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IT・ベンチャーの企業法務

社員がeスポーツを副業にして賞金を稼ぐことは禁止できるのか

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社員がeスポーツを副業にして賞金を稼ぐことは禁止できるのか

eスポーツとは、コンピューターゲームやビデオゲームなどを使用して行う競技をスポーツとしてとらえるものです。eスポーツ業界は、近年盛り上がっており、賞金制の大会も多く開催されています。中には、ゲームの賞金で生計を立てるプロゲーマーもいます。

それでは、社員がeスポーツで賞金を得ている場合、会社側はそれを副業とみなし禁止することはできるのでしょうか。本記事では、その点をお悩みの企業の方向けに解説していきます。

eスポーツとは

eスポーツは、簡単に言えば、ビデオゲームの対戦をスポーツとしてとらえるものです。2018年1月、一般社団法人日本eスポーツ連合が設立され、プロライセンス制度を作るなどしてeスポーツの振興をはかっています。プロライセンス制度により、賞金制大会が景品表示法の規制に引っかかるおそれが低くなったため、賞金制大会を開催しやすくなりました。また、国内大会や国際大会なども数多く開催されており、eスポーツ人口は今後ますます増えていくことが予想されます。

社員がeスポーツの大会で賞金を得ている場合、副業にあたるのか

企業の担当者としては、社員がeスポーツの大会で賞金を得ている場合、副業にあたるものとして就業規則の副業禁止規定を適用できるのかどうかが気になるところかと思います。ただ、eスポーツで賞金を得ているといっても実態はさまざまです。その実態に即して判断していく必要があります。

eスポーツの大会で得た賞金には、税金が課税され、確定申告を行わなければなりません。その際に、所得区分が一時所得になっているのか事業所得になっているのかは、一つの判断の基準になるでしょう。

ただし、社員が住民税を普通徴収にしている場合は、会社側からは副収入があるかはわかりません。社員がそのような対策を行っておらず、副収入を得ていることがわかった場合でも、収入の内容まではわからないため、所得の区分で判断した上で社員と話をする必要があります。

賞金を一時所得として確定申告している場合

オンラインゲームを趣味としている社員が、休日に大会に参加してたまたま賞金を得た場合は、一時所得に該当する可能性が高いでしょう。その場合は、単なる趣味と認められるため、副業とみなして禁止規定を適用するのは難しい可能性が高いです。

賞金を事業所得として確定申告している場合

継続的に大会に出て賞金を得ている場合や、プロライセンスを取得している場合は事業所得に該当する可能性が高いです。そのようなケースでは、賞金額や賞金を得ている回数にもよりますが、副業とみなして就業規則違反とすることができるものと思われます。

副業にあたるかどうかの基準

eスポーツの大会で賞金を得ることが副業にあたるかどうかについては、明確な基準があるわけではありません。賞金の額や賞金を反復継続的に受け取っているのかどうか、賞金の所得区分(一時所得または事業所得)などを総合的に見て判断していくしかないと言えます。

就業規則の副業禁止規定の効力

そもそも、副業を禁止する就業規則の規定には、法律的な根拠はあるのでしょうか。
実は、労働法や民法等労働に関連する法律では、副業を禁止する規定はありません。ただし、公務員の場合は、国家公務員法第104条に基づき、報酬を得て事業に従事する場合は内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要するものとされています。

裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように過ごすかは、基本的には労働者の自由であり、下記の場合を除いて企業がその自由を制限することは許されないと考えられています。

  • 本業に明らかな支障をきたす場合(副業にあてる時間が長く、毎日深夜まで及ぶ場合など)
  • 企業秘密が漏洩し、守秘義務違反にあたる場合(同業他社で副業をする場合など)
  • 企業の名誉を損なったり、信頼関係を破壊したりする場合(反社会的勢力と関わるような副業をする場合など)
  • 競業により企業に不利益を与える場合(本業と同じ業種を副業として行っている場合など)

社員がeスポーツで賞金を得ていた場合であっても、上記にあてはまらないと考えられるならば、副業禁止規定を適用して懲戒処分等を下すのは難しいかもしれません。

まとめ

社員がeスポーツの大会で賞金を得ている場合、得ている賞金の額や確定申告の所得区分などを見て副業にあたるかどうかを判断していくことになります。ただ、社員が対策をしていれば副収入があるかどうかはわかりませんし、はっきりとした基準が示されているわけではありません。

また、就業規則で副業を禁止していても、公務員を除いて法的な拘束力はないため、効力を持たない可能性もあります。社員と話し合う前に、懸念点をあらかじめ弁護士に相談するのも一つの選択肢としておすすめです。

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