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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

前科等の犯罪歴の調べ方とは?意味や報道による不利益も解説

風評被害対策

日常で不利益を被る逮捕歴や前科の情報はどこで見つかるのか

「犯罪歴」という言葉は、一般用語として使われ、広い意味を持つ言葉です。一般的には、前歴や逮捕歴、前科などを含めて指すとされています。

犯罪歴がネットやSNSで拡散されると、職種によっては失職したり、離婚原因になるなど、重大な風評となるおそれがあります

そこで、本記事では、そもそも前科や逮捕歴とはどのような情報であり、それはどこで公表されており、どのように調べることができるのか、といった点について解説します。

なお、自分の犯罪歴が公表されていた場合、逮捕歴や前科の記事はどうすれば削除できるのかといった点については、下記記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

前科とは

逮捕歴、前科との違いを解説していきます。

まずは、前科とはどのような情報なのか、という点から解説します。

有罪判決を受けた履歴のこと

前科には、法律上の定義があるわけではありません。

しかし、一般的に、前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことであるとされています。

罪を犯すと、逮捕→起訴→判決、というように手続きが進みます。つまり、逮捕されただけでは前科はつかないということです。

そして、前科に当たる有罪判決は、刑法第9条により、「死刑」「懲役」「禁錮」「罰金」「拘留」「科料」に加えて、「刑の免除」「刑の執行猶予」が言い渡された場合も含まれる点には注意が必要です。

「罰金」になる事件は、次の2通りあります。

  1. 通常の裁判で罰金刑を言い渡される事件
  2. 公開の法廷での裁判を開かない「略式手続」という簡易な手続で、罰金の支払いを命じられる事件

罰金刑となる犯罪はたくさんありますが、全ての事件で、法廷での裁判を開いていては処理しきれません。そこで、罰金刑を科す際は「略式手続」によって簡略的に罰金刑が言い渡される場合があります。

略式手続は略式起訴に基づき行われますが、略式起訴の対象となる事件は、簡易裁判所の管轄に属する事件のうち、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件です。

懲役刑、禁錮刑、死刑に相当する犯罪には、略式起訴は適用されません。略式起訴でも、有罪になれば前科がつきます。

「拘留」とは、「1日以上30日未満」の一定期間、法務省が管轄する刑務所や拘置所、または警察が管理する留置場に収監するというものです。

「過料」とは、「罰金」が1万円以上であるのに対し、1000円以上1万円未満のものです。

当然ですが、誤認逮捕や冤罪の場合は前科に含まれません。

前科情報の管理

前科に関する情報は、警察や検察、本籍のある市区町村で管理されています

警察は、犯罪捜査の資料に、検察庁は犯罪捜査の資料や裁判の量刑の資料に、市区町村は選挙権・被選挙権の有無を明らかにする犯罪人名簿を作成するため、それぞれ前科に関する情報を管理しています。

前科による法律上の不利益

前科がつくことで、様々な法律上の不利益が予定されます。

たとえば、起訴された罪の最高刑が懲役もしくは禁錮3年以下または罰金50万円以下であれば、刑の執行が猶予されることがあります(刑法25条)。

しかし一般的に、執行猶予期間中の再度の執行猶予は難しく、前刑の執行終了から5年が経過しないと執行猶予はつけられません。

常習犯でも前科がつくことで、法律上の不利益が予定されます。前科がある人が有罪判決を受ける場合、再犯のおそれがあると判断され、量刑の面で不利益に取り扱われることがあり得ます。

例えば、窃盗や窃盗未遂の前科が多数あり、10年以内に3回以上にわたって窃盗罪や窃盗未遂罪で処罰されていると「常習累犯窃盗」で加重処罰されます。   また、傷害罪の常習犯であれば「常習傷害」で加重処罰されることがあります。

公職選挙法第11条は、「選挙権及び被選挙権を有しない」者を定めていますが、同条3項では、市町村長は「選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない」とあります。

