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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

IT・ベンチャーの企業法務

ネットショップ運営と法律 景品表示法・電子契約法

今や私達にとって身近になったネットショッピング。購入するだけでなく、誰でも気軽にネットショップを開設できるようになりました。ただし、ネットショップ運営には様々な法律が関係しています。該当する法律に従った表示やサイト構成を行わないと、違法と判断される可能性があります。では具体的にどのような法律が問題になるのでしょうか?今回は景品表示法と電子契約法について解説します。 特定商取引法と不正競争防止法についても解説していますのでご参照ください。

ネットショップ全般に関わる法律

景品表示法

景品表示法は、商品・サービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額等を制限することなどにより、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。BtoCビジネスを展開する企業は特に注意すべき法律でしょう。

品質や価格などは、消費者が商品・サービスを選ぶ重要な基準になるので、その表示は正しく、分かりやすいことが大前提です。ところが、商品・サービスの品質や価格について実際よりも著しく優良又は有利と見せかけるような表示が行われると、消費者の適切な選択が妨げられてしまいます。このため、景品表示法では、一般消費者に商品・サービスの品質や価格について、実際より著しく優良又は有利であると誤認される表示(不当表示)を禁止しています。景品表示法に違反する不当表示については、事業者側に故意・過失がなかったとしても、景品表示法に基づく措置命令が行われることとなります。

不当表示は大きく分けて、「優良誤認表示 」「有利誤認表示 」「その他 誤認されるおそれのある表示」の3つに分けられます。

優良誤認表示

商品やサービスの品質、規格などの内容について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示は、優良誤認表示として禁止されます。実際には、国産有名ブランド牛ではない国産牛肉であるのに、あたかも「国産有名ブランド牛の肉」であるかのように表示する場合などがこれに当たります。

なお、消費者庁は、商品・サービスの効果や性能に優良誤認表示の疑いがある場合、その事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、当該資料が提出されない場合、当該表示は不当表示とみなされます。

例えば、ダイエット食品の痩身効果のように、食事制限をすることなく痩せられるかのように表示していたが、実際には、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料はなかったという場合などが規制されますが、これを「不実証広告規制」といいます。

有利誤認表示

景品表示法は、価格を著しく安く見せかけるなど、取引条件を著しく有利にみせかける表示を有利誤認表示として禁止しています。他社製品と同程度の内容量なのに、「他社製品の2倍の内容量」と表示したりすることがこれに当たりますが、「通常価格より2割引き」などとして、実際には設定したことがない価格をならべて表示する不当な二重価格表示もこれに当たり、禁止されています。

その他 誤認されるおそれのある表示

景品表示法上、事業者は、優良誤認表示及び有利誤認表示以外にも、自己の供給する商品又はサービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示を行ってはならないとされています。

「商品の原産国に関する不当な表示」「おとり広告に関する不当な表示」等、公正取引委員会が6つの告示を定めています。

また、景品表示法では、過大な景品類の提供が禁止されます。

例えば、商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供する「一般懸賞」では、懸賞による取引価額が5000円以上の場合、最高額は10万円、総額は懸賞にかかわる売り上げ予定総額の2%と、限度額が定められています。

電子契約法(正式名称:電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)

電子契約法の正式名称は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といいます。インターネットを介したショッピング中に起きた操作ミスを救済する「電子消費者契約における錯誤無効制度の特例」、ならびに契約締結とされるタイミングはいつなのかを定義する「電子商取引における契約の成立時期の明確化(発信主義から到達主義に変換)」を定めた法律です。

電子契約法の内容は2つです。

電子商取引などにおける消費者の操作ミスの救済

ネットショッピングなど、いわゆるBtoC(事業者・消費者間)ビジネスの電子契約においては、消費者側が操作ミスから、本来意図していなかった商品の注文やサービス利用申し込みを行なってしまう場合があります。例えば、ネットショップ利用時に、1点の商品を申し込んだつもりが、操作ミスから11点の申し込みをしてしまったというケースなどがあり得ます。

この場合、消費者は「錯誤」について定められた民法第95条を活用し、ショップ側に契約の無効を主張(契約の錯誤無効の主張)することが考えられます。

しかし民法第95条では、事業者側から「消費者の操作ミスは重大な過失にあたるため、契約は有効に成立している」と(錯誤無効が「重大な過失」にあたるとの反論)主張されてしまう可能性があります。

このように、民法では「重大な過失」があったかどうかをめぐって、事業者と消費者間でトラブルに発展する場合が多くあったのですが、電子契約法が施行されたことにより、消費者の操作ミスが救済されることになりました。

具体的な例としては、ネットショップで注文する際に、「注文内容確認画面」など商品名や個数、合計金額などが明記された申し込み内容を消費者が最終確認できる画面を用意するなどの措置を事業者側が講じていなかった場合、消費者側の操作ミスによる誤った申し込みの意思表示は無効となります。

また、動画の再生ボタンを押した途端に入会完了画面が表示されて、「動画の再生ボタンを押したのだから利用規約に同意したとみなします」というような注釈があり、当該のサイトから金銭を請求されたような場合にも、事業者側が利用規約や契約内容を事前にわかるように提示していなければ、契約は無効となり、利用者は利用料金を支払う義務は負わないと主張できます。

このように、電子契約法が施行されたことによって、消費者側の望まない契約を回避することができるようになったのです。もちろん、消費者もしっかりと確認を行なう必要はあります。

契約の成立時期の転換

通常の契約においては、契約成立のタイミングは、「申し込み」の意思を発信した瞬間です。ネットショッピングを例にすると、消費者が申し込み内容の最終確認画面を経由して「注文する」というボタンを押して通知が発信されたタイミングで、売買契約が成立します。

このとき、ボタンを押したあとに通信障害等のエラーによって申込者に通知が届かなくても、契約が成立したことになってしまいます。

しかし、電子契約法においては、事業者側が内容を確認し、申込者である消費者に注文承諾の通知が届いた時点、例えばメールであれば、メールサーバーにメール情報が記録され消費者が確認しうる状態になった時点で、契約が成立することになりました。

つまり、消費者がメールを開封したタイミングではなく、メールが受信ボックスに届いて開封可能な状態になった時が、契約が成立したタイミングとなります。

電子契約法により契約の成立のタイミングが明確に定義されたことで、ウェブサイトやメールに記載されたURLをクリックしたことで契約したとみなされる「ワンクリック詐欺」のような、意図しなかったり同意しなかったりする一方的な契約から、利用者が守られることとなりました。

まとめ

ここでは、ネットショップ運営に関係する法律のうち、「ネットショップ全般に関わる法律」として、景品表示法・電子契約法を解説しました。

独立行政法人国民生活センターが2021年5月21日に更新したデータによれば、2020年のインターネット通販に関する相談件数は約26万件(消費生活センター等からの経由相談は含まず)でしたが、ここで解説した2つの法律に関わるものが最も多いので、注意する必要があります。

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モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。近年、ネットショッピングは私達の生活になくてはならないものになりつつあり、リーガルチェックの必要性はますます増加しています。当事務所ではネットショッピングに関するソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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