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IT・ベンチャーの企業法務

アフィリエイト広告と消費者安全法~虚偽・誇大にあたる事例を解説~

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アフィリエイト広告と消費者安全法~虚偽・誇大にあたる事例を解説~

2021年3月1日に消費者庁が「虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関する注意喚起」というタイトルの文章を発表しました。

この注意喚起の引き金となったのは「虚偽の又は誇大な広告」に該当するとされた2つの事件でした。

「アフィリエイトビジネス」の市場は年間3,000億円を超えるとも言われ、成長市場として注目されています。今後も市場が順調に拡大していくには、消費者の安全性を担保する正しいアフィリエイト広告が必要です。

そこで、今回は、「消費者安全法」における広告規制について、実際のケースを基に詳しく解説します。

アフィリエイト広告の仕組み

アフィリエイト広告は、自分が主催するブログ内に設置したバナー広告やリンクなどを介して商品が売れるなどの成果があると報酬が得られる仕組みで、このようなビジネスを行なっている人を「アフィリエイター」と呼びます。

一般的な業務の流れは、次のようなプロセスで行われています。

  • 広告主がASP(Affiliate Service Provider)と呼ばれる仲介事業者を通じてアフィリエイターへ広告の依頼を行う。
  • アフィリエイターは商品やサービスの紹介記事を作成し、広告主のバナー広告やリンクを設置して自身のブログにアップ。
  • ブログ訪問者が、
  • ①バナー広告やリンクをクリック、②顧客登録を行う、③商品やサービスを購入するなどの成果が得られると、広告主より事前に定められた報酬がASPを通じてアフィリエイターに支払われる。

アフィリエイトビジネスはスタート資金があまりかからないことからビジネスパーソンの副業としても注目されており、中には1ヶ月の売上が本業を超えるアフィリエイターもいます。

消費者安全法について

消費者安全法は、「消費者の消費生活における被害の防止、及び安全の確保」を目的に、2009年の消費者庁設置と時を同じくして施行されました。

同法に基づく「消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置」には、本記事の冒頭で紹介した「消費者庁の注意喚起」のように、広告主の実名をあげた不正の手口などの「公表」が規定されています。一旦公表されてしまうと、当然のことながら会社や商品に対する信用が低下し大きなダメージを受けてしまいます

消費者安全法における注意喚起・公表

第38条第1項
内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、当該消費者事故等による被害の拡大又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等の発生(以下「消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該消費者事故等の態様、当該消費者事故等による被害の状況その他の消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとする。

消費者庁が今回のように注意喚起・公表を行うには、次の2つの要件を満たすことが必要です。

  • 内閣総理大臣が「消費者事故等」などに関する通知を受ける
  • 「消費者事故等」による被害拡大、または同種・類似の事故発生の防止を図るために消費者に対し注意喚起が必要と認められる

つまり、「消費者事故等」が発生、あるいは拡大や発生のおそれがある場合にこのような措置が講じられる訳ですから、広告主はアフィリエイト広告を行う際には「消費者事故等」の内容を正しく理解する必要があります。

消費者事故等

第2条第5項
この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
1. 事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。)
2. 消費安全性を欠く商品等又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
3. 前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態

上記の条項を整理すると、「消費者事故等」は次の3つに分けることができます。

  • 消費者の生命・身体被害が現実に発生しているもの(第2条第5項第1号)
  • 消費者の生命・身体被害が発生するおそれがあるもの(第2条第5項第2号)
  • 消費者の財産被害に関し政令で定めるもの(第2条第5項第3号)

この中で、広告に関する「消費者事故等」は3つ目の「消費者の財産被害に関し政令で定めるもの」に含まれていますが、政令では次の7つの行為が定められています。

  • 虚偽・誇大な広告・表示
  • 消費者との契約締結に際し、申し込みの撤回・解除・解約を妨げる行為
  • 契約締結・履行、申し込みの撤回・解除・解約に関して、消費者を欺き、威迫し、困惑させる行為
  • 不当な契約締結またはその勧誘
  • 債務不履行
  • 違法景品類の提供
  • その他消費者利益の保護に資する行為規制違反行為