警察や検察、本籍のある市区町村はこうした目的のため、前科に関する情報を管理し、利用しているのです。

逮捕歴とは

逮捕歴とは、事件を起こして警察に逮捕された履歴のことです。逮捕されても起訴されないということも、多くあります。不起訴になれば当然有罪にもならないので、前科もつきません。

不起訴処分になる理由は、

  • 嫌疑なし
  • 嫌疑不十分
  • 起訴猶予

の3つがあり、冤罪や誤認逮捕であった場合も含まれます。このように、逮捕歴と前科では意味が大きく異なるのです。

しかし、これらの場合でも逮捕のニュースは報道されますし、拡散されてしまうことが度々あります。

犯罪歴が知られた場合に受ける様々な不利益



前科等の犯罪歴を知られると、日常のいろいろな場面で不利益を被ることになってしまいます。具体的な例を見てみましょう。

就職活動や勤務先

就職や転職をする際に、採⽤先がネット上で名前検索をし、逮捕歴や前科を知られたら、不採用になる可能性が⾮常に⾼いでしょう。

また、会社内で前科を知られたり、逮捕されたことがあると判明すると、昇進できなかったり、左遷されたり、場合によっては解雇される可能性もあります。

公務員や一部の国家資格は、前科の内容次第で資格を失うことがあります(欠格事由といいます)。

公務員の場合、禁錮以上の刑が確定すると欠格事由とされ、執行猶予付きの場合は執行猶予期間が満了するまで、実刑の場合は刑期満了まで公務員になることはできません。また、現に公務員である者は失職することになります。

これらの期間が満了した後、または欠格事由に当たらない罰金刑の場合であっても、前科の内容次第では採用の過程で不利になることは十分に考えられます。

交際や結婚

逮捕歴や前科がある⼈とあえて結婚したいと思う⼈はあまりいません。愛していても、結婚はやめておこうと考える人が多いかもしれません。交際相⼿が結婚してもよいと考えていても、相⼿の親や家族からの反対も考えられます。

もちろん、戸籍や住民票、住民基本台帳などに前科が記載されることはありません。前科の記録は市町村、警察、検察庁で管理していますが、一般人に公開されることはありません。

したがって、結婚をする際に戸籍謄本をとったとしても結婚相手に前科がバレることはありません。隠して結婚する人も多いかと思われます。

ただし、前科を隠して結婚した後に前科が発覚した場合、離婚原因があるか判断するに当たっては、殺人や性犯罪などの重大犯罪の前科を隠していたことが考慮される可能性は大いに考えられます。

家族への迷惑

逮捕歴や前科があることが知られると、犯罪者の⾝内だということで、家族にも肩⾝の狭い思いをさせることになってしまいます。

⼦どもがいる場合には、その友⼈や家族に逮捕歴や前科を知られることは、いじめの原因にもなりえます。何としても知られたくないと願うのは当然です。

また、賃貸住宅を借りる際には、⼊居審査がありますが、この時、ネット上で実名検索をされて逮捕歴や前科を知られたら、契約できなくなるでしょう。家族がいる場合、やはり家族への迷惑となります。

前科や逮捕歴の報道

有名人や重大事件の犯人の逮捕は大々的に報道されますし、重大事件でない場合でも、犯罪の内容によってはニュースで犯人の逮捕が報道されることはよくあります。

他方で、刑事裁判で判決が確定するまでには時間がかかるので、逮捕・起訴され、仮に後に無罪が確定されたとしても、よほどの重大事件でない限り、無罪が確定されたことが報道されることはほとんどありません。

