弁護士法人 モノリス法律事務所03-6262-3248平日10:00-18:00(年末年始を除く)

法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

ホスピタの口コミ削除方法と風評被害対策とは

風評被害対策

ホスピタの口コミ削除方法と風評被害対策とは

ホスピタは病院検索サイトで、患者さんからではなく、他病院の医師から口コミが投稿されるというシステムが特徴的です。また、所属医師のプロフィールや出身地・趣味など、医師個人についての情報が充実しています。ホスピタに寄せられる口コミは同業者からという点があり、誹謗中傷の書き込みが行われる危険性は他サイトと比べ少ないといえるでしょう。ただ、ゼロとは言い切れず利用者も多いサイトであるのは確かなので、風評被害の対策に関して解説します。

ホスピタに関する解説

ホスピタのTOP画面より

ホスピタは毎月数百万人が利用する病院検索サイトです。検索条件が細かく設定できるので、自分の目的に合った病院が見つかりやすいのが特徴です。症状や専門外来、休日診療対応などなど一般的な項目のみならず、「外国語」や「在宅医療対応可」といった病院の特徴でも検索が可能です。掲載されている病院側がビジネスオーナーに登録すれば、無料で自分の病院の情報を編集・管理できるため、常に正しい情報が記載されていると言えます。病院を検索する人にとっても、間違った情報が記載される危険性が少ないと安心です。

さらに、スマートフォンに完全対応し、サイトから病院への連絡が取りやすい仕様となっているので、出先での急な体調不良の際などにも利用しやすいのが特徴です。実際、スマホによるユーザーの割合は8割を超えています。病院検索サイトというと、calooや病院ナビなどもありますが、ホスピタがこれらのサイトと一線を画す点は、病院の利用者からではなく他の病院の医師から口コミが寄せられていることです。専門的知識を備えた医師からの評価が分かるので、より信頼性の高い情報といえるでしょう。

医師がおすすめする「名医ログ」

また、「名医ログ」といって、医師がおすすめする街の名医を知ることができるサービスも提供しています。例えば、精神科で名医といえばこの人だ、という他の医師たちからの情報を入手可能です。同業者だからこそ語れる医師の人柄やおすすめポイントなどを教えてくれるので、病院選びの際はとても参考になるでしょう。ホスピタのサイトは2006年にスタートし、現在では約17万件以上の医院を掲載していますが、2017年からは病院というより、名医検索の分野に力を入れています。そのため、お医者さん個人に関するデータが豊富で、卒業大学・学部や出身地・趣味など、より身近な情報まで入手可能です。医師の顔写真も掲載されているため、病院に行く前にだいたいの人物像は把握できます。また、Webで無料で医療相談ができる掲示板サービスも提供しています。

症状をフォームから投稿すれば、掲載医院のお医者さんが簡単な医療相談に乗ってくれるのです。(診察やプライベートのすき間時間に回答するため、少し時間がかかる可能性はあります)このようにお医者さん個人にフォーカスしているホスピタ。実力あるお医者さんや親身になって診察してくれるお医者さんをお探しの方にこそ、利用していただきたいサイトです。運営会社は、東京都渋谷区にある株式会社イーエックス・パートナーズです。

ホスピタで生じる風評被害にはどんなものがあるか

ホスピタで生じる風評被害に繋がる口コミとは?

ホスピタで口コミを寄せるのは他医院の医師であり、どの医院が投稿したのかに関しても分かります。その病院の先生との人間関係がありますから、否定的な内容を投稿する可能性は極めて低いといえます。そのため、ホスピタでは、風評被害が生じる危険性も少ないでしょう。実際、サイトを確認した限り、ネガティブな投稿は見つからず、「自信を持って紹介できる」「的確な診断や治療が受けられる」などポジティブな口コミしか発見できませんでした。可能性として挙げるならば

  • 治療のレベルの低さを指摘する
  • 院長や医師の過去の医療ミスを告発
  • 衛生管理不足を指摘する

といった誹謗中傷の投稿がなされる余地がありますが、個人的な怨恨でもない限り同業者からはこのような投稿がされる可能性は極めて低いでしょう。

一方、web上の無料相談掲示板では誹謗中傷の投稿がされる危険性はあります。なぜなら、こちらに書き込むのは一般ユーザーだからです。もちろん、真剣に悩みを相談したくて症状を丁寧に書き込むケースがほとんどですが、病院の回答内容に不満があったり対応が遅れたりすると、文句のような内容が書き込まれる危険性があります。掲示板は病院ごとに分かれていますが、他のユーザーの質問内容や病院からの回答は第三者も閲覧できるので、風評被害に発展する可能性も否定できません。

ホスピタに寄せられた誹謗中傷の投稿を削除するには?

