアは3ヶ月程度、固定回線のプロバイダでもせいぜい1年程度で削除してしまいます。そのため、投稿から訴訟提起までの間にあまり時間がかかると、ログを消されてしまう可能性が生じるのです。

一方、プロバイダに対して発信者の氏名等の開示を求めるときには、重大な個人情報を求めることになるので、原則として通常の民事訴訟による必要があります。ところが、通常の民事訴訟の手続きが終了するまでには数か月程度を要することが多いため、その間にプロバイダが保存しているログを消去しないように、つまり証拠がなくなってしまわないように、ログを消去することを禁止する仮処分の手続きが必要となります。

もっとも、プロバイダは「裁判所を通じて住所・氏名の開示を求めるので、しばらくログを保存しておいてほしい」と通知すれば、ログを保存しておいてくれる場合が多いので、この部分は通知だけで足りるケースも多くなっています。

投稿者特定の手順③:発信者情報開示請求の訴訟

アクセスログの保存が保証されたら、経由プロバイダを相手方とする発信者情報開示請求訴訟を提起し、発信者に関する「住所・氏名・メールアドレス」等の情報の開示を求めることとなります。

経由プロバイダは原則として発信者の同意がない限り、発信者情報の開示に応じません。そして、住所氏名は、重大な個人情報です。そのため、裁判所は訴訟という正式な手続きで違法と認めた場合に限り、住所氏名の開示を認めてくれるのです。訴訟の主な争点は、対象投稿の記載内容が、原告(開示請求者)の権利を侵害するものであることが明白か否かです。

投稿者特定の手順④:損害賠償請求

裁判所が「投稿記事により権利が侵害された」と判断し、「正当な理由がある」と判断した場合、裁判所は経由プロバイダに対して、記事投稿の際に利用された契約者の氏名、住所、メールアドレス等の開示を命じてくれます。

発信者情報が開示され、発信者が特定されたら、いくつかの選択肢が可能となります。

  • 今後は誹謗中傷を繰り返さないと誓約させる
  • 損害賠償請求を行う
  • 必要であった経費(調査費用・弁護士費用)を請求する
  • 刑事告訴をする

損害賠償を請求する以外にも選択肢はありますし、複数を選択することも可能ですが、Lighthouse(旧・カイシャの評判)の場合、食べログや、じゃらんnet等の口ミサイトと異なり、判明した投稿者は現役の社員や退職社員であることがほとんどなので、難しい、慎重な判断が必要となります。

まとめ

名誉毀損や誹謗中傷をする投稿を削除するだけでは被害者の損害回復はできず、問題が解決したことにはならない場合が多くあります。投稿者を特定し、責任を取らせることにより、事件の再発を防ぎましょう。

Lighthouse(旧・カイシャの評判)の場合、判明した後で、難しい判断が必要となる場合がありますが、こうしたケースの取り扱い経験が豊富な弁護士にご相談ください。

モノリス法律事務所

モノリス法律事務所

モノリス法律事務所は、IT・インターネット・ビジネスに強みを持つ、東京・大手町の法律事務所です。

シェアする:

TOPへ戻る