その結果、人々の記憶には、「あの人は犯罪者」という断片的なイメージだけが残り、事実と反する印象を抱かれることになりかねません。

上記のとおり、犯罪歴が知られることによる不利益は重大なので、逮捕の事実のみ大々的に報道・拡散されてしまうのは非常に困った問題です。

実名報道

テレビのニュースやインターネット上のまとめ記事などでは、犯罪や逮捕、前科に関する実名報道が行われることもよくあります。

実名報道がなされると、名前で検索された場合に、意図せぬところで犯罪歴を知られてしまう可能性が高くなります。実際に、企業が人を採用する場合や不動産会社が賃貸契約する場合など、実名検索を義務づけている会社も多くあります。

さらに、このような情報は、一度ネット上で拡散されてしまうと、完全に消去することが難しくなってしまいます。まさに、デジタルタトゥーです。

逮捕歴や前科の情報はどこで見つかるのか

逮捕歴や前科情報はどこで見つけられるのでしょうか。

だからこそ、あなたに前科等の犯罪歴があり、それが公表されている場合には、早い段階で対処することが重要です。

では、犯罪歴はどこで見つけることができるのでしょうか。

前科や逮捕歴がある場所

一般的に、前科等の情報は、次の場所で公表されています。

  1. 警察や検察、本籍のある市区町村の内部データベース
  2. 関係者の記憶や断片的な情報
  3. 国会図書館などの新聞
  4. インターネット
  5. 新聞データベース

インターネット

最も問題になるのは「インターネット」でしょう。

しかし、新聞社の運営するサイトや個人の運営する掲示板・ブログ等、その範囲は膨大なので、完全に把握することは困難です。

他方で、⼤⼿新聞のニュースサイトなどの場合には、⼀度掲載した記事を、半年や1年といった⼀定期間で⾃動的に削除しています。あまり古い記事がウェブ検索で簡単に出てしまうことは、やはり問題だからです。

とはいえ、「⼀次情報」である新聞社等のニュース記事が消えた後も、そのニュースをコピペしたネット掲⽰板や個⼈のブログ、SNSなどはネット上に残ったままなので、何もしなければ拡散され続けてしまします。

新聞データベース

新聞データベースについては、「新聞雑誌記事横断検索」というサービスがあります。

例えば、あるビジネスデータベースサービスでは、最も古くでは1984年8月(朝日新聞記事情報)から、朝日、読売、毎日、産経の全国紙の他、地方紙、専門紙、スポーツ紙、週刊誌等、約150紙誌の過去記事を一括して検索できます。

インターネットの情報だけでは調べきれない情報を、膨大な情報源から簡単に調べることができる有料サービスです。

この「新聞データベース」については、下記記事で、詳しく解説しています。

その他

「警察や検察、本籍のある市区町村の内部データベース」については、前科だけでなく逮捕歴も管理しています。これらは個人情報として厳格に管理されているため、漏洩でもしない限り、公表されることは通常ありえません。

また、「関係者の記憶や断片的な情報」は、探偵などがあたる先ですが、この方法で探す機会は限られていますし、個人の氏名から具体的な情報に辿り着けるケースは少ないといえるでしょう。加えて、信頼度が低い情報にすぎません。

「国会図書館などの新聞」も、理論的には可能ですが、現実問題としては、この方法で見つけるのは極めて難しく、まず見つからないといえるでしょう。

まとめ:前科等の犯罪歴の公表による被害に困ったら弁護士に相談しよう

前科等の犯罪歴が知られると、様々な不利益を被るおそれがあります。

そのため、削除に向けて速やかに対処する必要がありますが、実際に逮捕歴や前科を削除するためには、そもそも犯罪歴がどこで・どのように公表されうるのかを把握しなければ、迅速な対処は困難です。

さらに、仮に犯罪歴が公表されている場所を特定できたとしても、削除できなければ、風評被害は拡大し続けてしまいます。

したがって、前科等の犯罪歴が公表されていることでお困りの場合は、ネット関連の問題に専門的知識のある弁護士に相談しましょう。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネット上に拡散された風評被害や誹謗中傷に関する情報を看過すると深刻な被害をもたらします。当事務所では風評被害や炎上対策を行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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