ネット上に、評判を落とすような書き込みを発見したら削除する必要があります。まずは、サイト自体へ削除申請をしましょう。ただ、ホスピタの場合、治療への取り組み、アピールポイント、医師のプロフィール、写真といった医院の詳細情報は、オーナーとして登録すれば、自ら編集・修正できるという特徴があります。そもそも、画面を編集できるのはほかならぬオーナー自身なので、自らに都合が悪い情報が掲載されているなと気づいたら、自分で削除すればいいだけです。

オーナーへの登録の手順は、下記の通りです。

  1. サイト上で電話番号、もしくは病院名で検索し、病院の情報がホスピタに登録されているか確認
  2. 見つからなければ「新規掲載」、見つかれば「ID・PW発行登録」の画面に進む
  3. 登録申請後、サイト側で本人確認・所在地確認
  4. 確認がすめば登録完了メールが届き、ID・パスワードを入力すれば、自由に編集可能となる

ただ、他病院からの口コミや無料相談掲示板の内容まで修正できるかという点は分かりませんでした。こちらで誹謗中傷の口コミがなされたら、どうすれば良いのでしょうか?お問い合わせをクリックしても「掲載内容の追記・修正等につきましては、メール・電話での対応は行っておりません。」とあり、会員登録画面へと促されてしまいます。この点に関して利用規約第9条には、下記のような記載があります。

ホスピタ利用規約より抜粋

第三者を誹謗中傷してはいけないと定められており、違反した場合、利用を停止するとあります。つまり、この規約にあてはめれば、万が一誹謗中傷の口コミが投稿されたとしても、その投稿を行ったユーザーはサイトの利用停止という処分を受けるのです。

違法による削除請求

裁判所による削除請求を行う場合は、専門の弁護士にご相談を。

サイト側への削除請求が失敗してしまったら、次なる手段として、裁判所に対し違法による削除を請求する必要があります。ネット上での誹謗中傷・風評被害に関する削除の場合、名誉毀損が使われるケースが多いです。「この投稿により私の名誉権が侵害されている」と述べる必要があるのです。名誉毀損を成立させるには条件があり、それは「公然と」「事実を適示し」「人の名誉を毀損する」の3つです。「公然と」というのは、不特定多数が見られる状況であればよく、ネット上で誰でも見られる状態であれば、該当します。「事実を適示」の事実とは、真実とは異なります。その事実が本当のこと(真実)である場合。名誉毀損は成立しません。名誉毀損の成立要件について、詳しくは下記記事をご覧ください。

名誉毀損を主張するには、名誉権が侵害されている事実を法的な論理を用いて説明する必要があるため、法律の専門家の後ろ盾が無いと正直、厳しいでしょう。ネット上の誹謗中傷に強い弁護士にご依頼することをお勧め致します。

仮処分による削除請求

削除請求は、裁判を起こさなくてはいけないというわけではありません。仮処分といって、裁判を行わない手続きも可能です。法的な議論は必要となりますが、裁判と比べ迅速に削除に至ることができます。ネット上の風評被害の拡大を防ぐには一刻も早く口コミを削除するのが大切なので、仮処分手続きは実務上よく使われています。

仮処分による投稿者特定

仮処分では削除だけでなく、投稿者を特定することも可能です。投稿者を特定できれば、個人に対する損害賠償請求等もできます。ただ、投稿者を特定するには、少し手間がかかってしまいます。まず、サイトを運営する株式会社イーエックス・パートナーズに、投稿者のIPアドレスを開示するよう請求します。訴えが認められIPアドレスを入手出来たら、もうひとつプロバイダに対し、投稿者の住所や氏名などの個人情報の開示を求めます。つまり、2種類の開示請求を行う必要があるのです。サイト側は投稿者の個人情報は保有していないため、ネット上での風評被害に関する投稿者特定では、ホスピタに限らずこのような煩雑な手続きが必要です。

まとめ

ホスピタの風評被害の内容・対策法をまとめてきました。基本的には、ホスピタは誹謗中傷の書き込みがされる危険性は少ないサイトです。それは、口コミの投稿者は一般ユーザーではなく、他病院の医師だからです。ただ、無料相談掲示板サービスも展開しており、そちらでは一般ユーザーからの投稿も可能ということもあり、風評被害の可能性は0ではありません。誹謗中傷表現に関してはサイト側でも利用停止の措置を取っていますが、監視の目を潜り抜け、あなたの病院への悪評がさらされてしまうリスクもあります。その場合は、名誉毀損など違法性を主張し、削除や投稿者特定といった対応を取りましょう。その際は、法的な議論が必須なので、弁護士に依頼するのをおすすめします。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

シェアする:

TOPへ戻る