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法律記事MONOLITH LAW MAGAZINE

風評被害対策

Amazonカスタマーレビューの風評被害の削除

風評被害対策

Amazonカスタマーレビューの風評被害の削除

インターネットの利用者が人口の80%超である現在、私達はネットショッピングを利用することで、ほとんどの商品を購入できるようになりました。しかし他方で、ネットショッピングには商品を手に取ってみることができないという大きな欠点があります。ネットショッピングは、商品情報が乏しいのです。

そこで足りない情報を補完しようとして用いられるのが「口コミ・レビュー」です。口コミサイトでは購入者によって商品の使い心地等の感想がレビューとして投稿され、人はそこから詳しい情報を得ようとします。

様々な商品がAmazonで販売されています。商品の使用感や特徴などが書かれたAmazonのカスタマーレビューは、商品購入の重要な判断材料となっています。

では、Amazonで商品を売ったり、サービス提供をしている人や企業は、カスタマーレビューにどう対処すればいいのでしょうか。

Amazonとは

eコマースにおける世界的なリーディングカンパニーであるAmazon.comは、日本、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、中国、イタリア、スペインなどでウェブサイトを運営していますが、日本でも、2億種を超える和書、洋書、CD、DVD、PCソフトウェア、ゲーム、エレクトロニクス、文房具・オフィス関連用品、 ホーム&キッチン、おもちゃ&ホビー、スポーツ、ヘルス&ビューティー、コスメ、時計、ベビー&マタニティ、アパレル&シューズ、ジュエリー、食品&飲料などの商品を取り扱っており、また、一般の事業主がAmazonに出品して商品を販売できるマーチャント@amazon.co.jpも始まり、商品数はより拡大しています。

最近の調査によると、日本における2018年6月のAmazonのオンラインショッピングサービス利用者数は約4080万人であり、日本の18~64歳の人口の56%に当たるそうです。

口コミサイトとは

口コミサイトとは、人物、企業、商品・サービス等に関する評判や噂といった、いわゆる「口コミ」情報を掲載するインターネット上のサイトを指します。

口コミサイトには、以下のものがあるとされています。

  1. 口コミ情報の交換を主な目的とするサイト
  2. 旅行情報、グルメ情報、商品情報等を掲載するサイトが、サービスの一環として、旅館、飲食店、商品等に関する口コミ情報を交換するサービスを提供するもの
  3. ブログ等が情報を提供するウェブサイトにおいて、「おすすめ商品」等に関する情報提供を行うブログなど

Amazonは、2.を代表する口コミサイトとなります。

Amazonのカスタマーレビューの利用法

Amazonをどのように使うか、その際にカスタマーレビューをどう利用するかは、人によって異なるでしょうが、以下のような利用法が典型的なものの一つなのではないでしょうか。

先にあげた調査によれば、口コミ情報利用者が口コミ情報を参考にして購入する商品の最上位は、「家電製品・AV機器・カメラなど」だそうです。

そこで、ひとり暮らしの人が冷蔵庫の買い替えを検討しているとします。

まずAmazonへ行き、「家電&カメラ」や「ホーム&キッチン」では縦に30個ほどの商品が出るだけで見にくいし、面倒なので、「すべてのカテゴリー」で「冷蔵庫」を検索します。

すると、1頁に横6個×縦11個の商品が出るので、希望の容量、おおよその予算に合致する冷蔵庫を1つ選びクリックすると、その商品の頁が出て、機能・サイズといった詳細なスペックを知ることができます。

下に「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」と、ひとり暮らし向けの洗濯機や電子レンジが出るので、これを見て他の商品の購入を思いつくこともあるかもしれません。その下に「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」と、同じ値段帯や容量・サイズの商品が並び、さらにその下に「類似商品と比較する」として、5個くらいを並べて比較できるようにしてあります。これを見ながら、比較検討してもいいでしょう。

商品を絞り込む段階とカスタマーレビュー

上に「希望の容量、おおよその予算に合致する冷蔵庫を1つ選び」と書きましたが、この時、たいていの人は画面に出た50個以上の商品の中から、「カスタマーレビュー数が多い商品」のどれかを選択しているのではないでしょうか。カスタマーレビュー数を最初の取っ掛かりにしている人が多いと思われます。

「カスタマーレビュー数が多い」からといって「よく売れている」とは限りませんし、「よく売れている」からといって「良い商品である」とは限らないのですが、この3つは一体視されることが多く、カスタマーレビュー数が多い商品を選ぶと、なんとなく安心するのです。

これをバンドワゴン効果といいます。ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者をさらに増大させる効果のことです。「バンドワゴン」とは行列の先頭にいる楽隊を乗せた車であり「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗るという意味で、「一人だけ間違い、失敗してしまった」という事態を避けることができるので、人は安心できるのです。皆で渡れば怖くないし、失敗したのが自分一人でないのなら、自分を責める必要はあまりなく、それほど後悔しなくて済みます。

詳しく調べようとして他の商品を選ぶ場合も、カスタマーレビュー数が多い商品を選ぶでしょう。

この「商品を5つくらいに絞る」という段階では、「カスタマーレビュー数」は大きな役割を果たしており、商品の売り上げを決定する大きい要因になっていると思われます。

商品を決定する段階とカスタマーレビュー

詳しく比較検討して候補を2つ、もしくは3つに絞って、どれかに決定するとしましょう。本当はここで実店舗に行き、商品を直に目にし、操作して決定すればいいのかもしれませんが、なかなかそうもいきませんし、電気製品などではそこまでする意味もあまりありません。

