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IT・ベンチャーの企業法務

景品表示法の二重価格表示を解説。その値引き表示、本当にOK?

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景品表示法の二重価格表示を解説。その値引き表示、本当にOK?

「通常価格から半額!」などの謳い文句で、自社商品を売り込み、買い手を惹きつけるのは、ビジネスではよくある一幕です。ですが、その価格の表示方法も過激になってしまうと、法律の規制を受けてしまいます。それが景品表示法の二重価格表示です。

そこで、企業が商品やサービスについてセール広告を掲載する際に、景品表示法の二重価格表示に該当することを避けるためどのような点に注意すべきかについて解説します。

景品表示法とは

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等の表示及び景品類の提供に関して規制する法律です。このうち表示に関する規制については、商品やサービスが実際より良いもののように偽る表示がされると、消費者は誤認によって商品やサービスを購入することになり、結果として消費者に不利益が生じます。このため、表示に対する規制がされています。

景品表示法の規制対象となる表示は、今回取り上げる二重価格表示以外にも数多くありますのでBtoCビジネスを展開する企業は特に注意すべき法律といえます。景品表示法の概要に関しては、下記記事でも詳細に解説しています。

消費者を保護するために、景品表示法では商品やサービスの品質、内容、価格等の表示について詳細な規制を設けています。二重価格表示はこの表示に関する規制のうち「価格の表示」に対するものです。

景品表示法の規制対象となる表示は、今回取り上げる二重価格表示以外にも数多くありますのでBtoCビジネスを展開する企業は特に注意すべき法律といえます。景品表示法の概要に関しては、下記記事でも詳細に解説しています。

景品表示法上の二重価格表示

景品表示法上の二重価格表示とは、企業が自社の商品やサービスの実際の販売価格に、その販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示するものをいいます。

通常価格と比較してセール価格を表示する広告は比較的よくみられるものです。例えば、百貨店や小売店などで、需要喚起、在庫処分等の目的で「当店通常価格2,000円の商品を70%オフのセール価格1,400円」という価格表示を目にしたことがあるかもしれません。ですが、もし当該商品が2,000円で販売された実績がなければ、消費者に間違った価格認識を植え付け、合理的な選択を阻害していると言えそうです。

ではどのような場合に二重価格表示が規制する「不当表示」に該当するのでしょうか。

二重価格表示に対する規制内容

二重価格表示については、比較対象価格について適正な表示が行われていない場合には、消費者に対して販売価格が安いものと誤認を与える可能性があるため、不当表示として違法となることがあります。

過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示

消費者庁の公表している「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)によれば、この事例のように過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示については、同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはないとされています。

なぜなら、通常価格を比較対照価格とするセール価格が示される場合、消費者はとしては当該商品がセール前の相当期間において通常価格で販売されていて、セール期間中のみ販売価格が安くなっていると認識するのが通常であるためです。

つまり、ある一定期間にわたって、通常価格の2,000円で販売されていれば、セール期間中に安くなった、と消費者が知ることができます。

では、消費者庁の発表している「最近相当期間にわたって販売されていた」とは具体的にどれくらいの長さなのでしょうか。

「最近相当期間にわたって販売されていた」か否かの判断基準

消費者庁の価格表示ガイドラインによれば、「最近相当期間にわたって販売されていた」か否かの判断基準として、以下のとおり考え方が示されています。

一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。ただし、前記の要件を満たす場合であっても、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf

したがって、価格表示ガイドラインからすると上記の事例については、以下に該当すれば「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に該当することとなります。

  • (要件1)セール開始後の各時点から遡って8週間のうち半分以上の期間、その価格で販売していた(販売期間が8週間未満なら当該期間のうち半分以上の期間)
  • (要件2)セール開始時点で、最後にその価格で販売した日から2週間以内である

本事例における適用

では、仮に例「当店通常価格2,000円の商品を70%オフのセール価格1,400円」と広告をした後に再度セール価格を見直し、「通常価格の50%オフのセール価格1,000円」という広告を掲載する場合に、景品表示法に抵触する不当表示となるでしょうか。

(要件2)については、最初のセール価格である1,400円で販売した最後の日から、2週間以上の間を空けずに次のセール価格である1,000円での販売を開始したのであれば問題なく条件を満たすといえます。

一方、(要件1)については注意が必要です。上の事例において、要件1に関して満たすべき条件は以下の2点となります。

  • セール開始時点から遡って、過去8週間のうち4週間以上、最初のセール価格である1,400円で販売していたこと
  • セール中の各時点から遡って、過去8週間のうち4週間以上、最初のセール価格である1,400円で販売していたこと

価格表示ガイドラインをみると、一つ目の条件のみで足りるようにも思えます。上の事例でいえば、セール開始時点ですでに、4週間その価格で販売していたなら、その後は気にしなくて良いようにも読めるということです。しかし、消費者庁の見解によれば、「4週間以上」という要件は、セール中の各時点で満たす必要があります。したがって、4週間以上過去の価格を表示することはできないこととなるのです。なぜなら、このように解釈しないとセールを続ける間に、直近の8週間に占める過去の価格での販売期間の割合が短くなってしまうためです。

以上からすると、上の事例については以下の3つの条件を満たしていれば、景品表示法上不当な二重価格表示には当たらないということになります。

  • 1,400円で販売した最後の日から、1,000円で販売を開始した日までが2週間以内
  • 1,000円での販売を開始した日から遡って8週間のうち、1,400円で販売していた期間が4週間以上
  • 現時点から遡って8週間のうち、1,400円で販売していた期間が4週間以上

ここで注意すべきは4週間以上、過去の価格を表示し続けられないという点です。

まとめ

自社の商品やサービスに関して広告等をする際には、必ず景品表示法に抵触しないかのチェックをしなければなりません。景品表示法は、その解釈指針について消費者庁が詳細なガイドラインを公表しています。また、事業者側からの事前相談にも丁寧に回答してもらえます。

ただし、今回の記事で取り挙げたように景品表示法に関するガイドラインは複雑であり、法律の専門家でないと正確な理解が難しいことがあります。このため、自社での検討に不安がある場合には弁護士などの専門家にも相談すると安心です。

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