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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

じゃらんnetにネガティブな口コミを書いた相手は特定できるのか

風評被害対策

じゃらんnetとは、日本を代表する旅行予約ウェブサイトのひとつです。旅行を計画する際に、ホテルや旅館を利用した人のリアルな評判を知ることができる有益なサイトですが、 口コミの中には、 ホテルや旅館側のミスではないトラブルや、風評被害をもたらすようなネガティブなものもあります。

本記事では、じゃらんnetにひどい口コミを書いた相手を特定する方法について解説します。

じゃらんnetとは

じゃらんnetは、日本を代表する旅行予約サイトです。ホテルや旅館を選択すると、その写真や地図・アクセスが表示され、詳しい料金・宿泊プランはもちろんのこと、利用者の口コミを見ることができます。じゃらんnetの運営会社は、 株式会社リクルートライフスタイル です。

じゃらんnetの口コミ

口コミの項目について

口コミ欄では、下記項目について 「大変満足」から「不満」までの5段階で評価できます。

  • 部屋
  • 料理(朝食)
  • 料理(夕食)
  • 風呂
  • 接客・サービス
  • 清潔感
  • 総合評価

この平均評点を参考にする人が多いのですが、さらにホテルや旅館に対するコメント欄があり、この内容が問題となります。

口コミを投稿できる人

じゃらんnetの口コミは、じゃらんnetで予約をし、実際に宿泊をした人が、投稿できるシステムです。また、投稿できるのは、会員登録して予約をした人で、投稿期限は「チェックインの翌日から60日以内」となっています。会員登録せずに予約をした場合や、電話予約センター経由の場合には投稿できません。

また、宿泊施設を利用せずに投稿された口コミは、削除対象となります。これは、悪質な業者が、競合のホテルや旅館に、印象を悪くする目的でネガティブな投稿をすることを防ぐためと考えられます。

口コミの禁止事項と行為

じゃらんnetでは口コミの内容に関して禁止事項を定めており、違反対象となる口コミは削除を依頼することができます。しかし、削除を依頼をしたとしても、必ずしも削除されるわけではありません。運営側も口コミ内容の審査を行っており、また、投稿者はじゃらんnetの顧客でもあるため、保護される存在と考えられるため、掲載されている口コミが削除される可能性はあまり高くないのが現状となっているようです。

また、「口コミの禁止行為」には

  • 当社の提供する旅行情報関連から逸脱した内容を投稿すること
  • 利用者自身の体験や、じゃらんnetを利用しての利用経験に基づいていない投稿をすること
  • 営利目的の内容を投稿すること
  • 事実と反する内容・虚偽の内容を投稿すること

等があり、「口コミの禁止行為」等を説明した「口コミ投稿の掟」の最後には、

投稿内容は投稿者の責任で掲示されたものであり、投稿内容の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等について、当社は何ら保証しないことを了承の上、自己の責任において利用するものとします。また、当社は、投稿記事において、間違った情報、不快な発言、品位のないメッセージ等のいかなる内容・表現についても、その不存在を保証しません。

https://www.jalan.net/jalan/doc/okite.html

と記されているため、投稿内容の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証することは、不可能なようです。

じゃらんnetで行われる誹謗中傷の例

例えば、喫煙可の部屋を申し込んだにも関わらず「部屋がタバコ臭かった」という内容の不当なコメントから、 事実とは異なる 「食事メニューに和牛とあったが明らかに輸入牛であった 」「予約した料金とは異なる高額料金を支払えと要求された」等の嘘の内容のコメントが上げられます。このようなケースは、放置しておくと経営に致命的な悪影響が生じる可能性が高いので、法的な対応が必要となります

なお、投稿を削除する方法については、下記の記事で解説しております。

https://monolith.law/reputation/jalan-net-reviews-deletion

発信者情報開示請求

通常の場合だと、口コミ投稿者を特定するためにまず、IPアドレスの発信者開示請求を行うためIPアドレスの情報を請求する仮処分を申請し、裁判所の命令にもとづいてIPアドレス等の開示を受けます。その後、プロバイダに対して、氏名や住所等の情報を開示するよう求める本訴訟を提起するという形になります。

このように「2段階」の手続きが必要なため、投稿者を特定するためには期間と費用かかります。しかし、じゃらんnetの場合は、投稿者はじゃらんnetで予約をして実際に宿泊しているため、1回の裁判でIPアドレスだけでなく、氏名や住所、メールアドレスを入手することができます

https://monolith.law/reputation/provider-liability-limitation-law
https://monolith.law/reputation/disclosure-of-the-senders-information

発信者情報開示請求の条件

発信者情報開示請求については、下記のプロバイダ責任制限法に基づいて進めていきます。

「自己の権利を侵害されたとする者」は、「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」に、情報の開示を求めることができる

プロバイダ責任制限法 第4条

じゃらんnetでの口コミについては、営業上の信用を毀損するような行為にあたり、刑法では信用毀損罪・業務妨害罪に該当する可能性があり、刑法には、

「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

刑法第233条

と規定されているため、こうした行為は違法であり、民事上も不法行為となります。また、民法にも、

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

民法第709条

と規定されているため、これらに基づき、また場合によっては、名誉毀損やプライバシー侵害に基づいて、じゃらんnetに対する発信者情報開示請求の訴訟を提起を行います。

https://monolith.law/reputation/netslander-against-companies
https://monolith.law/reputation/trust-damage-crime-establishment

また、プロバイダ責任制限法には、

「発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき」に情報の開示を求めることができる

プロバイダ責任制限法第4条

と規定されています。 つまり、

  • 発信者に対する削除要請に必要である
  • 民事上の損害賠償請求権の行使に必要である
  • 差止請求権の行使に必要である
  • 刑事告発などの法的手段をとるにあたり本人を特定するのに必要である

上記のような場合に、「正当な理由がある」と認められます。

また、民法上の一般的な不法行為責任とは別に、投稿者が競合するホテルや旅館であった場合には、不正競争防止法(不競法)2条1項14号により、営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する不正競争に対しては、停止や予防の請求や損害賠償の請求ができます。

どのような記述がどのような権利を侵害しているかを明白にし、摘示された事実や論評の前提としている事実が真実でないことを証拠をもって明らかにすれば、裁判所はじゃらんnetに発信者の住所・氏名等の情報開示を命じてくれます。

損害賠償請求

裁判所が「投稿記事により権利が侵害された」とし、「正当な理由がある」と判断してくれれば、裁判所はじゃらんnetに対して、投稿者の氏名、住所、メールアドレス等の開示を命じてくれます

命令が出るとなれば、じゃらんnetは速やかに対応してくれます。発信者情報が開示され、発信者が特定されると、損害賠償請求を行うことができますが、以下の選択肢も可能です。

  • 今後は誹謗中傷を繰り返さないと誓約させる
  • 必要とした経費(調査費用・弁護士費用)を請求する
  • 刑事告訴をする

このように、損害賠償を請求する以外にも選択はありますが、これらを単独で行うのは難しいため、インターネットの誹謗中傷対策に詳しい弁護士へ相談するのがおすすめです。

また、削除する場合については、下記の記事で詳しく説明しています。

https://monolith.law/reputation/jalan-net-reviews-deletion

まとめ

じゃらんnetの口コミ投稿者の特定は、複雑な手続きを含みます。こうした手続きを成功させるためには、インターネット上の誹謗中傷や法律に関する豊富な専門知識が必要になります。限度を越えた、悪質な口コミにお困りの事業者は、被害が拡大しないうちに、早急に対処しましょう。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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