この最後の決定をするとき、実店舗に行く代わりに、カスタマーレビューを読み比べて決める人が多いのではないでしょうか。ここで、数だけでなくカスタマーレビューの内容が問題となり、信頼できるカスタマーレビューかどうかが重要となります。

先にあげた調査で、どのような場合にネット上の口コミ情報が信頼できると感じるかを聞いたところ、以下がそれぞれ20%台です。

  • 口コミ件数が多い
  • 同じ評判の口コミを、いろいろな人が書いている
  • おすすめや良い点だけでなく、良くない点についても書かれている
  • 口コミの内容に、納得がいった

商品購入の入口と出口で、カスタマーレビューは大きな役割をしているのです。

実際、同調査では、

  • ある商品・サービスを買うかどうか迷っていたが、口コミをみて買うことを決めた
  • 複数の商品・サービスのうち、 口コミでの評判がよい方を買った
  • ある商品・サービスを買うかどうか迷っていたが、口コミをみて買うことをやめた

が各々3割程度みられるそうですが、他の調査でも、おおむね同じ結果です。

Amazonのカスタマーレビューは信頼できるのか

多くの口コミサイトは投稿制限やレビューされた内容の吟味をほとんど、あるいは事実上全く行なっていません。これはAmazonも同様です。「食べログ」はやらせ評価問題などが起こったので、点数算出アルゴリズムの大幅な変更をしたりして様々な工夫をしていますが、Amazonはほとんど垂れ流し状態であり、あまり信頼はできません。

商品数が多すぎるのです。全商品数は2億種を超えるそうですが、この全てのカスタマーレビューに目を光らせることなど、できるわけがありません。

また、Amazonはもともと本屋さんですが、書籍だけをとってみても、膨大な数なのです。

総務省統計局は毎年、書籍出版点数を発表していますが、年間およそ7万5千~8万点が出版されています。5年間としても、およそ40万点です。雑誌を除いても、これだけの商品数になるのです。

これに対し、「食べログ」が扱っている店舗数はおよそ90万店です。 Amazonも書籍だけなら、もう少し細かくカスタマーレビューをチェックできるかもしれません。

Amazonと書籍のカスタマーレビュー

しかし、実際には、Amazonで最もカスタマーレビューが信頼できず、疑わしいジャンルは書籍です。

よく「口コミ・レビューサイト」の欠点として、「主観的である」ということがあげられますが、書籍のカスターレビューとは、すべて「主観的である」のではないでしょうか。大きさや重さや、取り扱いやすさなど、誰も問題にしません。

口コミ・レビューに関して「主観的な感想や評価を求める」とする食べログは、以下の場合等には、ガイドライン違反であるとして投稿者に修正を依頼したり、削除する場合があるとしています。

  1. 主観的な表現でない、断定的な表現のもの(例:こんなまずい店に行く価値はない)
  2. ユーザーが実際に食事をしていないもの(例:態度が気に入らなかったので食べずに帰った)
  3. 特定人種に対する決めつけ、批判・差別にあたるもの(例:○○人だから接客レベルが低くても仕方ない)
  4. 店へ悪影響を及ぼしかつ事実関係の確認が困難なもの(経費削減のためエアコンをつけていない)

主観的な感想や評価が投稿されるAmazonの書籍のカスタマーレビューには、「断定的な表現」に該当するものが多くありますし、3.も見かけることがあります。また、2.はかなりあると思います。

実際、Amazonは、「Amazon.co.jpで購入していない商品についてのレビューは、一週間で5件まで投稿できます」としています。

これに加え、ひとりで匿名のアカウントを複数登録することもできるのですから、荒れてしまうのは仕方がないでしょう。

大きな賞を取り、映画化もされたある日本小説(700円程度の文庫本)のカスタマーレビューを見てみました。

403レビューがあり、星5個が44%、1個が13%となっています。この星1個の52人中、「Amazonで購入」は14人です。内容も、きちんと読んでいると思われるものもいくつかはありますが、ほとんどは「つまらない」「買って損した」や、読んでいるとは思えない内容で、悪口や罵倒が目立ちます。ちなみに星5つの人は、最初から40人連続で「Amazonで購入」でした。

企業と消費者とカスタマーレビュー

Amazonに限ったことではありませんが、カスタマーレビューを投稿する人の中には、販売する人や企業への個人的な恨み等から悪い評価や、商品と何ら関係のない批判を書き込む人がいます。また、いわゆる「荒らし」行為を目的に書き込みを行う人も、一定数存在します。皆がほめている人や商品をけなして、憂さ晴らしをするのが目的である人もいます。

消費者に宣伝だと気付かれないように宣伝行為をする「ステルスマーケティング」の存在が社会問題となっていますが、Amazonも無縁ではありません。

競合他社を陥れる「ネガティブキャンペーン」は、Amazonでも多く見られるようです。

Amazonで商品を売ったり、サービス提供をしている人や企業は、消費者に満足してもらえるよう、悪質な業者や投稿者のカスタマーレビューに目を光らせる必要があります。

中傷コメント等で悩んでいる方は、当法律事務所のインターネット問題に詳しい弁護士にご相談ください。

弁護士 河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士。元ITエンジニア。IT企業経営の経験を経て、東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士、監査役等を務め、IT・ベンチャー・インターネット・YouTube法務などを中心に手がける。

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