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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

楽天トラベルにおける口コミの削除方法とは

風評被害対策

楽天トラベルにおける口コミの削除方法とは

楽天トラベルとは、国内旅行や海外旅行のプランや宿泊施設を検索して、予約することができるサイトです。楽天トラベルには、ホテルなどの口コミ(お客さまの声)を投稿できる機能もあるので、ユーザーはそれらの口コミを見て泊まるホテルを選ぶことができます。それらの口コミの中には、「〇〇ホテルのスタッフA、使えなさすぎ」「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」といったネガティブな口コミが投稿されていることがあります。そのようなケースでは、GoogleやYahooなどの検索エンジンや楽天トラベル内でホテルやツアーを探しているユーザーが、ネガティブな口コミを目にするリスクがあります。楽天トラベルにネガティブな口コミが書き込まれている場合、このような口コミの削除を依頼するといった対応は可能なのでしょうか。また、どのようなケースで弁護士へ相談するべきでしょうか。

楽天トラベルとは

楽天トラベルでは、キーワードや地図、日付から泊まれるホテルや旅館、ツアーなどを探して予約することができます。また、宿泊施設の口コミ(お客さまの声)を書き込んだり、口コミを見たりすることもできます。
楽天トラベルに宿泊施設のネガティブな口コミが書き込まれている場合、Googleなどの検索エンジンや楽天トラベルで宿泊施設や旅行ツアーを検索しているユーザーが、その宿泊施設への宿泊をためらってしまうおそれがあります。

楽天トラベルに投稿されるネガティブな口コミとは

楽天トラベルに投稿されてしまうネガティブな口コミ例をあげていきます。

楽天トラベルでホテルや旅館などの宿泊施設を検索すると、サービス、立地や食事などの評価と口コミを読むことができます。中には、誹謗中傷などのネガティブな口コミもあります。楽天トラベルに書き込まれるネガティブな口コミには、どのようなものがあるのでしょうか。以下に、考えられる口コミの例を示します。

ホテルのスタッフの実名が記載されている口コミ

ホテルの宿泊客が、「〇〇ホテルのスタッフA、使えなさすぎ」という口コミを投稿した場合です。宿泊客とホテルのスタッフとの間で誤解があり、誤解に基づいてそういった口コミが書き込まれてしまったというケースもありえます。このようなネガティブな口コミが投稿されたことにより、当該ホテルに宿泊者数の減少などの悪い影響を及ぼすリスクがあります。

「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」という口コミ

「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」という口コミが投稿されたケースです。投稿者の勘違いにより、似た名前や経歴で逮捕歴のある他人と混同されてしまっている可能性もあります。このような場合に、「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」と書き込まれてしまうと、当該ホテルは、その口コミの影響で宿泊者数の減少などの損害を受ける可能性があります。

その他、根も葉もない誹謗中傷投稿や風評被害投稿など

楽天トラベルには、宿泊施設などの満足度の範囲を超えて、当該宿泊施設やそのスタッフに対する誹謗中傷や風評被害の口コミが書き込まれてしまうケースもありえます。こうした口コミは、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの匿名掲示板の誹謗中傷書き込みや風評被害書き込みと同じく削除されるべきでしょう。5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の書き込みの削除依頼の方法については、下記記事にて詳細に解説しています。

楽天トラベル「お客さまの声」利用規約違反で削除請求する方法

「お客さまの声」利用規約に違反していると思しき口コミが投稿されている場合には、口コミ右下の「不適切なレビューを報告する」ボタンから報告することができます。

楽天トラベル口コミ報告ボタンの画面より

「不適切なレビューを報告する」ボタンを押して、楽天トラベルにログインすると、以下の画面が現れます。この画面の「報告する」ボタンを押すことにより、不適切な口コミを報告することができます。ただし、上部の注意書きによると、報告した口コミの削除を約束するものではないとのことです。

楽天トラベル口コミ報告画面より抜粋

楽天トラベル「お客さまの声」利用規約によれば、投稿情報が規約に違反していると判断された場合、当該投稿情報を削除できるものとされています。
楽天トラベル「お客さまの声」利用規約第7条第1項により、以下の内容を投稿する行為が禁止されています。

(1)対象となる宿泊・運送機関等以外の宿泊・運送機関等の名称、部屋番号、氏名その他特定の個人が識別できてしまう情報を含むもの
(2)他の投稿情報に対する評価、批判または意見を含むもの
(3)事実と異なるもの
(4)営利宣伝目的を含むもの
(5)法令や公序良俗に反するもの
(6)誹謗・中傷・差別的表現を含むもの、名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害等を含むもの
(7)不適切な表現、卑猥な表現を含むもの
(8)その他、弊社が不適当と認めるもの

https://web.travel.rakuten.co.jp/portal/my/toukou.guideline_display

この利用規約によれば、上記の例の「〇〇ホテルのスタッフA、使えなさすぎ」という口コミは、「対象となる宿泊・運送機関等以外の宿泊・運送機関等の名称、部屋番号、氏名その他特定の個人が識別できてしまう情報を含むもの」として報告できるものと考えられます。

