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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

IT・ベンチャーの企業法務

メルマガ配信におけるオプトイン手続きの方法

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メルマガ配信におけるオプトイン手続きの方法

メールマーケティングにおいて以前はダイレクトメールが中心でしたが、インターネットが普及した現在では「メルマガ(メールマガジン)」の重要性が増大しています。

クリックするだけで世界中のユーザーにメルマガを配信することができる手軽さとスピード、そして低コストはメルマガの大きな魅力です。

しかし、メルマガを配信するには関係法令に従って行わなければ、懲役や罰金などの処罰を受ける可能性があります

特に重要な「オプトイン規制」についてよく知らない方が多いので、今回は安全にメルマガ配信を行うために必要な「メルマガ配信におけるオプトイン手続きの方法」についてわかりやすく解説します。

オプトイン規制とは

「オプトイン(Opt-in)」とは、受信者が事前に特定電子メールの送信者に対し、メール送信を求めること、またはメールを送信することに「同意」を与えることで、「同意」の意思表示のない受信者に対する電子メール広告の原則禁止を「オプトイン規制」と呼びます

2008年の法改正までは、送信者に受信拒否の通知「オプトアウト(Opt-out)」を行った受信者へのメール送信を禁止する方式を採用していましたが、件数の増加により「オプトイン方式」に変更されました。

オプトイン規制の基本となるのは、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)第3条第1項です。

第3条 (特定電子メールの送信の制限)
送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。
1. あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者(電子メールの送信を委託した者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)をいう。以下同じ。)に対し通知した者
2. 前号に掲げるもののほか、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを送信者又は送信委託者に対し通知した者
3. 前二号に掲げるもののほか、当該特定電子メールを手段とする広告又は宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者
4. 前三号に掲げるもののほか、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人(個人にあっては、営業を営む者に限る。)

特定電子メール

「特定電子メール」とは、営利を目的とする送信者(団体・個人)が広告又は宣伝のために送信する電子メールのことですが、次のようなメールも「広告又は宣伝のために送信する電子メール」に該当します。

  • 営業上のサービス・商品等に関する情報を広告又は宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することがその送信目的に含まれる電子メール
  • SNSへの招待や懸賞当選の通知、友達からのメールや会員制サイトでの他の会員からの連絡などを装って営業目的のウェブサイトへ誘導しようとする電子メール

ただし、以下のような電子メールは「特定電子メール」には該当しません。

  • 取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知であって広告又は宣伝の内容を含まず、広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メール
  • 単なる時候の挨拶であって、広告や宣伝の内容を含まず広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メール
  • 非営利団体である政治団体・宗教団体・NPO法人・労働組合等が送信する電子メール

罰則

特定電子メール法に違反すると、総務大臣及び内閣総理大臣は送信者に対し「適合命令」や「改善命令」「登録の取り消し」などができます。

また、送信者情報を偽って送信した場合や各種命令に従わない場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金)に処せられることになります。

オプトイン規制の例外

オプトイン規制では受信者が特定電子メールの送信に対する「同意」の意思表示を行った場合の他に、次に定める者に対し特定電子メールの送信を認めています。

書面により自己の電子メールアドレスを通知した者

名刺などの自己の電子メールアドレスが記載された「書面」を渡した場合、相手方から電子メールの送信が行われる可能性があることは了解しているため、相手方は受信者の「同意」が無くても特定電子メールの送信が可能です。

また、「書面」でなくてもウェブサイトなどによる電子メールアドレスの通知でも、次の場合には受信者の「同意」が無くても特定電子メールの送信が可能となります。

  • 「契約の成立」「契約内容」「注文確認」などの重要事項に関する電子メールに付随して広告を掲載する場合
  • 受信者の「同意」を得て送信するメルマガなどの電子メールの一部に広告を掲載する場合
  • 無料でメールアドレスが取得できるフリーメールなどにおいて無料利用の条件として広告を掲載する場合

オンライン名刺交換は「書面」ではありませんのでオプトイン規制の対象となるので注意しましょう。

取引関係にある者

例えば、金融機関に口座を開設した顧客が継続的に金融機関を利用している場合、金融機関と顧客の間には取引関係があると考えられ、この場合にはオプトイン規制の例外となります。

ただし、ネットショップで1回だけ購入したというような場合には、ネットショップと顧客の間に継続的な取引関係にあるとはいえずオプトイン規制の対象となります。

自己の電子メールアドレスを公表している者

電子メールアドレスを公表する目的は、第三者から電子メールを受け取るためなので、特定電子メールの送信であっても許容されるとの考えでオプトイン規制の対象外としています。ただし、特定電子メールの受信を拒否する旨を表示している場合にはオプトイン規制の対象となります。

オプトイン手続きの方法

「同意」の取得方法

オプトイン規制で最も重要となるのは、受信者の特定電子メール送信に対する「同意」の意思表示を得ることですが、「同意」があったかどうかを判断するには次の要件が必要です。

