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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Instagramで著作権を侵害されたときの対処法

風評被害対策

Instagramで著作権を侵害されたときの対処法

あなたが撮影した写真等があなたの承諾なしに公表されたとき、あなたは著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害されたとして、訴えることができる可能性があります。ですが、著作権侵害については⼀部の例外を除き「親告罪」となっているため、著作権侵害をされた被害者が訴えない限りは加害者を罰することができません。

では、実際にネット上で著作権侵害をされていることに気づいた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。本記事ではInstagramで著作権が侵害された場合の対処法を解説します。

InstagramなどのSNSに投稿した画像が無断で使われる

InstagramなどのSNSに投稿した画像が無断で使⽤されている場合、⼀部の例外を除いては著作権侵害にあたります。誤解している人もいるのですが、Instagramの場合でも、アップした画像の著作権はInstagram側にはなく、その画像を作成した⼈にあります。Instagramの画像は専⽤のアプリを利⽤してシェア(リポスト)することが可能ですが、この場合も投稿元のアカウント名がはっきりと記載されている必要がありますし、無断で投稿されていた場合には、申請することで投稿を取り消すことが可能です

Instagramにおける著作権侵害

Instagramにおける著作権侵害について解説していきます。

Instagramにおいて著作権侵害が頻発していますが、これにはいくつかの理由が考えられます。

著作権法を理解していない人

商業写真や、明らかにプロが撮影したとわかる写真ならともかく、一般人が撮った写真であれば、著作権は問題にならず、無断引用しても著作権侵害にはならないと考えている人がいます。しかし、スマホなどによる自撮り写真にも著作権は認められ、それを撮影した人が著作権を有します

また、例えばある店の商品や店の外観などを撮影した写真がInstagramに掲載されていたとします。店や商品自体は店のものだから、Instagramでその店の紹介をしたり推奨する際には、店の許可を得る必要はないだろうと考える人が多いようですが、その写真の著作権を有しているのは、店ではなく、撮影した個人です。その他にも著作権法を理解していないために、指摘されてはじめて違反に気づく人が多くいます。著作権法は多岐にわたっており、把握が難しいものなのです。

例えば誰かがアップしたカラー写真をモノクロに加工し、その上に文字を加えた場合、元の画像とは異なって見え、オリジナリティがあるように見えるかもしれませんが、これも著作権法違反です。著作者には、著作物を勝手に改変されない「同一性保持権」という権利があるため、他人が勝手に加工することは許されません。投稿文章に字句を加えたり、変えたりしても、著作権侵害となる可能性があるのです。

Instagram特有の行き過ぎた承認欲求

「インスタ映えした写真を投稿したい」「いいねがたくさんほしい」といった心理は、Instagramのユーザーが増えるにつれて過激化しています。「他のユーザーより目立ちたい」という承認欲求から、よりたくさんの「いいね」をもらうために、著作権を無視する人が多いようです。「みんなやっているから大丈夫」という心理が働くこともあり、著作権侵害が加速度的に増加しています。

承認欲求が強く、SNSを頻繁に利用するタイプの人が、Instagramの利用率が最も高いという調査がありますが、著作権法を守りつつ、Instagramを楽しむべきです。

24時間で消えるという油断(Stories機能)

Instagramのストーリーズ機能は2016年8月に登場しましたが、日本でInstagramを使っている約3300万人のユーザー(2019年11月時点)の約70%が利用しています。このストーリーズ機能により、著作権侵害が増加したともいわれています。

ストーリーズ機能は24時間経過すると、投稿が自動的に消滅します。その結果フィード投稿よりも投稿のハードルが下がり、「すぐ消えるから大丈夫」「きっと友人や知人しか見ていない」という油断が生まれてしまうと指摘する人が多いのと言われています。この油断が炎上のリスクが高い投稿や、わざと炎上を狙うような過激な投稿の原因の1つとなっているという指摘もあります。

著作権侵害に気づいたら、どうすればいいか

著作権侵害に気づいたらすべき対処法とは?