虚偽・誇大な広告・表示

ここからは、アフィリエイト広告に関し実際に有った違反事例を基に「虚偽・誇大な広告・表示」について具体的に説明してゆきたいと思います。

効能についての違反事例

< 広告表示 >

化粧品に関するアフィリエイト広告において、当該商品を使用すれば肌のシミが数日で確実に消えるかのような内容を表示。

事例:「この配合量ならシミが消えますね。レーザーを超えていると思います。(ガチの先生のお墨付き)」

< 事実 >

消費者庁を中心とした調査の結果、実際には、当該商品には肌のシミを広告のように短期間で確実に解消する効果は無かった。

< 消費者安全法における違反行為 >

本違反行為は、数日で肌のシミが消えないにも関わらず、確実に消えるかのような表現を行なった点において、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であり、効果効能に関する「虚偽・誇大な広告・表示」に該当すると考えられます。

在庫数についての違反事例

< 広告表示 >

化粧品に関するアフィリエイト広告において、当該商品は在庫数が僅かであって売り切れた場合には長期間購入できなくなるかのように表示。

事例:「※売り切れの際は、再入荷に3ヶ月かかりますのでご注意ください。【注意】 こちらの商品は、売れ過ぎてよく完売します。」

< 事実 >

消費者庁を中心とした調査の結果、実際には当該商品はこの日以降も販売されており、また、在庫が僅少になっていなかった。

< 消費者安全法における違反行為 >

本違反行為は、在庫があるにも関わらず在庫数が僅かであって売り切れた場合には長期間購入できなくなるかのような表現を行なった点において、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であり、在庫状況に関する「虚偽・誇大な広告・表示」に該当すると考えられます。

体験談についての違反事例

< 広告表示 >

化粧品に関するアフィリエイト広告の中で、肌のシワが改善されたことを表す画像やユーザーのコメントによる体験談を紹介。

事例:「シミとか年齢肌トラブルに悩んでいる人はマジでおすすめ!! 一週間もたたずに激変しました。」

< 事実 >

当該体験談は実在の消費者のものではなく、アフィリエイターが「SNSの投稿画像」や「書き込み」などを基に作った架空のものだった。

< 消費者安全法における違反行為 >

本違反行為は、実際には存在しないシワの改善に関する体験談を捏造した点で、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であり、体験談に関する「虚偽・誇大な広告・表示」に該当すると考えられます。

割引価格についての違反事例

< 広告表示 >

化粧品に関するアフィリエイト広告の中で、当日限定で大幅な値引き価格で購入することができると表示。

事例:「○○月○○日限定で、通常価格9,800円のところ69%OFFの2,980円で手に入る特別セールを開催中!」

< 事実 >

実際には、当該商品はその日以降も2,980円で販売されていた。

< 消費者安全法における違反行為 >

本違反行為は、常に2,980円で販売していた商品を当日限定で69%OFFのお買い得価格で販売すると偽った点で、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であり、期間限定価格に関する「虚偽・誇大な広告・表示」に該当すると考えられます。

本件における消費者事故等の実施者とは

本事例では当事者が、①メーカー(広告主)、②広告の仲介を行なったASP、③体験談の捏造を行なったアフィリエイターの三者になりますが、消費者庁の注意喚起はメーカーのみを対象として行われました。

その理由は2点考えられます。

  • 本件ではメーカーがアフィリエイト広告の表示内容の決定について関与していたことが分かっており、広告主はアフィリエイターの作成した広告内容を承認していた、あるいは、アフィリエイターは広告主の意向に従って広告を作成したと考えられること。
  • 消費者安全法では、「消費者事故等」の実施者は商品や役務などを提供する事業者と規定されており、本件ではメーカーのみが規制対象に該当すること。

まとめ

今回は、消費者安全法における「アフィリエイト広告」に関する規制について、実際の違反事例を基に解説してきました。

アフィリエイト広告には「消費者安全法」や「景品表示法」以外にも関連法令があるため実際に行おうとする際には、独自に判断するのではなく専門的な知識や経験が豊富な弁護士に事前に相談することをおすすめします

アフィリエイトサイトにおける「景品表示法」に関する問題について興味のある方は下記の記事にて詳述していますので合わせてご覧ください。

当事務所による対策のご案内

モノリス法律事務所は、IT、特にインターネットと法律の両面に高い専門性を有する法律事務所です。昨今、副業としても人気の高いアフィリエイトビジネスですが、注意しなければ法律違反になることがあります。当事務所ではITに特化した行うソリューション提供を行っております。下記記事にて詳細を記載しております。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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