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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

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日本におけるDAO(分散型自立組織)と法律上の問題点とは

日本におけるDAO(分散型自立組織)と法律上の問題点とは

DAO(分散型自立組織)は、Web3.0時代における新しい組織形態として、最近注目が集まっています。

この記事では、DAOとは何なのか、既存の中央集権型の組織とはどのような違いがあるのか、また、日本においてDAOを組成する際の法律的な問題点について解説します。

Web3.0時代に注目を集めるDAOとは

DAOは「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語に訳すと「分散型自立組織」です。もう少し噛み砕いて説明すると、特定の所有者や管理者が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進できる組織を指す言葉です。DAOは、Web3.0と関連して注目されている組織形態で、Web3.0とは、「分散型インターネット」とも呼ばれる新しいインターネットです。

これまでのインターネットでは、巨大なプラットフォームを持つ企業(AmazonやGoogle等)が利益を独占していましたが、Web3.0では分散した個人と個人がつながることができるとされています。DAOは、このWeb3.0を実現するための組織形態の一つなのです。

DAOと既存の株式会社との違いを図にまとめると次のような違いがあります。

既存の株式会社とDAOの違い

DAOには、

  • 中央管理者がいない
  • それぞれの参加者が自律的に運営する
  • オープンなブロックチェーン上で意思決定を行うため、公平性・透明性が高い

などの大まかな特徴がありますが、それぞれのDAOによっても特徴は異なります。

国内外におけるDAOの事例

DAOの具体的な事例としては、暗号資産(仮想通貨)の一つであるビットコインが挙げられます。ビットコインは、特定のリーダーがいなくとも、世界中のマイナーたちによるマイニング活動によってブロックチェーンネットワークが維持・管理されています。

ビットコインの保有者は、ビットコインのDAOのメンバーとして運営に参加していることになります。

また、「Ninja DAO」、「和組DAO」、「SUPER SAPIENSS」など、国内でもさまざまなDAOが登場しています。

Ninja DAOは、日本で最大級のDAOで、イケハヤ氏らによって2021年9月に創設されました。NFTプロジェクトである「CryptoNinja」の公式コミュニティとして、「CryptoNinja」の二次創作をしたいメンバーが参加しています。

和組DAOは、柿木駿氏らが2021年11月に創設したDAOで、国内におけるWeb3.0の体験者を増やすことを目標に掲げています。

SUPER SAPIENSは、映画監督の堤幸彦氏らによって創設された、日本で初めてのエンタテイメントDAOです。メンバーはトークンを購入し、そのトークンを使って投票することにより、作品作りに参加することができます。

今後、日本国内でも、DAOの創設はますますさかんになっていくことが予想されます。

米ワイオミング州におけるDAO法について

米ワイオミング州におけるDAO法について

米国のワイオミング州では、2021年7月にDAO法が施行されました。同法により、LLCとしての要件を満たしていれば、DAOをLLCとして登記できることになりました。「American CryptoFed DAO」がワイオミング州初のDAOとして登記を完了し、法人格が認められました。

2022年には、テネシー州でもDAO法が成立し、法律上の要件を満たせば、DAOが法人格を持つことができるようになりました。

日本におけるDAOの法律上の課題

日本では、DAOに関する法律は整備されておらず、米国のワイオミング州やテネシー州のように法人格を認められることもありません。

法人格が認められないので、

  • 許認可等の申請を行うことができない(=許認可が必要な業務を行うことができない)
  • 契約当事者になることができない
  • 税務上の取扱いが不明確

などのさまざまな問題が発生します。

また、DAOにおいては、報酬としてトークンや暗号資産が配布されることがあることから、場合によっては、金融商品取引法などの規制にかかる可能性もあります。

暗号資産と資金決済法・金融商品取引法との関係については、以下の記事にて詳しく解説していますので、ご参照ください。

関連記事:暗号資産に関する規制とは?資金決済法と金融商品取引法との関係を解説

配当等のあるDAOの場合

例えば、合同会社等の社員権のDAO(配当あり)のトークンの販売代行を行う場合、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業の登録が必要です。また、合同会社等の社員権トークンの自己募集を行う場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。

ただし、社員権のトークンを無償で配布することは、会社法等により認められていませんので注意が必要です。また、配布方法によっては、他の規制が適用される可能性もあります。

配当等のないDAOの場合

配当等がないDAOの場合、配当等のあるDAOに比べると該当する規制は少なくなります。

例えば、「ユーティリティトークン」という配当の発生しないトークンを販売する場合には、資金決済法に基づく暗号資産交換業の登録が必要となります。ユーティリティトークンとは、主に特定のサービスにアクセスするためのトークンを指します。

まとめ:DAOを組成・利用したい場合はまず弁護士にご相談ください

DAOは、新しい組織形態であり、日本では法整備がほとんど進んでいないのが現状です。

DAOを組成・利用する際には、日本の法律の規制を慎重に検討しながら進めていく必要があります。DAOの仕組みを使った組織運営をお考えの場合は、あらかじめ弁護士へご相談されることをおすすめします。

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弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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