Instagramの場合はコメント欄から相⼿に直接抗議できます。しかし、相手が対応してくれるとは限りません。著作権侵害に気づいていなかった人の場合、迅速に対応してくれることもありますが、自分の過ちを指摘されると逆切れしたり、意地を張ったりするという人も世の中には多くいます。また、当然かもしれませんが、罪の意識が無い人に対しては、抗議しても効果はありません。他人の写真を堂々とInstagramに無断転載している人は、自分が悪いことをしているという意識が無い人、もしくは意識しているけれど気にかけていない人がほとんどです。このような人達に対して、直接抗議してもあまり効果は期待できません。

そんな時は、Instagramに通報して、会社側から無断転載している相手にコンタクトを行い削除させることを、まず試してみるとよいかもしれません。

Instagramへの通報の方法

最後にInstagramへの通知の方法を紹介します。

パソコンからは、以下の方法で通報できます。若干面倒ですが、それほど時間はかからないので、試してみるとよいでしょう。

  1. 写真の無断転載を行っている相手のInstagramにアクセスします。
  2. 右上の「…」部分をクリックします。
  3. ウィンドウがポップアップで立ち上がるので、いちばん上の「不適切な投稿を報告」をクリックします。
  4. 「報告」画面となり、「この投稿を報告する理由」の選択となるので、「不適切である」をクリックします。
  5. もう一度「報告」となり、「この投稿を報告する理由」の選択となるので、「知的財産権の侵害」をクリックします。
  6. 「知的財産権の侵害に関するガイドライン」が出るので、これを読んだ上で、「ヘルプセンターで報告」をクリックします。
  7. 「知的財産権」の解説頁が開くので、「著作権」の部分の青字部分「詳しくは、著作権侵害の報告をご覧ください。」をクリックします。
  8. 「著作権」の頁となります。下で「著作権とは何ですか。何を保護するものですか。」等を解説してあるので、読んでみるとよいでしょう。一番上の「このセクションのよくある質問では~」の文章の最後の「こちらのフォーム」部分が青字になっているので、これをクリックします。
  9. 「Instagramでの権利の侵害を報告」となり、「侵害されている権利」として、「著作権」「商標」の選択となるので、「著作権」のラジオボタンをチェックします。
  10. すると、「著作権の報告で続行」と「著作権について」の選択となるので、「著作権の報告で続行」のラジオボタンをチェックします。
  11. 「著作権報告フォーム」が開き、「直面している問題に一番よく当てはまるものはどれですか?」の選択となるので、いちばん最後の「私の著作権を侵害していると思われるコンテンツがある」のラジオボタンをチェックします。
  12. 「ほとんどの国において、著作権とは、書籍、音楽、映画、芸術など、原作者が存在するオリジナル作品を保護する法律上の権利です。一般に、名前、タイトル、スローガン、短い語句などは、著作権保護の対象になるに足るオリジナリティを有するとはみなされません。また、一般に、著作権では事実やアイデアは保護されませんが、事実やアイデアを表現するオリジナルの言葉や画像は保護される場合があります。著作権について詳しくは、Facebookヘルプセンターの著作権セクションをご覧ください。」と出るので、了解したら、「著作権侵害の報告を進める」のラジオボタンをチェックします。
  13. もう一度、「知的財産侵害の報告の提出は、法に関わる重大な手続きです。誤解を招きやすい、またはその他の不正な形の侵害の報告を意図的に提出することは、アカウントの停止処分、ならびに米国デジタルミレニアム著作権法(DMCA)のセクション512(f)または他の国の同様の法律に基づく損害賠償責任に発展する可能性があります。」と確認してきますので、了解したら、「ご連絡先」の「連絡先情報を入力してください」のラジオボタンをチェックします。
  14. 「著作権所有者」の選択となるので、「自分自身または自分の団体」のラジオボタンをチェックします。
  15. 「報告されたコンテンツの投稿者に、権利所有者の名前やメールアドレス、報告の内容などの情報が通知されることにご注意ください。提供した情報を使用して、相手から連絡がくる可能性がありますので、仕事用のメールアドレスを使用することをおすすめします。」と出て、「氏名」「職務」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「権利者の名前」の入力欄が開きます。職務は選択なので、「その他該当なし」を選択しておけばいいでしょう。
  16. 「権利者の所在地」は「米国外」のラジオボタンをチェックすると、「国名」の入力欄が開きます。「日本」とします。
  17. 「報告するコンテンツ」の「報告したいコンテンツを指定してください」のラジオボタンをチェックすると、「報告するコンテンツのタイプ」の選択となるので、「写真または動画」をチェックします。
  18. 「報告するコンテンツへのリンク(URL)または配信IDを入力してください。」として、入力欄が開きます。複数リンクを同時に報告できます。ここが重要です。著作権侵害をしているコンテンツへのリンク(URL)または配信IDを書き込みます。
  19. その下の「コンテンツの報告理由」の「選択してください」をクリックし、「このコンテンツは私の作品をコピーしている」を選択します。
  20. その下の「自分の著作物」の「著作作品を提出してください」のラジオボタンをチェックすると、「自分の著作物に一番よく当てはまるのはどれですか?」と選択が出るので、「自分が撮影した写真」を選択すると、「あなたの著作物が適法に掲載されている例を確認できる場所」の入力欄が開くので、Instagramアカウントやウェブサイトへのリンク(URL)を入力します。添付ファイルを任意で追加することもできます。ここを、慎重に行いましょう。
  21. その下の「宣誓」の「宣言文の確認」のラジオボタンをチェックすると、「この通知を送信することで、報告に関連する上記の使用が著作権所有者やその代理人、または法律により許可されていないものであること、この通知に含まれる情報が正確なものであること、また虚偽の申し立てをすれば偽証罪に問われることを承知の上で、この著作権所有者の正式な代理人として行動する権限があることを表明するものとします。同意しますか?」と出るので、「はい」のラジオボタンをチェックします。
  22. 最後に「電子署名」の入力欄が開くので、あなたの氏名を書き込み、「送信」ボタンを押します。
  23. 確認画面が出るので、よく確認し、もう一度「送信」ボタンを押します。