  • 受信者が「特定電子メールの送信」が行われることに対し認識していること
  • それについて「賛成の意思表示」が有ること

「同意」の取得を明確にするために、受信者から同意・確認メールなどに返信してもらう必要があります

<見本>
「※本メールは、過去に弊社のセミナー等にご参加頂いた方、お問い合わせを頂いた方等に送信しております。弊社サービスや取扱商品等に関するメールマガジンの配信をご希望の方は、お手数ですが本メールへのご返信をお願い致します。

「同意」を得るための表示の仕方

「同意」を得る場合、①メールの送信者、及び②宣伝・広告が掲載された電子メールの送信が行われることの2点について受信者が認識できなければなりません。そのために推奨される表示方法のポイントは次の通り。

  • 文字の「大きさ」や「色」によって目立たせる
  • 表示事項は「申し込みボタン」の近くに配置する
  • 「広告メールの送信を希望する」というチェックボックスは空欄で、受信者が自分でチェックを入れる方式(デフォルト・オフ)とする
  • 「広告メールの送信を希望する」というチェックボックスにあらかじめチェックが入っている方式(デフォルト・オン)の場合には、色やアンダーラインなどでチェックが入っていることを受信者が認識できるようにする
  • 複数の事業者から宣伝・広告が掲載された電子メールの送信が行われる場合には、それぞれの「業種」「企業名」「サイト名」などを併記する

さらに、受信者が誤って「同意」することを防止するため、①特定電子メールの送信について同意したこと、②特定電子メールのタイトルなどを、申し込みの確認画面などで表示することをおすすめします。

ダブルオプトインの推奨

ダブルオプトインとは、電子メールの送信に対し「同意」した受信者のメールアドレスに広告・宣伝内容を含まない確認の電子メールを送付し、受信者の返信などによって特定電子メール送信に関しての「同意」を確定するものです。

これは、他人の電子メールアドレスを無断で用いる「なりすまし」の同意防止や受信者の「同意」の立証に有効な手法として推奨されます。

電話での「同意」は可能か

法律上は、同意を得る方法を限定していないため、電話での同意取得も有効となりますが、「同意を証する記録の保存」が義務付けられていることから同意を得た際の「時期」や「方法」などの状況を示す記録を保存しなければなりません

メルマガ送信者の義務

メルマガなどの特定電子メール送信者には受信者から「同意」を得る他に、いくつかの義務があります。

オプトアウトなどの表示

特定電子メール法及び施行規則では、特定電子メールに次の表示義務が定められています。

  • 特定電子メールの送信責任者の氏名または名称
  • 送信責任者の住所
  • オプトアウトができる旨の記載
  • オプトアウトに使用する電子メールアドレスまたはホームページアドレス
  • 苦情や問合せなどのための電話番号、電子メールアドレス又はホームページアドレス

<オプトアウトができる旨の見本>
「配信はメール下部のリンクからいつでも停止いただけます。」

<オプトアウト方法の見本>
「配信停止をご希望の方は、お手数ですが以下のURLより停止ください。」
「メールマガジンのサービス変更・解除はこちら」

オプトアウトに関しては、表示方法も文字の「大きさ」「色」「配置」などにおいて、受信者が容易に認識できるようにすることがポイントです。

プライバシーポリシー追記の推奨

ウェブサイトの「問い合わせ先表示」の前に、受信者のメールアドレスなどの個人情報の「開示」「訂正」「利用停止」等の取り扱い関するプライバシーポリシーの規定を追記することを推奨します。

<見本>
「弊社は、保有する個⼈情報について、個⼈情報保護法に基づく開⽰、訂正・追加・削除、利⽤停⽌・消去等(以下、「開示等」といいます。)の請求があった場合、請求された⽅がご本⼈であることを確認した後、個⼈情報保護法に従って遅滞なく対応いたします。」

「個人情報保護法を踏まえたプライバシーポリシー作成時のポイント」について詳しく知りたい方は以下に詳述していますので本記事と合わせてご覧ください。

「同意を証する記録」の保存

オプトイン規制では、適法かどうかを判断するには受信者の事前の「同意」の有無が重要となるため、特定電子メール法第3条第2項で「同意を証する記録」の保存が義務付けられています。

保存内容

「同意を証する記録」に関する保存内容は、次のいずれかになります。

  • 同意を取得した「電子メールアドレス」「時期」「方法」などの状況を示す記録
  • 書面、電子メール、ウェブサイトなどで「同意」を取得した場合には、「同意」取得の際に受信者に提示する文章や画面構成などの定形的な部分の記録

保存期間

保存期間は、原則として特定電子メールの送信を中止した日から1ヶ月が経過する日までと定められています。ただし、関係法令に違反し措置命令を受けた場合には、最後の送信日によって保存期間が変わるので注意が必要です。

まとめ

今回は、①オプトイン規制とは、②オプトイン規制の例外、③オプトイン手続きの方法、④メルマガ送信者の義務について「特定電子メール法」及び関係法令などに基づいて詳しく解説してきました。

実際のビジネスシーンでは、本記事で紹介した内容以外のケースも出てくると思います。

そのような時には、独自に判断するのではなく専門的な知識や経験が豊富な弁護士に事前に相談することをおすすめします

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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