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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

IT・ベンチャーの企業法務

eスポーツスクール運営に関する法的留意点

IT・ベンチャーの企業法務

eスポーツスクール運営に関する法的留意点

最近はテレビなどでもeスポーツを目にする機会が増えてきました。

eスポーツはもともと、欧米や中国を中心に人気が高まったもので、最近では日本でも急速に認知度が高まっています

大手企業がeスポーツの開催に関わる事例も目立ち始めました。

一昔前は、子どもがゲームをすることをネガティブに捉える親が普通でした。しかし、近年はeスポーツ人気の高まりによって、ゲーム自体の教育的効果が見直され始めたことや、獲得賞金額に注目が集まったことで、子どもにeスポーツを習わせたいというニーズも生じています。

このようなニーズに対応するeスポーツスクールも開設され始めています。

もっとも、eスポーツスクールは非常に新しいビジネスモデルです。このため、法的に何が問題になるか未整理の部分も多いといえます。

そこで、eスポーツスクールの運営者に向けて、eスポーツのスクール運営をする上で注意すべきこと、入会規約等についておさえるべきポイント等を解説します。

なお、eスポーツと企業の関わりに関しては、以下の記事で詳細に解説しています。

そもそもeスポーツとは

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称であり、コンピューターゲームをスポーツ競技とするものをいいます。

eスポーツでは、ゲーマーが選手として参加してゲームの腕を競い合う大会が開催されており、人気の大会ともなると優勝賞金額が億単位となることも珍しくありません

また、ゲームに関しては瞬発力などの面で若年層の方が有利とされており、実際、10代の優勝者が巨額の賞金を手にしたというニュースもありました。

もともと、欧米や中国で人気が高まったeスポーツでしたが、日本国内でも景品表示法との抵触問題などの法的問題点がクリアになってきていることから、急速にeスポーツが広まっています。

なお、eスポーツ大会と景品表示法の関係については、以下の記事で詳細に解説しています。

eスポーツスクールのカリキュラム

eスポーツ人気の高まりに応じて、子どもにeスポーツを習わせたいという親が増えています。]

また、自分でeスポーツを学びたいという生徒もいることでしょう。

eスポーツスクールといっても、カリキュラムやターゲットはさまざまです。eスポーツスクールのターゲットの大半はeスポーツ大会へ出場しプロゲーマーとなることを目指す人です。

特に、eスポーツは若年層が取り組むことが多いことから、小学生から高校生までの未成年からのニーズが高いものと思われます。

eスポーツスクールのカリキュラムとしては、eスポーツの実技がメインとなります。このため、eスポーツスクールとしては、実力や人気のあるゲーマーを講師として揃える必要があります。

eスポーツスクールの受講形態としては、専門学校でeスポーツ向けのコースを設けることもあれば、オンラインによる個別指導まで大きな幅があります。

子ども向けeスポーツスクール

子どもの習い事としてのeスポーツの場合にはリアルの教室を開設することもありますが、自宅で受講できるオンラインのeスポーツスクールも人気があるようです。

オンラインでの受講であれば、eスポーツスクール運営側としても、設備を用意する必要がないので比較的容易にスクールを始めることができます。

また、子ども向けのeスポーツスクールの場合、生徒となる子どもはまだゲームを初めて間もないことが多いため、内容としては入門的なものになるでしょう。

eスポーツの専門学校

他方で、すでにeスポーツ経験がある高校生が実力を磨くためにeスポーツの学科や専攻がある専門学校に通うこともあるようです。

この場合には、学校内にゲームをするための専用の設備やモニター等を設ける必要があります。

専門学校の場合には学費も高額になりますので学生が慎重に選択する傾向があり、オープンキャンパスの開催や学校の魅力を説明するための資料などを配布して、学生からの出願を待つことになります。