これで通報は完了です。

送信後にInstagramから申告を受理した旨のメールが届き、素早く対応してくれた場合には、数時間で「当該ポスト除外」の連絡があります

これで解決すればいいのですが、必ずしも対処してもらえるとは限らないのが現状です。あるいは除外されても、相手が悪質であったり、意地を張ったりしている場合、さらに繰り返したり拡散したりして、炎上に繋がったりする可能性もあります。誤りを指摘されると逆切れする人は、どこにもいるのです。また、著作権侵害で大きな損益を被り、削除だけでなく投稿者を特定したいといった人もいるでしょう。これらの場合には、示談交渉や裁判で争うしかありません

まとめ

著作権侵害をされた場合、被害者は書⾯などで「差⽌請求」「損害賠償請求・不当利得返還請求」「名誉回復等の措置」という3つの⺠事上の請求を加害者に対して⾏って、⽰談交渉をすることができます。加害者が著作権侵害を認めず、⽰談が成⽴しない場合は、裁判で争うことになります。

⺠事上の請求をしたのに⽰談が成⽴しなかった場合、裁判所を通して話し合いをする「⺠事調停」、裁判所に判決を求める「⺠事訴訟」、捜査機関に対して事件の捜査、さらには加害者に対して処罰を求める「刑事告訴」のいずれかの⽅法で解決をはかることになります。法的な⼿続きが必要になる場合は、高度な専門知識を持つ弁護⼠に相談することがおすすめです。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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