違法を理由として削除請求する場合

違法な書き込みをされてしまった場合は速やかな削除請求を。

楽天トラベル「お客さまの声」利用規約第7条第1項(6)の「誹謗・中傷・差別的表現を含むもの、名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害等を含むもの」については、名誉毀損(名誉権の侵害)を検討するべきでしょう。名誉毀損の要件は、以下の三つです。

  • 公然と
  • 事実を摘示し
  • 人の名誉を毀損する

上記の例のように、「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」という口コミが書き込まれた場合であれば、「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」といった記載は、具体的な意味内容であり、逮捕歴のある支配人を採用しているホテルだと思われることは当該ホテルにとって不利益であるところ当該支配人に逮捕歴はなく、似た名前で逮捕歴のある人物と混同されているのではないか という主張をすることになります。ただし、名誉毀損の要件を満たしているとしても、以下の条件を満たしている場合は、名誉毀損は成立しませんので、注意が必要です。

  • 公共性がある
  • 公益性がある
  • 真実である又は真実相当性が認められる

上記の例に限らず、その他の誹謗中傷口コミや風評被害口コミも同じように、名誉毀損に該当するかどうかについて検討を加えるべきであると考えられます。ただ、こうした主張や法的な議論に基づく削除交渉は、法律に詳しくないと難しい可能性もあります。豊富な知識を持つ弁護士へ相談することにより、スムーズに削除できる場合もあります。名誉毀損の成立要件については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による削除

報告ボタンから通報しても口コミが削除されなかった場合は、裁判所を通じて削除を請求することになります。楽天トラベルの口コミは、訴訟手続によらなくても、仮処分という手続によって削除することが可能です。訴訟は、円滑に進んだとしても3-12ヶ月程度かかることが多く、1年以上かかってしまう場合もあります。一方、仮処分は、風評被害に強い弁護士へ相談すれば、依頼から削除まで2-3ヶ月ほどでできるケースが多いです。 仮処分の流れは、以下の通りです。

  • 仮処分の申立て
  • 審尋(口頭弁論のような手続)
  • 担保金の納付
  • 仮処分命令の発令
  • 執行

仮処分の場合、法的な主張だけでなく、その主張を裏付ける証拠も必要になります。例えば、上記の「△△ホテルの支配人、たまにテレビ出てるけど逮捕歴があるらしい」と書き込まれたケースであれば、

  • 当該支配人の経歴を記載した書面
  • 当該支配人と似た名前の人物に逮捕歴があることがわかる書面

などを証拠として提出し、「当ホテルの支配人には逮捕歴はなく、逮捕歴のある似た名前の人物と混同されているおそれがある」といった主張を行っていきます。ただし、このような主張やその立証を弁護士へ依頼せずに行うのはとても難しいものです。削除仮処分については、下記記事にて詳細に解説しています。

仮処分による投稿者の特定

仮処分により、投稿者の特定が可能となることがあります。

何の根拠もない誹謗中傷口コミや風評被害口コミが、長年にわたり多く投稿されている場合、弁護士に依頼して、発信者情報開示請求を行うことが可能です。発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条1項に基づく手続です。この手続により、誹謗中傷口コミや風評被害口コミの投稿者のIPアドレス、氏名、住所などの情報の開示を請求することができます。楽天トラベルには、誹謗中傷口コミを防ぐために利用規約が制定されていますが、ある宿泊施設やスタッフに恨みを持つ人物が根も葉もないデマや誹謗中傷口コミを投稿している場合もあるかもしれません。そのような場合、投稿者のIPアドレスなどがわかれば、発信者を特定することができます。発信者特定の手続は、以下の通りです。

  1. コンテンツ・サービス・プロバイダへ情報開示請求
  2. 発信者情報開示の仮処分申請
  3. 経由プロバイダを特定
  4. 経由プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分申請
  5. 発信者情報開示請求の訴訟
  6. 裁判所の判決に基づき、発信者を特定

上記の手続を終えて、投稿者を特定した場合、投稿者の特定に必要となった弁護士費用や慰謝料を、投稿者に対して損害賠償請求することができます。発信者情報開示請求については、下記記事にて詳細に解説しています。

まとめ

楽天トラベルは、ネット上で宿泊施設やツアーを検索して、予約することもできる便利なサイトです。ただ、すれ違いや悪意などに基づく誹謗中傷口コミや風評被害口コミが全くないわけではないでしょう。そういった悪質な投稿については、楽天トラベルへ違反報告をしたり、裁判所を通しての削除請求や投稿者特定手続をしたりした方がよい場合もあります。名誉毀損などの法的な主張は、弁護士へ依頼すれば円滑に進行することが多いです。誹謗中傷口コミや風評被害口コミでお悩みの場合は、豊富なノウハウを持つ弁護士に早めに相談することが重要です。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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