また、専門学校の場合には、在校生や卒業生の活動が学生に選んでもらうためのポイントとなるでしょう。例えば、在校生が有名な大会で優勝したとか、卒業後もeスポーツに関わって生計を立てているといった情報が学生にとっては重要な指標となります。

eスポーツスクールの入会規約

一般的にeスポーツスクールの運営を始めようとする場合、会員との間で適用される入会規約を作成する必要があります。

そこで、以下ではeスポーツスクールの入会規約の代表的な条項について解説します。

会費に関する条項

1.会員は、当社が定める年会費、月会費その他実費を当社が指定する方法により支払うものとする。

2.当社は、理由を問わず、会員から受領した年会費、月会費その他実費を会員に返却しない。

会費等の支払に関する条項は、利用規約に必ず定める必要があります。

もっとも、会費の金額は、会員が選択するコース等によって異なる料金体系が適用されるなど複雑になることが多いため、条項例のように入会規約には別途事業者側が指定すると定めるにとどめることもよくあります

ただ、会費の金額がそれほど複雑でなく入会規約に簡潔に記載できるのであれば、規約内の条項に明示することがよいでしょう。

受講中のトラブルに関する条項

1.会員がeスポーツスクールにおいて負傷する等のトラブル(以下「当該トラブル等」という)に巻き込まれた場合には、当社の職員等が応急手当や救急依頼等を行う。

2.会員が未成年者である場合には、当社は当該トラブル等の経緯や内容について保護者に説明する。

3.当該トラブル等の発生が当社の責めに帰すべき場合をのぞき、当社は当該トラブル等によって会員に生じた損害を賠償する責任を負わない。

eスポーツは他のスポーツ競技と比べると、負傷などのトラブルが発生するリスクは低いといえます。

もっとも、リアルの教室でeスポーツスクールを運営するのであれば、念のため教室内での負傷等のトラブルについての条項を設けておくとよいでしょう。

スクールにおけるトラブル対処の基本は、自己責任となります。ただし、事業者側は合理的に必要といえる手当等は当然に行う必要があります。

また、生徒が未成年者である場合には、親に対してトラブルの経緯等について説明すべきでしょう。

なお、eスポーツスクールをオンラインのみで開催する場合には、当然ながら教室内での負傷リスクはありませんので、上記の条項は不要となります。

受講生の写真等の使用に関する条項

当社は、会員から別途同意を得た場合に限り、会員が写った写真を当社のWEBサイトやプロモーション資料等に無償で掲載することができる。

eスポーツスクールとしては、自社のプロモーション用に受講風景や受講生のインタビューなどをWEBサイト等に掲載したいということがあります。eスポーツに限ったことではありませんが、人の写真を無断で公開することは肖像権やプライバシー権の侵害となるおそれがあるため、必ず事前に本人から同意を得ておく必要があります。

特にWEBサイト上で自分の写真が公開されると、インターネットの性質上完全な削除が難しくなります。このため、インターネットの掲載には抵抗感を持つ人が少なくありません。

そこで、入会規約の中で包括的に会員は写真の掲載に同意することを定めるよりも、入会の際に個別に本人から掲載の可否を確認することをおすすめします。

その際には、掲載する媒体の種類を特定して同意するかを確認すること、本人に同意又は不同意のチェックを入れてもらい事業者が紙かデータで保存しておくことが重要です。

まとめ

eスポーツの注目の高まりとともに、eスポーツスクールに通いたいと考える人は今度も増えていくものと思われます。事業者側からするとeスポーツは非常に魅力的なマーケットであることは間違いないでしょう。

ただし、eスポーツ自体が日本では黎明期にあり、eスポーツスクールの法的問題点はまだ明確になっていないところがあります。

このため、入会規約については最低限必要と思われる条項をカバーした上で、実際に運営しながらよりよいものに改変していく作業が必要となるでしょう。

eスポーツスクールの運営者としては、定期的に弁護士などの専門家に相談をする機会が多いと思われます。

eスポーツに関しては取り組んでいる弁護士がまだ少ないため、弁護士に相談する際には少なくともeスポーツに対して情報発信をしているなど一定の知識があるかどうかを確認することをおすすめします。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。

eスポーツスクールを開校し、生徒を募集するにのあたって契約書の作成が必要です。

当事務所では、東証プライム上場企業からベンチャー企業まで、様々な案件に対する契約書の作成・レビューを行っております。もし契約書についてお困りであれば、下記記事をご参照ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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