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IT・ベンチャーの企業法務

生配信アプリの投げ銭サービスと資金決済法・資金移動業の関係とは

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生配信アプリの投げ銭サービスと資金決済法・資金移動業の関係とは

今、17LIVEやPocochaなど、投げ銭ができる生配信アプリが人気です。いまや、YouTubeにも「スーパーチャット」として導入され、知名度が上がっている投げ銭サービスですが、サービスを始める際には気を付けるべきポイントがあります

本記事では、投げ銭サービスの開始を検討中のアプリ運営会社向けに、どのような点に注意する必要があるのかを解説します。

投げ銭サービスとは

視聴者から配信者へ金銭やそれに代わるものを送ることができるサービスのことです。

動画に限らず、文章や写真、イラストに対して投げ銭ができるシステムもあります。配信者のモチベーションにつながったり、視聴者が配信者を直接応援することができたりするなどの利点があります

投げ銭サービスが違法にならないための注意点

投げ銭サービスの運営にあたっては、サービスの内容に気をつけないと違法になってしまう可能性があります。

個人間送金サービスの種類

一見「個人が個人へ送金する」点で同じに見えるサービスでも、資金移動業、前払式支払手段発行業、収納代行業など適用されている仕組みはさまざまです

たとえば、LINE Payは資金移動業者、PayPayは前払式支払手段発行業者です。収納代行業者としては、paymoがありましたが、現在はサービスが終了しています。

この中で、投げ銭サービスは、資金決済に関する法律(以下、資金決済法)上の資金移動業に該当する可能性がありますが、資金移動業を行うためには登録を受ける必要があります。資金移動業の登録には厳しい要件がありますので、要件を満たせそうにない場合は資金移動業に該当しないよう気をつけなければなりません。

自社ポイントの移動・交換と資金決済法の資金移動業については、以下の記事で詳細に解説しています。

資金移動業の登録をせずに投げ銭サービスを行うには

資金移動業の登録をせずに投げ銭サービスを行いたい場合は、以下の仕組みを利用することになります。

前払式支払手段発行業

前払式支払手段とは、商品券やギフト券、Suicaなどのプリペイドカードやウェブ上で利用できるプリペイドカードのことです。カードのポイントなども発行形態によっては前払式支払手段にあたります

この前払式支払手段(自家型)発行者として届出をして投げ銭サービスを行っているのが、SHOWROOMです。

SHOWROOMでは、視聴者は前払式支払手段にあたるShowGoldを購入し、配信者へ投げ銭をすることができます。ただ、このShowGoldが直接配信者へ支払われるわけではなく、SHOWROOMの運営者が視聴者数などをもとに独自に算定した分配金が支払われる仕組みになっています。この仕組みは、一見投げ銭サービスのように見えますが、視聴者が送ったShowGoldが、直接配信者に届くわけではないという点が従来の投げ銭サービスとは異なる点です。

前払式支払手段(自家型)発行者として事業を行う場合、基準日において未使用残高がその発行を開始してから最初に基準額(1000万円)を超えることとなったときには、その基準日から2か月以内に届出を行う必要があります。また、発行保証金の供託を行わなければなりません

「独自発行ポイントが資金決済法の前払式支払手段に該当する場合」はどのようなケースなのかについては、以下の記事をご参照ください。

収納代行業

収納代行業とは、商品などの対価を支払う際に、サービス事業者が買主から売主に代わって代金を受領するものです

かつて、割り勘アプリとも呼ばれたpaymoは収納代行業としてサービスを提供していましたが、2019年12月20日付「金融審議会決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告」によれば、今後はこうした割り勘サービスにも資金決済法の規制が及ぶ可能性が出てきました。

金融審議会 決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告

こうした流れの中で、たとえ収納代行の形式をとっていても、資金決済法等の為替取引に関する規制の適用対象となるリスクがあるため、注意が必要です

資金移動業の登録を受けるには、

  • 投げ銭をする人がアプリ上でアカウントを作る
  • 投げ銭をする人がそのアカウントに入金して配信者のアカウントに送金指示を行う
  • 配信者は指定のアカウントでそのお金を受け取る

といった形式で投げ銭サービスを行いたい場合は、資金移動業の登録が必要になります。

資金移動業の登録要件

資金移動業の登録要件は、以下の通りです。

1. 「株式会社」又は「国内に営業所を有する外国資金移動業者」であること

2. 「資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎」を有すること

3. 「資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備」および「第3章 資金移動」の規定を遵守するために必要な体制の整備」が行われていること

4. 他の資金移動業者と同一又は類似の商号・名称を用いていないこと

5. 過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、資金決済法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消されたことがないこと

6. 過去5年間に、資金決済法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑又はこれに相当する外国の刑に処せられたことがないこと

7. 他に行う事業が公益に反しないこと

8. 取締役等に不適格者がいないこと(後略)

一般社団法人日本資金決済業協会

資金移動業者にかかる規制

資金移動業者には、以下の規制がかかります。また、ユーザーは本人確認を行う義務を課されます。

  • 履行保証金の供託
  • 利用者の保護を図るための措置を講じる
  • 裁判外紛争解決制度(金融ADR制度)への対応

まとめ

投げ銭サービスが資金移動業に該当する場合は、資金移動業の登録を受ける必要があります登録を受けるには厳しい登録要件を満たさなければなりませんので、登録を受けるのが難しそうな場合は、サービスが資金移動業に該当しないようによく検討しましょう

ただ、資金決済法などの法律には複雑な点もあり、また、投げ銭サービスは新しいサービスのため、どういったサービスに資金移動業の規制がかかるのかについては議論が続いている状況です。

サービスを始めてから「実は資金移動業の登録が必要だった」ことが分かれば、サービスを停止を余儀なくされることもあります

ご心配な場合は、サービス開始前にインターネット関連の法律に詳しい弁護士へ相談する必要があるでしょう。

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