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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Amazonカスタマーレビューの不当な評価を削除したい場合の方法

風評被害対策

Amazon では、カスタマーレビューといって、その商品を実際に使ってみての感想を、投稿・閲覧可能です。カスタマーレビューに書かれた内容を、商品を購入するかどうかの判断材料とする人もいれば、既に保有している商品やサービス、例えば、読んだ本や見た映画の評判が気になって検索する人もいるでしょう。

カスタマーレビューは有益な情報であることは間違いないのですが、不当な評価が寄せられることもあります。今回は、Amazonカスタマーレビューの不当な評価を削除するには、どうすれば良いのか解説します。

Amazonカスタマーレビューの概要

Amazonは米国生まれのネット通販サイトで、Amazon.comが運営しています。世界最大の河川アマゾンを由来とし、その名の通り扱う商品は膨大な数にのぼり、書籍・音楽・家電・アパレル・ベビー用品・食料品などを中心に2億種以上の商品を取り揃えています。ちなみにAmazonはもともと本屋であり、電子書籍(有料・無料両方)を提供するツールとしても有名です。

ネット通販サイトというと競合の楽天も有名ですが、楽天とAmazonの大きな違いは、在庫を持って販売しているかという点です。Amazonは出店するお店から商品を購入し、在庫として管理しています。一方、楽天は在庫を持たず、商品を提供する場だけ提供するというイメージです。Amazonは一般の事業主の方も商品を出品できるマーチャント@amazon.co.jpというサービスも開始したため、商品数が更なる増加を続けています。

Amazonで商品を選定・決定する際には、カスタマーレビューの量や内容に大きく影響されるでしょう。ネット通販では商品を手に取ったりお試しで使ってみたりすることはできないため、商品ページに掲載された写真やカスタマーレビューによる評価が購買行動に直接的な影響を及ぼします。

ただ、正直なところ、Amazonのカスタマーレビューの内容は信頼できるものとはいえません。Amazonではカスタマーレビューの内容を事前チェックしていないためです。これは、膨大な商品数を考慮すると、致し方ないといえます。

投稿者の中には販売者や企業への個人的な恨みなどから、低評価をつけたり商品と何ら関係のない批判を行ったりする人もいます。実際に商品を利用していないにも関わらず、敢えて悪い評価をつけることでストレス発散している輩もいます。

カスタマーレビューの内容が購買行動に大きく影響を与える以上、製品に対するネガティブな投稿を無視することは難しいといえます。商品の売上が落ちたなど実害が生じているなら、削除を検討する余地はあるでしょう。

前述の通り、Amazonは米国法人が運営するサービスです。このため、日本国内で日本人と思われるユーザーに対して訴訟手続きを行う際も、海外法人相手の裁判所手続きとなり、書面や一部証拠などの英訳が必要です。さらに、米国法人の登記も取得する必要があります。

これらの手続きだけでも、実費として20万円程度余計に費用がかさむことを知っておいたほうが良いでしょう。

Amazonのカスタマーレビューの風評被害についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

Amazonカスタマーレビューの削除に必要な要件

Amazonカスタマーレビューを削除するには、ガイドライン違反であることを示す必要があります。どういった場合にガイドライン違反となるのか、Amazonコミュニティガイドラインの内容を紹介した上で、解説していきます。

Amazonコミュニティガイドライン

カスタマーレビューを利用する場合、閲覧する場合も含め、Amazonコミュニティガイドラインを守る必要があります。ガイドラインに違反してしまうと運営の手により投稿が削除される可能性があります。

他の意見の尊重

Amazonでは多様な意見を尊重しており、他の投稿者の主張に同意できないことを示すことはガイドライン違反ではないとされています。ただし、多様な意見の尊重の観点から、以下のような行為は禁止されています。

  • 誹謗、中傷、いやがらせ、脅迫、扇動、卑猥、わいせつ、またはみだらな内容の投稿
  • 他のお客様のプライバシーを侵害する投稿(電話番号やEメールアドレス、住所など)
  • 他人や組織など本人以外のものになりすます行為
  • 他のお客様の投稿をかき消す行為
  • 他人の悪口や攻撃に関与すること

販促や宣伝行為

コミュニティの公平性の観点から、特定の商品の宣伝・販促活動は禁止されています。例えば、以下のような投稿は禁止です。

  • 自身や近しい間柄(親戚や友人、仕事関係者)の商品やサービスに関する投稿
  • 自身の競合他社の商品やサービスに関する投稿
  • 対価と引き換えに、他の人から依頼を受けて投稿する行為、対価を与えることを条件に投稿を依頼する行為、投稿することを条件に対価を要求する行為
  • 宣伝や勧誘

権利を侵害する投稿

知的財産権や所有権を侵害する内容の投稿も禁止です。例えば、個人のブログなどに書いてあるレビューをコピペし、そのまま個人の感想として投稿した場合、著作権の侵害となる可能性が高いです。

カスタマーレビューのガイドライン

上記以外にも、下記の通り、カスタマーレビュー専用のガイドラインが存在します。

・営利目的の投稿であるとの理由により、ガイドラインに抵触すると判断されレビューが削除または拒否された場合、同じ商品について内容を修正したとしても再投稿することはできません。

・Amazonで販売されている商品のURLやリンクのみ、レビューに記載可能です。

・同居のご家族による同じ商品のレビューの複数回投稿は禁止です。

・最良のお買い物体験を維持するために、異常なレビュー投稿を見つけた場合は、当該商品に関してレビュー投稿ができないように制限させていただくことがあります。

https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/?nodeId=201929730

一度ガイドラインに違反するとして投稿したレビューが削除された場合、その商品については二度とレビューを投稿することはできなくなるとのことです。

Amazonカスタマーレビューの不当な評価を削除する方法

上記で挙げたコミュニティガイドラインに違反する内容のレビューは、違反であることを報告すれば、削除することも可能です。各投稿には、違反を報告リンクが設置されているので、ここをクリックし理由を入力した上で送信しましょう。(違反を報告するにはAmazonアカウントへログインが必要です)

もし、違反を報告リンクが設置されていない場合は、「community-help@amazon.co.jp」にメールしましょう。違反していると思われる投稿がどれか分かるように説明し、違反の理由も書き加えて送信することで違反報告が可能です。

ちなみに、出品者評価の削除は別の方法を取ります。紹介した削除方法は、あくまでカスタマーレビューの削除のみのことなので注意してください。

違法を主張して削除請求を行う

ネットを見てみると、Amazonのカスタマーレビューの削除は難しいと言われています。もし、サイトへの削除依頼が失敗したのであれば、次なる手段として違法による削除請求を検討しましょう。違法による削除とは、裁判所に対してカスタマーレビューが法律に抵触していることを主張し、裁判所からサイトに対して削除に応じるよう、命令を出してもらうことです。

ネット上の口コミで違法を主張する際は、名誉毀損を主張することが多いです。名誉毀損の成立要件は「公然と事実を適示し、他人や団体の社会的評価を下落させる行為」です。例えば、化粧品のレビューで「この商品には人体に有害な物質が含まれている」と書きこまれたとしましょう。この内容が事実無根であれば、人体に有害な物質を販売している企業と知れ渡ると企業の評判は間違いなく下落するため、名誉毀損に該当する可能性は高いです。

しかし、もしこの内容が真実(=実際に化粧品には有害な物質が含まれている)であるならば、この投稿は公益性があると言えるため、名誉毀損を免れる可能性が高くなります。いくら社会的評判を落とす口コミでも、そのことを告発することで公共の利益に資すると言える場合は罪に問うことができません。

また、電話番号や住所など個人情報がレビューの中に書きこまれた場合でも、プライバシーの侵害を理由に、違法を主張することも可能です。ただ、Amazonコミュニティガイドライン上でもプライバシーの侵害については禁止事項として定められています。いくら削除の確率は低いとはいえ、個人情報がまともに記載されていたら、サイト側も削除に応じることでしょう。

違法による削除請求は仮処分という手続きをとる

カスタマーレビューの違法を主張して削除請求する場合、どのような手続きを取るのか紹介します。裁判所を通じた手続きとなるのですが、その際は裁判ではなく仮処分という手続きが取られます。

仮処分とは、裁判で実質的な審理を行う前に、希望の状態を実現させることを指します。「口コミを削除しろ」との仮処分命令が、裁判の前に発出されることになります。仮の処分とはいえ、裁判所からの正式な命令なので、サイト側はほぼ削除に応じるでしょう。手続きに必要な期間としては平均1~2か月程度と、裁判に比べると迅速な手続きが可能なため、ネットの口コミ削除ではよく用いられる方法です。

ただし、仮処分が認められるためには、そのレビューが違法であると認められることが必要です。どのような権利を侵害しているか、どういった事実に基づいて侵害していると言えるのか等、法的な議論が求められます。こうした主張は素人の手だけでは厳しいため、法律のプロである弁護士の手に依頼すべきと言えるでしょう。当事務所は、ネットの誹謗中傷に強い弁護士が在籍しているので、カスタマーレビューの不当な評価にお悩みの方は、一度ご相談にいらしていただけますと幸いです。

カスタマーレビューの投稿者を特定することも可能

仮処分では、削除だけでなく不当な投稿をした投稿者を特定することも可能です。通常、匿名の投稿の投稿者を特定する際は、まずサイトの運営側にIPアドレスの開示を求める仮処分手続きを行い、次にIPアドレスから判明したプロバイダに対して住所・氏名の発信者情報開示請求訴訟を行うという流れになります。

しかし、amazonは通販サイトという特殊性から、IPアドレスのみならず
アカウント情報としてユーザー情報(氏名、住所、メールアドレス) を保有しています。つまり、IPアドレス開示請求を経ることなく、直接サイト側に住所や氏名の開示請求手続きを取ることが可能なのです。

住所氏名の開示請求は訴訟手続きによる必要があります。これらの情報は重要な個人情報のため、投稿者のプライバシー保護の要請も働きます。より慎重な議論が求められるため、裁判でじっくりと審議する必要があるのです。

https://monolith.law/reputation/amazon-review-comment-specific

まとめ

Amazonカスタマーレビューの不当な投稿を削除する方法を紹介しました。Amazonコミュニティガイドラインに違反することを証明すれば、サイト側に依頼し、口コミの削除が可能です。まずは各投稿の「違反を報告」画面を利用し、削除依頼を出してみましょう。

失敗に終わった場合、その投稿が違法であるならば、裁判所を通じて、削除命令を出してもらうことも可能です。ただしこの場合、裁判所を通じた手続きであるため、法律に違反していることを主張・立証する必要があります。

法律的な内容の主張は、法律の専門家の手に委ねなければ厳しいと言えます。当事務所では、ネットの誹謗中傷に強い弁護士が在籍していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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